MXGP

【2021年総集編】ティム・ガイザーがランキング3位でシーズンを終える

新型コロナウイルス感染症の流行によりスタートが遅れた2021年モトクロス世界選手権は、11月中盤に全レースを終わらせるため、最終8ラウンドを6週間で開催するという、極めてタイトなスケジュールとなった。近年では最も激しく争われたシーズンとなった2021年は、ティム・ガイザー(Team HRC)がわずか20ポイント差で5度目のチャンピオンを逃し、3位でシーズンを終えた。

【2021年総集編】ティム・ガイザーがランキング3位でシーズンを終える

6月13日に行われた開幕戦ロシアGPでは、例年同様2レースとも日曜日に開催。ガイザーがレース1とレース2を制し、完全優勝を果たした。続く第2戦イギリスGPでもガイザーは1勝を挙げ、総合ポイントでのリードを伸ばした。MX2クラスのルーベン・フェルナンデス・ガルシア(Honda 114 Motorsports)も手堅くポイントを重ね、Hondaとして数年ぶりとなるMXGP・MX2両クラスでポイントリーダーとして第3戦イタリアGPに参戦。CRF450RW・CRF250Rともに2021シーズンでの最高レベルのパフォーマンスが実証された形となった。


MXGP開幕戦でガイザーが完全優勝
MXGP開幕戦でガイザーが完全優勝

オランダのオスで開催された第4戦でも1勝を挙げ、ガイザーとチームはマシンがオールマイティであることを立証。続く数ラウンドでは、ガイザーは不運に見舞われながらも確実にポイントを獲得し、第7戦ラトビアを終えてランキング総合1位をキープしたまま、今シーズン初のダブルヘッダーが行われるトルコへと向かった。

トルコで4レース中2レースで優勝したガイザーは、シーズンの折り返し点を目前に、ポイントリードを28ポイントに伸ばしたものの、ヨーロッパに戻って間も無くアクシデントに遭遇。練習中に負傷、手術をしたガイザーは、7日後の過酷な第10戦サルデーニャGPに向け理学療法を受けることとなった。なんとかレース1でスタートは切れたものの、1コーナー目でライダーの転倒に巻き込まれ、順位を落としてしまう。それでも19番手まで順位を戻し、レース1を完走。続くレース2では、痛みに耐えながらも他のライダーを追い越し、8位でフィニッシュ。サルデーニャGPを終えた時点でガイザーはポイントリーダーとわずか1点差、次戦まで数週間の療養の期間を得たガイザーは、まだまだチャンピオンシップを優勝するチャンスを残していた。


ガイザーは第9戦アフィヨンGPでシーズン5勝目を挙げた
ガイザーは第9戦アフィヨンGPでシーズン5勝目を挙げた

モトクロス・オブ・ネイションズ(国別対抗団体戦)の出場を見合わせ、休養に専念したガイザーは翌週、最も得意なコースの一つ、ドイツのトイチェンタルでのレースに臨んだ。わだちの多いハードパックを見事にこなし、レース1で3位、レース2で優勝。ランキング首位に返り咲き、ポイントリーダーの証であるレッドプレートを取り戻した。


第11戦ドイツGPで総合優勝を果たして首位を奪還したガイザー
第11戦ドイツGPで総合優勝を果たして首位を奪還したガイザー

しかし、小さなトラブルの積み重ねでガイザーは首位を明け渡してしまう。ラカペルマリヴァルで開催された第12戦フランスGPでは、ガイザーが未経験のコースで、1デイフォーマットでは学習する間もなく3位。スペインでも不運に見舞われ、レース1では2番手にポジションアップしようとしかけた際にクラッシュ。総合3位に終わる。5ラウンド(トレンティーノGP 3ラウンド/チッタディマントバGP 2ラウンド)を残したガイザーは勢いを失っていた。


第12戦、ガイザーは未経験のコースながらレース1で6位、レース2で3位となった
第12戦、ガイザーは未経験のコースながらレース1で6位、レース2で3位となった

トレンティーノGPのトリプルヘッダーが開催されたのは、ガイザーが熟知して好んでいるイタリアのピエトラムラタ。2015年に初めてGP優勝を果たしたのもこの地で、何かとガイザーのキャリアの大事な局面で縁があるコースだ。7度目の優勝を含め、3戦とも確実なライディングで14ポイントを追加。2ラウンドを残しポイントリーダーと1ポイント差に迫った。

しかし、シーズンも残り4レースとなった第17戦ロンバルディアGPで、ガイザーは痛恨のペナルティーを受けてしまう。他のライダーとの接触によりコースを外れ、ガイザーはのちに合流したものの、レース後にショートカットと判定されて5ポジション降格。結果的にポイントリーダーとは15ポイント差、2位とも12差がついてしまう。


第17戦終了時点で、ガイザーはポイントリーダーとは15ポイント差の3位に
第17戦終了時点で、ガイザーはポイントリーダーとは15ポイント差の3位に

ガイザーは最終戦チッタディマントバGPで総合2位となり、18ラウンド中13度目の表彰台に登壇も、残念ながら2019年・2020年のようにチャンピオンの座を守ることができず、総合ランキング3位でシーズンを終えた。ただ、ラスト2戦ではいいニュースもあった。MX2レッドプレート・ホルダーのフェルナンデスがMXGPクラスでデビューし、初めてCRF450Rで参戦したにも関わらず4位入賞。フェルナンデスにとってすばらしい功績であり、来年MX2に戻って戦う上で自信にもつながる結果となった。

2021年シーズンをケガで欠場したミッチェル・エバンス(Team HRC)は2022年に予定通りカムバック。ガイザーとともにTeam HRCは来年、フルラインアップで挑むこととなる。


Race Reports


  • Standings
Pos. Rider Num. チーム Constr. Pts
1 Jeffrey HERLINGS 84 Red Bull KTM Factory Racing KTM 708
2 Romain FEBVRE 3 Monster Energy Kawasaki Racing Team Kawasaki 703
3 Tim GAJSER 243 Team HRC Honda 688
4 Jeremy SEEWER 91 Monster Energy Yamaha Factory MXGP Yamaha 566
5 Jorge PRADO 61 Red Bull KTM Factory Racing KTM 562
6 Antonio CAIROLI 222 Red Bull KTM Factory Racing KTM 545
7 Glenn COLDENHOFF 259 Monster Energy Yamaha Factory MXGP Yamaha 442
8 Pauls JONASS 41 Standing Construct GASGAS Factory Racing Team GasGas 391
9 Thomas Kjer OLSEN 19 Rockstar Energy Husqvarna Factory Racing Husqvarna 332
10 Alessandro LUPINO 77 MRT Racing Team KTM KTM 319
11 Ben WATSON 919 Monster Energy Yamaha Factory MXGP Yamaha 300
12 Brian BOGERS 189 Standing Construct GASGAS Factory Racing Team GasGas 290
13 Jeremy VAN HOREBEEK 89 BETA-SDMCORSE MX TEAM Beta 232
14 Calvin VLAANDEREN 10 Gebben Van Venrooy Yamaha Racing Yamaha 203
15 Henry JACOBI 29 JM Honda Racing Honda 188
16 Brent VAN DONINCK 32 Gebben Van Venrooy Yamaha Racing Yamaha 152
17 Shaun SIMPSON 24 SS24 KTM MXGP KTM 126
18 Alberto FORATO 303 SM ACTION RACING TEAM YUASA Battery GasGas 119
19 Arnaud TONUS 4 hostettler Yamaha Racing Yamaha 119
20 Benoit PATUREL 16 Honda SR Motoblouz Honda 110
21 Kevin STRIJBOS 22 Gebben Van Venrooy Yamaha Racing Yamaha 106
22 Arminas JASIKONIS 7 Rockstar Energy Husqvarna Factory Racing Husqvarna 103
23 Tom KOCH 226 KTM Kosak Team KTM 76
24 Dylan WRIGHT 109 Honda 114 Motorsports Honda 75
25 Mathys BOISRAME 172 Monster Energy Kawasaki Racing Team Kawasaki 62
26 Ruben FERNANDEZ 70 Honda 114 Motorsports Honda 56
27 Ivo MONTICELLI 128 Monster Energy Kawasaki Racing Team Kawasaki 54
28 Alvin ÖSTLUND 161 JK Racing Yamaha Yamaha 50
29 Valentin GUILLOD 92 hostettler Yamaha Racing Yamaha 49
30 Lorenzo LOCURCIO 183 JD GUNNEX KTM Racing Team KTM 47
31 Vsevolod BRYLYAKOV 18 JWR Racing Honda 45
32 Adam STERRY 811 Hitachi KTM fuelled by Milwaukee KTM 39
33 Jordi TIXIER 911 JT911 KTM Racing Team KTM 33
34 Cyril GENOT 105 KTM Sarholz Racing Team KTM 15
35 Josh GILBERT 326 Josh Gilbert Husqvarna 11
36 Jose BUTRON 17 JD GUNNEX KTM Racing Team KTM 11
37 Evgeny BOBRYSHEV 777 PAR Homes RFX Husqvarna Husqvarna 6
38 Lars VAN BERKEL 107 Honda SR Motoblouz Honda 5
39 Jimmy CLOCHET 520 BETA-SDMCORSE MX TEAM Beta 4
40 Nathan WATSON 991 Honda SR Motoblouz Honda 4
41 Maxime DESPREY 21 Team GSM DAFY MICHELIN YAMAHA Yamaha 3
42 David PHILIPPAERTS 15 Yamaha Yamaha 3
43 Hardi ROOSIORG 75 KTM KTM 1
44 Anton GOLE 297 Motostar.se Husqvarna 1
45 Morgan LESIARDO 44 Morgan Lesiardo Honda 1
46 Todd KELLETT 998 hostettler Yamaha Racing Yamaha 1

レポート公開日
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