INDYCAR SERIES

【INDYCAR 2023総集編】パロウがシーズン5勝を挙げて2年ぶり2度目の戴冠

北米最高峰のフォーミュラカーレース、インディカー・シリーズの2023年シーズンは全17戦が開催された。唯一の日本人ドライバー、佐藤琢磨はChip Ganassi Racingに加入し、前年までのフル参戦からオーバルレース5戦のみという形態に変わっての参戦となった。

【INDYCAR 2023総集編】パロウがシーズン5勝を挙げて2年ぶり2度目の戴冠

開幕戦でエリクソンが優勝し、Hondaドライバー2人が表彰台登壇

2023年シーズンもアメリカ東部のフロリダ州セントピーターズバーグで開幕し、プラクティスから決勝レースまで快晴のもとで行われた。大きな盛り上がりを見せた開幕戦は、決勝スタート直後に多重アクシデントが発生、レース終盤にはトップを争う2台がクラッシュするなど、波乱含みの展開に。混沌をくぐり抜け、残り4周でトップに立ったのは予選4番手だったマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)だった。エリクソンは後続を突き放して優勝を飾り、シーズンの好スタートを切った。


マーカス・エリクソン/開幕戦セントピーターズバーグ
マーカス・エリクソン/開幕戦セントピーターズバーグ

Hondaドライバーが1位から5位までを独占

第3戦ロングビーチでは、カイル・カークウッド(Andretti Autosport)が圧倒的なパフォーマンスを見せた。予選でキャリア初となるポールポジションを獲得し、決勝ではこれまたキャリア初の勝利を飾った。2位にはチームメートのロマン・グロージャン、3位にはエリクソンが続くなど、Honda勢が1-5位を独占する結果となった。

第5戦はインディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースで行われ、アレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)が優勝。ランキングトップに立って、伝統のインディアナポリス500マイルに臨む。


Hondaドライバーが表彰台独占/第3戦ロングビーチ
Hondaドライバーが表彰台独占/第3戦ロングビーチ

Chip Ganassi Racing勢が躍動したインディ500

プラクティスから決勝まで、およそ2週間かけて行われるインディ500。プラクティスからChip Ganassi Racing勢が好調ぶりを見せ、佐藤も2日目、4日目に最速をマークした。予選ではChip Ganassi Racingの4台がトップ12に残り、パロウが自身初、Hondaとしては4年連続となるポールポジションを獲得。佐藤は8番グリッドからレースに挑むこととなった。

決勝では、10番手スタートのエリクソンが徐々に順位を上げ、4回目のピットストップを終えたところでトップに浮上。2連覇の快挙を目指してトップを守っていたが、3度の赤旗中断の影響を受け、ファイナルラップで逆転を許して2位に終わった。


マーカス・エリクソン/第6戦インディ500
マーカス・エリクソン/第6戦インディ500

佐藤は決勝を前にしたファイナルプラクティス(カーブデー)でも最速をマークするなど好調をキープしたが、決勝では集団の中でのペースに苦戦し後退。それでも、赤旗中断後のリスタートでポジションを上げ、7位でフィニッシュした。パロウは接触により28番手まで下がるも、怒涛の追い上げをみせて4位、スコット・ディクソンが6位と、Chip Ganassi Racingの4台がいずれも上位フィニッシュとなった。


佐藤琢磨/第6戦インディ500
佐藤琢磨/第6戦インディ500

パロウが3連勝でリードを拡大

インディ500で4位入賞を果たしたパロウはポイントリーダーとして中盤戦を迎え、ここから快進撃をみせた。インディ500翌週の第7戦デトロイトで2勝目をマークすると、続く第8戦ロードアメリカ、第9戦ミッドオハイオでも勝利を挙げて3連勝。ランキング2位のディクソンに対して110点差と大きくリードを広げてシーズンを折り返した。

第10戦トロントでは、フル参戦2年目の21歳、クリスチャン・ルンガー(Rahal Letterman Lanigan Racing)がキャリア初優勝を達成。パロウはフロントウイングを破損しながらもハイペースを保つ驚異の走りで2位表彰台を獲得した。第12戦アイオワ2、第13戦ナッシュビルでも連続で3位入賞を果たし、ポイントリーダーの座を確たるものにしていく。


アレックス・パロウ/第9戦ミッドオハイオ
アレックス・パロウ/第9戦ミッドオハイオ

ディクソンが連勝でタイトル争いへ浮上

第14戦はインディアナポリスのロードコースで今季2度目の開催となった。ここでは、スタート直後にマシンにダメージを受けたディクソンが2ストップ作戦を成功させて、シーズン初勝利。ディクソンはこれでキャリア54勝、自身の持つ連続シーズン勝利記録を19年に伸ばした。

第15戦セントルイスは今シーズン最後のオーバルレースとして行われた。ディクソンは16番手スタートながらも、ハイスピードと低燃費を高次元で両立するドライビングでライバルを寄せ付けず、20秒以上の大差をつけて優勝。総合ランキング3位につけていたジョセフ・ニューガーデン(シボレー)がレース終盤にリタイアしたことにより、チャンピオン争いはパロウとディクソンの2人に絞られた。残り2戦で獲得できる最多得点は108点、2人の差は74点で、ディクソンにもわずかに逆転タイトルの可能性が残された。


スコット・ディクソン/第15戦セントルイス
スコット・ディクソン/第15戦セントルイス

パロウがシーズン5勝目でタイトル獲得 ディクソンが総合2位

ポートランドで行われた第16戦。チャンピオンに王手をかけていたパロウは5番手からスタートすると、1回目のピットを終えたタイミングでトップに浮上した。ディクソンは2番手につけ、パロウとは違うタイヤ戦略で追撃を図ったが、ハイペースを維持したパロウが徐々にリードを拡大。ミスなくトップを守って5勝目を挙げ、最終戦を待たずに2年ぶり2度目のタイトルを決めた。

第16戦を3位で終えたディクソンはランキング2位を確定し、迎えた最終戦ラグナセカで勝利。終盤4戦で3勝を挙げる活躍をみせた。


アレックス・パロウ/第16戦ポートランド
アレックス・パロウ/第16戦ポートランド

ディクソンの最終戦勝利でHondaは23年シーズンに12勝を記録し、ストリート、ロード、オーバルと、全てのコースバラエティで勝利。Hondaが1シーズンに10勝以上をマークするのはこれで8回目となる。デビュー12年目となった2.2リッターV6ターボのHondaエンジンとしては、18年に記録した11勝を上回って最多勝利記録を更新。23年の勝率は70%以上という華々しいシーズンとなった。


Race Report

Rd.01 セントピーターズバーグ:エリクソンが開幕戦で優勝し、ディクソンが3位。Hondaドライバー2人が表彰台登壇

Rd.02 テキサス:テキサスの高速バトルでパロウとマルカスが輝く走りを見せ、3位、4位でフィニッシュ

Rd.03 ロングビーチ:カークウッドがポールポジションからキャリア初優勝を飾り、Hondaドライバーが1位から5位までを独占

Rd.04 バーバー:グロージャンがポールポジションから2位表彰台。エリクソンは10位フィニッシュでポイントリーダーの座を保つ

Rd.05 インディアナポリス:パロウが伝統あるスピードウェイのロードコースで優勝。“インディアナポリスの5月”を最高の形でスタート

Rd.06 インディ500:第107回インディアナポリス500でエリクソンが2連勝にあと一歩の2位

Rd.07 デトロイト:ストリートレースに変わったデトロイトGPの初代ウイナーはパロウ。Hondaはシーズン4勝目

Rd.08 ロードアメリカ:パロウがロードアメリカでシーズン3勝目を挙げる

Rd.09 ミッドオハイオ:パロウがミッドオハイオで優勝、3連勝でのシーズン4勝目

Rd.10 トロント:ルンガーがトロントでキャリア初優勝。パロウは2位フィニッシュでポイントリードを伸ばす

Rd.11 アイオワ1:ダブルヘッダー1戦目でエリクソンが4位フィニッシュ

Rd.12 アイオワ2:ポイントリーダーのパロウが3位表彰台

Rd.13 ナッシュビル:カークウッドのキャリア2勝目でHondaはナッシュビル3年連続優勝

Rd.14 インディアナポリス:ディクソンが今シーズン初優勝でポイントランキング2位へ浮上

Rd.15 セントルイス:ディクソンがセントルイスで今シーズン2勝目。タイトル争いは2人のHondaドライバーに絞られる

Rd.16 ポートランド:今季5勝目をマークしたパロウが自身2度目のシリーズチャンピオン。ディクソンは総合ランキング2位が確定

Rd.17 ラグナセカ:ディクソンが最終戦で今シーズン3勝目 Hondaエンジン勢は17戦で12勝を記録


ポイントランキング

Pos. Driver Num. チーム Constr. Pts
1 Alex PALOU 10 Chip Ganassi Racing Honda 656
2 Scott DIXON 9 Chip Ganassi Racing Honda 578
3 Scott MCLAUGHLIN 3 Team Penske Chevrolet 488
4 Pato O'WARD 5 Arrow McLaren SP Chevrolet 484
5 Josef NEWGARDEN 2 Team Penske Chevrolet 479
6 Marcus ERICSSON 8 Chip Ganassi Racing Honda 438
8 Christian LUNDGAARD 45 Rahal Letterman Lanigan Racing Honda 390
10 Colton HERTA 26 Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian Honda 356
11 Kyle KIRKWOOD 27 Andretti Autosport Honda 352
13 Romain GROSJEAN 28 Andretti Autosport Honda 296
15 Graham RAHAL 15 Rahal Letterman Lanigan Racing Honda 276
17 David MALUKAS 18 Dale Coyne Racing with HMD Motorsports Honda 265
18 Hélio CASTRONEVES 6 Meyer Shank Racing Honda 217
20 Marcus ARMSTRONG 11 Chip Ganassi Racing Honda 214
22 Devlin DEFRANCESCO 29 Andretti Steinbrenner Autosport Honda 177
23 Sting Ray ROBB 51 Dale Coyne Racing with RWR Honda 147
24 Jack HARVEY 30 Rahal Letterman Lanigan Racing Honda 146
25 Conor DALY 30 Rahal Letterman Lanigan Racing Honda 134
28 Simon PAGENAUD 60 Meyer Shank Racing Honda 88
29 Takuma SATO 11 Chip Ganassi Racing Honda 70
31 Linus LUNDQVIST 60 Meyer Shank Racing Honda 35
33 Juri VIPS 30 Rahal Letterman Lanigan Racing Honda 18
34 Tom BLOMQVIST 60 Meyer Shank Racing Honda 16
35 Marco ANDRETTI 98 Andretti Herta Autosport w/ Marco Andretti & Curb-Agajanian Honda 13
37 Katherine LEGGE 44 Rahal Letterman Lanigan Racing Honda 5

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