まだ3月初旬だというのに、今年もセントピーターズバーグのレースウイークエンドは好天に恵まれ、プラクティスの始まった金曜日から決勝レースの行われた日曜日まで快晴で、最高気温は28℃にも達しました。

インディカーシーズンの開幕を待ち侘びていた多くのファンが詰めかけ、大きな盛り上がりを見せた開幕戦は、スタート超後に多重アクシデントが発生し、レース終盤にはトップを争う2台が絡み、両者揃ってタイヤバリアに突っ込むなど、非常にワイルドなレースとなりました。
それらの混沌をくぐり抜け、ゴール前4周でトップに立ったのが、予選4番手だったマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)でした。ゴールまで12周で切られたリスタート直後、路面の汚れをタイヤが拾った彼はトップを行くパト・オワード(シボレー)に2秒以上の差をつけられましたが、自らのスピードに自信を持っていたエリクソンは少しずつ着実に差を縮めて行き、ライバルにプレッシャーをかけ続けました。
もうゴールまで残り周回数が4周となったとき、オワードの加速が最終コーナーの立ち上がりで一瞬鈍りました、エリクソンはその隙を逃さずにオーバーテイクを成功させ、そこからは後続をぐんぐんと突き放し、開幕戦優勝という最高のシーズンスタートを切りました。この勝利はエリクソンにとってセントピーターズバーグにおける初めてのものであり、昨年のINDY500以来となるキャリア4勝目となりました。
2003、2008、2013、2015、2018、2020年の6回インディカーのシリーズチャンピオンに輝いているスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は、予選9番手から表彰台に上る3位でのゴールに成功しました。ハードタイヤを装着してスタートした彼は、スピードと燃費セーブを両立させて誰よりも多くの周回を重ねて大きくポジションをゲイン。7度目のタイトル獲得に向け、とてもよいスタートを切りました。
グレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)は予選20番手から6位まで大きく順位を上げてゴールし、2021年チャンピオンのアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)は8位、昨年度ルーキーオブザイヤーのクリスチャン・ルンガー(Rahal Letterman Lanigan Racing)は9位、同じく参戦2シーズン目のデビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD Motorsports)は10位でゴールと、6人のHondaドライバーたちがトップ10でフィニッシュしました。
今年からインディカーシリーズは、世界のメジャーなレーシングシリーズとして初めて100%再生可能な燃料を導入しています。ガソリンエンジンに比べて60%も低公害な燃料を使った初めてのレースでHondaエンジン搭載マシンにのるエリクソンは優勝しました。また、セントピーターズバーグでの開幕戦では、アリゾナ州で育てた植物を原料としたラバーを使ったタイヤが使われました。ハードとソフトの二種類のタイヤがインディカーレースでは使われていますが、ソフトタイヤの方にそのラバーは採用されており、サイドウォールがグリーン色にされています。
シリーズ第2戦は全長1.5マイルの超高速オーバルコースでのレースで、テキサス州に舞台と移し、4月の第1週に開催されます。