アラゴンGPからの連戦となった今大会は、機材の輸送に時間がかかることが予想されたため、金曜日は午後からの走行となり、土曜日は接近した台風の影響で、大幅にスケジュールが変更されました。その結果、MotoGPクラスはフリー走行が2回だけ。その後に行われた予選では、マルク・マルケスが2019年の日本GP以来、3年ぶりのポールポジション(PP)を獲得しました。
そして迎えた決勝では、序盤5番手につけると4位争いのグループに加わり、ラスト3周となった22周目にミゲル・オリベイラ(KTM)をかわします。その後も、オリベイラ、ルカ・マリーニ(ドゥカティ)らをしっかり抑え、24周のレースを4位でフィニッシュしました。PPを獲得したことで多くのファンが表彰台獲得を期待しましたが、右腕のパワーがまだ完全ではないため本来のパフォーマンスは発揮できませんでした。
マルク・マルケスは今大会がMotoGPクラス150戦目(全クラス通算228戦)。これまでモビリティリゾートもてぎでは4勝を挙げ、日本のレースファンの脳裏に焼き付く名勝負を残してきました。今年は表彰台には立てませんでしたが、多くのファンの記憶に残るレースになりました。
チームメートのポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)も、マルク・マルケス同様、今回が150回目のGP出場となりました。ウエットコンディションで行われた予選は11番手でしたが、ドライコンディションだった初日のフリー走行では手応えある走りで7番手。青空が広がった決勝レースでは、マルコ・ベツェッキ(ドゥカティ)、ヨハン・ザルコ(ドゥカティ)らと10番手争いを繰り広げましたが、最終的に僅差の12位でフィニッシュしました。
予選17番手から決勝に挑んだアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、ポル・エスパルガロと1秒差の13位でチェッカーを受けました。過去、もてぎでは、Moto2とMoto3を制しているアレックス・マルケスは、予選17番手という厳しいグリッドから追い上げてポイントを獲得しました。
前戦アラゴンGPで転倒し、右手を負傷している中上は、厳しい走りを強いられましたが、20位でフィニッシュしました。今大会、中上は走行をこなす毎にアラゴンで負傷した右手小指と薬指の状態が悪化。好スタートを切った中上はオープニングラップに21番手へ浮上しましたが、その後は、なかなかペースを上げられませんでした。レース中は、いつリタイアしようかと考えるほどの状態でしたが。今季もっとも厳しい体調で最後まで走り切った中上に日本のファンから暖かい拍手が送られました。
厳しい戦いを終えた中上は、右手小指と人差し指がさらに悪化したことから、連戦となるタイGPの前に医師の診断を受けることにしました。
ワイルドカードで出場した長島哲太(Team HRC)は、19番グリッドから決勝に挑み、24番手を走行していた10周目に転倒し、リタイアに終わりました。今大会がMotoGPデビュー戦となった長島は、レギュラーライダーたちから本当に多くのことを学びました。結果は残せませんでしたが、これからのマシン開発に向けて収穫ある3日間となりました。