【2022シーズン総集編】小椋藍が3勝を挙げ総合2位。チャントラも初勝利含む4度の表彰台で、チームランキング2位に躍進
2022年のロードレース世界選手権Moto2クラスは全20戦が行われ、IDEMITSU Honda Team Asiaからは参戦4年目のタイ人ライダー、ソムキアット・チャントラと、昨年クラス初年度ながら総合8位と健闘を見せた小椋藍が継続参戦した。
開幕戦カタールGPでは、小椋が5番手スタートから表彰台争いに加わったが、最終ラップ最終コーナーで接触によりコースアウト。惜しくも6位フィニッシュとなったが、開幕戦で見せた高いポテンシャルは、その後の活躍を予感させるものであった。
チャントラがタイ人初のグランプリ制覇
チャントラは予選での負傷により開幕戦を欠場したが、そのうっぷんを晴らすかのように第2戦インドネシアGPで躍動する。4番グリッドからホールショットを奪うと、そのまま独走し、2位に3秒の差をつけ初優勝。Moto2通算50戦目のこの勝利は、タイ人にとってのグランプリ初優勝の偉業ともなった。
続く第3戦アルゼンチンGPでもチャントラは好調で、7番グリッドから2位を獲得。小椋も3位に入り、IDEMITSU Honda Team Asiaがダブル表彰台を獲得、チームランキングトップに立った。第4戦アメリカズGPでは小椋が11番手から2位でフィニッシュし、2戦連続の表彰台で総合2位に浮上。激戦のMoto2クラスで、2人は上々の序盤戦を過ごした。
小椋が悲願の初優勝 タイトル争いに名乗り
第6戦スペインGPでは、小椋が自身初となるポールポジションを獲得。決勝では一度も首位を譲らず、念願のグランプリ初勝利を果たした。Moto3クラスから通算して12回目の表彰台でついに頂上に立ったのである。
第7戦フランスGPではチャントラが3位、第8戦イタリアGPでは小椋が3位でそれぞれ表彰台に登壇し、小椋はランキング首位と同ポイントに。第9-10戦はやや苦戦し、第11戦オランダGPでも小椋は4番手スタートから一時16番手までポジションを下げてしまう。しかし、そこから速さを取り戻した小椋は、驚異の追い上げを見せて2位でフィニッシュ。総合首位まで1ポイント差に迫り、前半戦を終えた。
IDEMITSU Honda Team Asia初の1-2フィニッシュ
サマーブレイク明けの第12戦イギリスGPでは小椋が4位フィニッシュ。第13戦オーストリアGPでは、予選で小椋が2度目のポールポジション、チャントラが5番手。第3戦以来のダブル表彰台の期待がかかる中、決勝終盤には2人が完全に抜け出し、一騎打ちの優勝争いに。最終ラップでチャントラが前に出るも、膨らんだところを小椋が抜き返してトップでフィニッシュし、チャントラが2位。3番手を7秒以上突き放す、圧倒的な1-2フィニッシュを飾り、小椋は総合首位に浮上した。ここからタイトル争いは、アウグスト・フェルナンデス(Red Bull KTM Ajo)との完全な一騎打ちとなった。
3年ぶりの日本GPで小椋が優勝 タイトル争いはより熾烈に
第16戦は3年ぶりの開催となった日本GP。第14-15戦ではフェルナンデスの先着を許し、7ポイントビハインドで迎えた小椋は、ウエットコンディションの予選で13番手にとどまるが、ドライコンディションの決勝では好走を見せる。オープニングラップに5番手まで浮上し、13周目にはついにトップに立つ。最終22周目まで逃げ切った小椋は、Moto2クラスで初めてのホームGPで優勝。現在チーム監督を務める青山博一以来、16年ぶりに日本人ライダーとして日本GPで勝利を挙げた。2位でフィニッシュしたフェルナンデスとのポイント差は2点に縮まった。
チャントラがホームGPで初PP 小椋が総合首位でラスト2戦へ
続く第17戦はチャントラのホーム、タイGP。予選ではチャントラが自身初のポールポジションを獲得し、母国のファンを沸かせた。しかし決勝は激しい雨のコンディションとなり、2周目に転倒。8周で赤旗中断、そのまま終了となったレースで、小椋は3番手スタートから6位フィニッシュとなった。
第18戦オーストラリアGPは、29台中11台が転倒という厳しい戦いの中、小椋は11位でフィニッシュ。フェルナンデスが転倒リタイアに終わったことで、小椋が3.5ポイント差で首位に浮上し、大接戦のまま残り2戦へと向かうこととなった。
タイトルを懸けてアグレッシブな走りを見せた小椋
第19戦マレーシアGPでは、小椋が3回目のポールポジションを獲得、フェルナンデスは6番手に終わり有利な位置につける。決勝では2番手スタートのトニ・アルボリーノ(Elf Marc VDS Racing Team)との一騎打ちの中で、最終ラップでトップを狙うも転倒。最終戦がフェルナンデスのホーム、バレンシアで行われるだけに、少しでもリードを広げておきたかった小椋だが、厳しい結果となった。
9.5ポイントビハインドで迎えた最終戦、バレンシアGP。逆転タイトルを目指して、5番手からスタートした小椋は、3番手スタートのフェルナンデスの前に出て、序盤は2番手を走行する。しかし、8周目の8コーナーでフロントから転倒を喫し、ここで勝負あり。2位でフィニッシュしたフェルナンデスがチャンピオンを獲得した。
惜しくもタイトルは逃したものの、小椋は3勝含む7度の表彰台で総合2位に躍進。チャントラも初優勝を含む4度の表彰台で、昨年の総合18位から10位へとジャンプアップを果たした。2人の活躍で、IDEMITSU Honda Team Asiaはチームランキング2位に。2023年も同じラインナップで、チームはさらなる高みを目指していくこととなる。
Race Report
Rd.01 カタールGP:表彰台登壇を狙った小椋藍は6位フィニッシュ
Rd.02 インドネシアGP:ソムキアット・チャントラがタイ人として初のグランプリ制覇
Rd.03 アルゼンチンGP:チャントラ2位表彰台、小椋3位表彰台でIDEMITSU Honda Team Asiaがチームランキング首位
Rd.04 アメリカズGP:小椋藍が2戦連続表彰台登壇でランキング2位に浮上
Rd.05 ポルトガルGP:小椋とチャントラは多重クラッシュの影響でリタイア
Rd.06 スペインGP:小椋藍がポール・トゥ・ウイン 世界選手権初優勝を飾る
Rd.07 フランスGP:ソムキアット・チャントラが今季3回目の表彰台となる3位
Rd.08 イタリアGP:小椋藍が今季4回目の表彰台で総合ランキング首位に並ぶ
Rd.09 カタルニアGP:小椋藍が7位フィニッシュし、ランキング2位を死守
Rd.10 ドイツGP:小椋藍が総合首位とのポイント差を縮める
Rd.11 オランダGP:小椋藍、アッセンで16番手から驚異の追い上げをみせ2位でフィニッシュ
Rd.12 イギリスGP:タイトルを争う小椋が4位フィニッシュ
Rd.13 オーストリアGP:小椋とチャントラが1-2フィニッシュ。小椋が総合トップに立つ
Rd.14 サンマリノGP:小椋は難しい週末を乗り越え5位フィニッシュ
Rd.16 日本GP:小椋藍がホームグランプリで予選13番手から逆転優勝
Rd.17 タイGP:雨による中断でハーフポイントレースに。小椋藍が6位でフィニッシュ
Rd.18 オーストラリアGP:小椋藍、ポイントランキング首位に
- Standings
Pos. | Rider | Num. | チーム | Constr. | Pts |
---|---|---|---|---|---|
1 | Augusto FERNANDEZ | 37 | Red Bull KTM Ajo | Kalex | 271.5 |
2 | Ai OGURA | 79 | IDEMITSU Honda Team Asia | Kalex | 242 |
3 | Aron CANET | 40 | Flexbox HP40 | Kalex | 200 |
4 | Tony ARBOLINO | 14 | Elf Marc VDS Racing Team | Kalex | 191.5 |
5 | Pedro ACOSTA | 51 | Red Bull KTM Ajo | Kalex | 177 |
6 | Jake DIXON | 96 | Inde GASGAS Aspar Team | Kalex | 168.5 |
10 | Somkiat CHANTRA | 35 | IDEMITSU Honda Team Asia | Kalex | 128 |