テキサスの高速バトルでアレックス・パロウとデビッド・マルカスが輝く走りを見せ、3位、4位でフィニッシュ
2023年のインディカーシリーズ第2戦PPG375は、テキサス州の大都市ダラス郊外にあるテキサスモータースピードウェイで開催されました。
ターン1とターン2に20度、ターン3とターン4に24度という急なバンクがつけられた全長1.5マイルのオーバルコースで、エントリーした28台のインディカーによるハイスピードバトルが繰り広げられ、Hondaエンジン搭載マシンで戦うアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing) が3位フィニッシュし、デビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD)、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)、コルトン・ハータ(Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian)も4、5、7位でゴールしました。
今年の春のテキサス州は天候が不安定で、今日のレースも降雨に見舞われる可能性が心配されていました。そこでレースを主催するインディカーは、雨を避けるために14分間だけですがレースを予定より早くスタートさせました。
スタート時の気温は摂氏22度。薄雲の広がっていた空はレースのスタート後に青空が出すまでに変わり、サーキット上空に雨雲が近づくことはありませんでした。
レースはフルディスタンスで争われ、オープンホイールのインディカーならではのスリリングなバトルがゴールまで続けられました。Hondaドライバーの中からトップ争いに加わったのは、Chip Ganassi Racingのパロウとディクソン、Andretti Autosportのハータとロマン・グロージャンでした。彼らのバトルはゴールが近づくに連れてヒートアップして行き、最終的に合計8人のドライバーが27回ものリードチェンジを行う、一瞬たりとも目の離せない戦いになりました。
ヨーロッパ出身でF1グランプリからインディカーへと移って来て3シーズン目を迎えているグロージャンは、インディカーでの初優勝をテキサスのオーバルで記録するチャンスを手にし、アグレッシブに走っていました。若手のパロウやマルカス、ハータたちと、ベテランのディクソンやグロージャンらが1ラップごと、1コーナーごとに順位を入れ替える非常にエキサイティングなバトルに、集まったファンは最後まで歓声を上げ続けていました。しかし、バトルがより激しさを増したレースの終盤、ゴールまで残り2周というところで、グロージャンはクラッシュを喫しました。彼のアクシデントにより、イエローフラッグとチェッカーフラッグが同時に振られてレースは終了。Hondaドライバーはトップ5に3人が食い込みました。そして、フロリダ州セントピーターズバーグでの開幕戦で優勝したマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)は、しぶとい走りで8位でゴールを達成し、INDY500で史上最多タイの4勝を挙げている大ベテランのエリオ・カストロネベス(Meyer Shank Racing)も確実な走りを続けて10位でフィニッシュ。Honda勢6人がトップ10でレースを終えました。
2010年からのインディカーシリーズ参戦でINDY500での2勝を含む通算6勝を挙げてきている佐藤琢磨は、今年はオーバルレースにChip Ganassi Racingから参戦することとなり、今週末のテキサスが彼にとっての今シーズン最初のレースでした。オフの間のテストがほとんど許されないレギュレーションのため、佐藤は今週末の土曜日のプラクティスが移籍先チームでの初走行でしたが、豊富な経験を持つ上、テキサスモータースピードウェイは2019年にポールポジションを獲得し、昨シーズンも予選で3位になっているコースとあって、佐藤はプラクティス1、予選、プラクティス2と着実にマシンへの習熟度を高めて行き、予選では6番手という好結果を手にしました。
レースでの佐藤は、マシンのハンドリングやタイヤの摩耗などを確かめる戦いぶりを見せていました。走行ポジションは12番手まで下がっていましたが、1回目のピットストップが近づいてきた頃にペースを上げ始めていました。ライバル勢の中にはタイヤのグリップを失ってスピードダウンをする者も現れ出し、佐藤はそのような遅いマシンに悪いタイミングで急接近。コース外側に押しやられる形でクラッシュを喫しました。ピットストップを重ねてマシンにファインチューニングを施し、レース後半に上位へと進出する戦いを展開していた佐藤でしたが、46周でリタイアという短いレースとなりました。