MotoGP

【MotoGP 2023総集編】新加入のリンスが1勝 マルケスが日本GPで表彰台獲得

2023年のロードレース世界選手権(MotoGP)は20戦が行われ、Hondaは最高峰のMotoGPクラスに23年型RC213Vを投入してシーズンに臨んだ。Repsol Honda Teamからはこれまでに6回タイトルを獲得しているマルク・マルケスと、20年のチャンピオンで今季新加入となるジョアン・ミル、LCR Honda IDEMITSUからは6年目のシーズンを迎える中上貴晶、LCR Honda CASTROLからは新加入のアレックス・リンスという4人のライダーが参戦した。

【MotoGP 2023総集編】新加入のリンスが1勝 マルケスが日本GPで表彰台獲得

マルケスが開幕戦ポールポジション、リンスが優勝と好調な序盤戦

今年から、決勝レースの半分の距離で争われるスプリントレースが新たに全戦で開催された。開幕戦ポルトガルGPでは、マルケスが予選でポールポジションを獲得。初開催のスプリントレースでは3位表彰台を獲得し、好調なスタートを切る。しかし、翌日の決勝でマルケスは無念の転倒リタイアを喫し、右手親指を骨折した影響で続く第2~4戦の欠場を余儀なくされた。

第3戦アメリカズGPは、リンスが19年にMotoGPクラス初優勝を飾ったサーキット・オブ・ジ・アメリカズで開催。今回もサーキットと相性のよさをみせたリンスは予選2番手から2位でスプリントレースの表彰台に上がると、決勝でもハイペースを保って首位に浮上。昨年の最終戦バレンシアGP以来3戦ぶり、Honda移籍後初となる優勝を飾った。


アレックス・リンス/第3戦アメリカズGP
アレックス・リンス/第3戦アメリカズGP

マルケス復帰もリタイア相次ぐ

第5戦フランスGPは、4戦ぶりに復帰したマルケスがさっそく表彰台争いに加わる活躍をみせた。予選でフロントロー2番手を獲得し、スプリントでは5位フィニッシュ。決勝ではトップ争いに加わったが、終盤に惜しくも転倒リタイアとなった。このレースでは中上が9位でフィニッシュし、Honda勢最上位となってポイントを獲得した。

第6戦イタリアGPでは、金曜日のセッションでミルが転倒を喫してレースを欠場。マルケスは予選で2戦連続のフロントローを獲得したが、決勝は転倒でリタイアとなった。

中上は第6戦で13位、第7戦ドイツGPでは14位でフィニッシュ。第8戦オランダGPで今季ベストとなる8位でチェッカーを受け、チームに貴重なポイントをもたらした。


中上貴晶/第8戦オランダGP
中上貴晶/第8戦オランダGP

第8戦オランダGPではミルの代役としてイケル・レクオーナが出場。マルケスがケガの悪化のため欠場する中で孤軍奮闘し、テクニカルトラブルにより14周でピットに戻ったものの、トップ10争いを繰り広げる活躍をみせた。


イケル・レクオーナ/第8戦オランダGP
イケル・レクオーナ/第8戦オランダGP

第10戦オーストリアGPの決勝レースは、転倒続きだったマルケスが混戦の中で着実にポジションを上げ、12位でフィニッシュ。連続ノーポイントに終止符を打った。

第11戦のカタルニアGPでは、スタート直後に多重クラッシュが発生する中、マルケスが13位、中上が15位でチェッカーを受け、ポイントを獲得。第12戦サンマリノGPでは、マルケスが今季の決勝ベストリザルトを更新し、7位フィニッシュと復調をみせた。

初開催となった第13戦インドGPでは、最高気温が33℃、湿度が65%を超えるという過酷な条件の中、Repsol Honda Teamの2人が好走をみせる。スプリントではマルケスが6番手から好スタートを切り、3位に入賞。ミルは転倒リタイアとなったが、決勝で今季ベストリザルトを更新し5位でフィニッシュを果たした。序盤から表彰台争いを繰り広げていたマルケスは6周目に転倒したものの、追い上げをみせて9位でチェッカー。中上も11位でポイントを獲得し、調子を上向きにしてホームの日本GPを迎えることとなった。


ジョアン・ミル/第13戦インドGP
ジョアン・ミル/第13戦インドGP

ホームのもてぎで「ロマンチック」な表彰台

第14戦日本GPの決勝は雨で不安定なコンディションとなったが、マルケスが持ち前の高いスキルで序盤から先頭集団へ。3番手だった12周目の時点で赤旗中断となり、表彰台獲得を果たしたマルケスは「多くのファンやHondaの関係者に囲まれてのレースで表彰台を獲得できて、とてもロマンチックだ」と喜びを表した。中上はホームGPで11位という結果を残したほか、ミルは12位、リンスに代わって急きょ出場となったブラドルは14位と、全員がポイントを獲得するレースとなった。


マルク・マルケス/第14戦日本GP
マルク・マルケス/第14戦日本GP

日本GP閉幕から3日後の10月4日、Hondaにとって、そしてMotoGP界にとって激震となるニュースが発表された。マルケスとHRCの間で結ばれていた24年までの契約を、23年シーズンをもって早期終了させることで互いに合意。11年間で59勝、6度のチャンピオンを獲得してきたエースライダーとのレースは、6戦を残すのみとなった。

マルケスは最後までチームとともに戦い、第17戦タイGPでは6位入賞。最終戦バレンシアGPでは「感謝」の文字の入ったスペシャルヘルメットをかぶり、HRCライダーとして最後のレースに臨んだ。


マルク・マルケス/第20戦バレンシアGP
マルク・マルケス/第20戦バレンシアGP

マルケスは予選でQ2に進出し9番グリッドにつけると、スプリントで好スタートを切り、表彰台争いに加わる。終盤までぎりぎりの走りをみせ続け、見事3位に入賞し、表彰台では感極まる場面もみられた。決勝ではトップグループに位置していたものの、ほかの選手と接触し転倒リタイア。チェッカーを受けることは叶わなかったが、最後までファンの脳裏に焼きつける走りをみせた。


マルク・マルケス/第20戦バレンシアGP
マルク・マルケス/第20戦バレンシアGP

2023年のHonda勢は、相次ぐ転倒リタイアやケガもあり苦しいシーズンに。しかし、第3戦でのリンスの優勝、日本GPや最終戦でのマルケスの走りなど、印象的な場面もあった。


Race Report

Rd.01 ポルトガルGP:マルケス惜しくもリタイア。前日のスプリントレースに続く表彰台獲得ならず

Rd.02 アルゼンチンGP:ウエットレースでリンス9位、中上は13位。ともにポイントを獲得する

Rd.03 アメリカズGP:リンス スプリントレースの2位に続き、決勝レースで今季初優勝達成

Rd.04 スペインGP:中上今季ベストの9位。ブラドル14位でともにポイント獲得


Repsol Honda Team

Rd.05 フランスGP:マルケスが記念すべき1000回目のグランプリで好走し、表彰台争いに加わる

Rd.06 イタリアGP:マルケスが表彰台獲得を目指すも、残念な結果に終わる

Rd.08 オランダGP:レクオーナ、決勝レースでトップ10争いに加わる

Rd.09 イギリスGP:マルケス、ミルともに転倒リタイアに終わる

Rd.10 オーストリアGP:マルケスが混戦のレースでポイントを獲得

Rd.11 カタルニアGP:Repsol Honda Teamは多重クラッシュを回避。完走を果たす

Rd.12 サンマリノGP:マルケスが7位でフィニッシュ。今季ベストリザルトでレースを終える

Rd.13 インドGP:ミル 灼熱のインドGPで5位。マルケスは9位

Rd.14 日本GP:マルケスが雨の日本GPで「ロマンチック」な表彰台獲得を果たす

Rd.15 インドネシアGP:インドネシアGP決勝、マルケスとミルはともにリタイアに終わる

Rd.16 オーストラリアGP:土曜決勝に変更されたオーストラリアGPでRepsol Honda Teamは努力を続ける

Rd.17 タイGP:マルケスとミル、灼熱のブリラムでポイントを獲得する

Rd.18 マレーシアGP:マルケス13位でポイント獲得、ミルは序盤に転倒しリタイアとなる

Rd.19 カタールGP:マルケスはトップ10争いに加わり11位、ミルは14位でポイントを獲得

Rd.20 バレンシアGP:マルケスとRepsol Honda Team 一つの時代が終わる


LCR Honda IDEMITSU/CASTROL

Rd.05 フランスGP:中上がル・マンで9位、ポイントを獲得。リンスは転倒リタイア

Rd.06 イタリアGP:中上がムジェロでポイントを獲得する

Rd.07 ドイツGP:中上がザクセンリンクでポイントを獲得する

Rd.08 オランダGP:中上が今季ベストの8位でフィニッシュ

Rd.09 イギリスGP:中上は不安定な天候とマシンセッティングに苦戦。厳しい結果に終わる

Rd.10 オーストリアGP:中上、レクオーナともにオーストリアGPで苦戦

Rd.11 カタルニアGP:中上がカタルニアGPでポイント獲得

Rd.12 サンマリノGP:中上、力を発揮できず19位に終わる

Rd.13 インドGP:中上が決勝レースでポイントを獲得

Rd.14 日本GP:中上がホームGPでポイントを獲得

Rd.15 インドネシアGP:リンス、復帰戦でポイントを獲得する

Rd.16 オーストラリアGP:中上にとって厳しいオーストラリアGP決勝となる

Rd.17 タイGP:中上はタイGP決勝を14位でフィニッシュ

Rd.18 マレーシアGP:レクオーナが堅実なレースで16位。惜しくもポイント獲得できず

Rd.19 カタールGP:中上は19位でフィニッシュ

Rd.20 バレンシアGP:中上は最終戦バレンシアを12位でフィニッシュ


ポイントランキング

Pos. Rider Num. チーム Constr. Pts
1 Francesco BAGNAIA 27 Ducati Lenovo Team Ducati 467
2 Jorge MARTIN 89 Prima Pramac Racing Ducati 428
3 Marco BEZZECCHI 72 Mooney VR46 Racing Team Ducati 329
4 Brad BINDER 33 Red Bull KTM Factory Racing KTM 293
5 Johann ZARCO 5 Prima Pramac Racing Ducati 225
6 Aleix ESPARGARO 41 Aprilia Racing Aprilia 206
14 Marc MÁRQUEZ 93 Repsol Honda Team Honda 96
18 Takaaki NAKAGAMI 30 LCR Honda IDEMITSU Honda 56
19 Alex RINS 42 LCR Honda CASTROL Honda 54
22 Joan MIR 36 Repsol Honda Team Honda 26
26 Stefan BRADL 6 LCR Honda CASTROL Honda 8

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