【2022シーズン総集編】表彰台獲得は2度にとどまり、未勝利の苦しいシーズンに
2022年のMotoGPは史上最多となる20戦が行われ、Hondaは4台の22年型RC213Vを投入。ライダーラインアップは21年から変わらず、Repsol Honda Teamはケガからの復活を目指すエース、マルク・マルケスと、加入2年目のポル・エスパルガロ。LCR Honda IDEMITSUからは最高峰クラス唯一の日本人ライダー中上貴晶、LCR Honda CASTROLはアレックス・マルケスを起用して臨んだ。
開幕戦で好調ぶりを見せたエスパルガロ
開幕前の公式テストでエスパルガロがトップタイムをマークするなど、好調ぶりを見せていたHonda勢。そして迎えた開幕戦カタールGPでは、予選でマルク・マルケスが3番手、エスパルガロが6番グリッドを獲得する。決勝ではエスパルガロが好スタートでトップに立ち、中盤までレースをリード。終盤はペースが落ち首位を譲ったが、開幕戦で3位表彰台を獲得した。マルク・マルケスは5位に入り、まずまずのスタートを切ったRepsol Honda Team。このまま、昨年までの不調を脱していくかと思われた。
第2戦インドネシアGPは、MotoGP初開催のマンダリカ・サーキットで行われた。Honda勢は2月に同地で行われたテストでは好調だったが、大会では不安定な天候に翻ろうされて苦戦し、最上位はエスパルガロの12位。マルク・マルケスはフリープラクティスと予選で計4度の転倒を喫し、決勝を欠場することに。第3戦アルゼンチンGPも欠場となり、テストライダーのステファン・ブラドルが出場した。
マルク・マルケスは第4戦、過去出場8回中7度優勝と得意のアメリカズGPで復帰を果たす。スタートのトラブルで最後尾まで落ちるも、そこから怒涛の追い上げを見せ、6位でフィニッシュ。復帰戦とは思えない走りでアメリカのファンを沸かせた。
第6戦スペインGPでは、マルク・マルケスが表彰台争いのなかで惜しくも4位フィニッシュ。中上は開幕戦以来トップ10から遠ざかっていたが、スペインGPと続く第7戦フランスGPでともに7位に入った。
マルケス再手術へ 大苦戦の夏
マルク・マルケスは2020年に負傷した右上腕骨の回復状況を見ながら出場を続けていたが、第8戦イタリアGP開催中の5月28日、4度目の手術を行うことを発表し、戦線を離脱。第9戦カタルニアGPからブラドルが代役として出場することとなった。
マルク・マルケスの離脱を境に、Honda勢の低迷はより顕著となってしまう。第10戦ドイツGPでは、転倒によるケガやマシンの熱問題によってリタイアが相次ぎ、完走を果たしたのは16位のブラドルのみ。4台ともポイントを獲得できず、大苦戦となった。
マルケス復帰2戦目のポールポジション
その後も苦戦が続いていったが、第15戦アラゴンGPからマルク・マルケスが復帰を果たす。決勝では13番手から6番手付近まで浮上する好スタートを見せるも、1周目でファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)と中上に相次いで接触。3台ともにリタイアとなり、中上は右手を負傷してしまった。
Hondaのホームコース、モビリティリゾートもてぎで3年ぶりの開催となった日本GP。この大会ではHRCテストライダーの長島哲太がワイルドカードでエントリーし、MotoGPクラスデビューを果たした。
ウェットコンディションとなった予選では、復帰わずか2戦目のマルク・マルケスが自身3年ぶりとなるポールポジションを獲得し、日本のファンを驚かせた。ドライコンディションとなった予選では右腕への負担がより大きくなったが、それでも4位に入賞を果たした。
ホームグランプリとなった中上は、アラゴンGPで負傷した右手の痛みに耐えながらも20位で完走。ケガが悪化してしまい、第17戦タイGPからは欠場することとなった。19番グリッドから臨んだ長島はリタイアでデビュー戦を終えた。
マルク・マルケスはタイGPでは5位に入賞。第18戦オーストラリアGPでは、ドライコンディションの中で予選2番手、決勝ではトップグループでバトルを繰り広げて2位でフィニッシュ。最高峰クラスで自身100回目となる表彰台に登壇し、不調にあえぐHondaに希望を持たせる結果を残した。
第20戦、最終戦バレンシアGPでは中上が復帰。予選ではマルク・マルケスが2番手に入り、3戦連続のフロントローを獲得したが、決勝では転倒リタイア。Hondaでのラストレースとなったエスパルガロとアレックス・マルケスも転倒を喫し、ポイントを獲得したのは14位の中上のみ。今年を象徴するような苦しいレースで、シーズンは幕を下ろした。
最終的に、マルク・マルケスは7戦を欠場しながらも、ポールポジションと表彰台を1回ずつ獲得して総合13位。エスパルガロは開幕戦で表彰台に登壇しながらも、その後は苦しい戦いが続いて総合16位。アレックス・マルケスと中上はともに7位が最高位で、アレックスが総合17位、中上は総合18位に終わった。日本GPへのワイルドカード参戦、そして中上が欠場した3戦に代役で出場した長島はポイント獲得こそならなかったが、テストライダーとして多くのデータをチームに持ち帰った。
プレシーズンテストや開幕戦の好調から一転して苦しいシーズンとなり、未勝利に終わった2022年のHonda勢。来季はRepsol Honda Teamに2020年チャンピオンのジョアン・ミル、LCR Honda CASTROLにアレックス・リンスを迎え、新たな体制で立て直しを目指すこととなる。
Race Report
Rd.01 カタールGP:ポル・エスパルガロ開幕戦で3位表彰台獲得
Rd.02 インドネシアGP:不安定な天候にHonda勢は苦戦を強いられる
Rd.03 アルゼンチンGP:中上13位、アレックス15位でアルゼンチンGPを終える
Rd.04 アメリカズGP:マルク・マルケスが6位でフィニッシュ。復帰戦で見事な走りを披露
Rd.05 ポルトガルGP:3選手がトップ10フィニッシュを果たす
Rd.06 スペインGP:マルク・マルケス4位、中上貴晶7位。ともに今季ベストリザルトでフィニッシュ
Rd.07 フランスGP:Honda勢全台がポイントを獲得する
Rd.08 イタリアGP:中上貴晶8位、マルク・マルケス10位、アレックス・マルケス14位でポイント獲得
Rd.09 カタルニアGP:アレックス・マルケスが最後尾から追い上げて10位
Rd.10 ドイツGP:猛暑のレースで苦戦。代役出場のステファン・ブラドルが16位
Rd.11 オランダGP:中上貴晶12位、アレックス・マルケス15位でポイント獲得
Rd.12 イギリスGP:中上貴晶13位、ポル・エスパルガロ14位でフィニッシュ
Rd.13 オーストリアGP:Honda勢苦戦の一日。アレックス・マルケス14位でポイント獲得
Rd.14 サンマリノGP:アレックス・マルケス10位、ステファン・ブラドル14位、中上貴晶15位でポイント獲得
Rd.15 アラゴンGP:アレックス・マルケス12位、ポル・エスパルガロが15位でポイントを獲得
Rd.16 日本GP:復帰2戦目のマルク・マルケスが4位でフィニッシュ
Rd.17 タイGP:マルク・マルケス、雨のレースで5位フィニッシュ
Rd.18 オーストラリアGP:マルク・マルケス2位。復帰4戦目で表彰台を獲得
- Standings
Pos. | Rider | Num. | チーム | Constr. | Pts |
---|---|---|---|---|---|
1 | Francesco BAGNAIA | 63 | Ducati Lenovo Team | Ducati | 265 |
2 | Fabio QUARTARARO | 20 | Monster Energy Yamaha MotoGP | Yamaha | 248 |
3 | Enea BASTIANINI | 23 | Gresini Racing MotoGP | Ducati | 219 |
4 | Aleix ESPARGARO | 41 | Aprilia Racing | Aprilia | 212 |
5 | Jack MILLER | 43 | Ducati Lenovo Team | Ducati | 189 |
6 | Brad BINDER | 33 | Red Bull KTM Factory Racing | KTM | 188 |
13 | Marc MÁRQUEZ | 93 | Repsol Honda Team | Honda | 113 |
16 | Pol ESPARGARO | 44 | Repsol Honda Team | Honda | 56 |
17 | Alex MÁRQUEZ | 73 | LCR Honda CASTROL | Honda | 50 |
18 | Takaaki NAKAGAMI | 30 | LCR Honda IDEMITSU | Honda | 48 |
26 | Stefan BRADL | 6 | Repsol Honda Team | Honda | 2 |