ディクソンが最終戦で今シーズン3勝目 Hondaエンジン勢は17戦で12勝を記録
アメリカとカナダで17戦がスケジュールされた2023年のインディカー・シリーズ。最終戦は今年もカリフォルニア州モンテレーのラグナセカ・レースウェイで開催され、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)がキャリア通算56回目の優勝を飾りました。ディクソンはシーズン終盤の4戦で3勝をマーク。今大会は先週の第16戦ポートランドと同様、序盤の試練を乗り越えて勝利をものにしました。
今シーズンのドライバーズチャンピオンシップは、Hondaドライバーのアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)がポートランドでシーズン5勝目を挙げて、キャリア2度目のタイトル獲得をすでに決めていました。
最終戦の舞台はサンフランシスコの南西約100マイルにある海沿いの街、モンテレーの丘陵地帯を利用してレイアウトされたラグナセカ・レースウェイです。アップダウンの激しい全長2.238マイルのサーキットは、コースの舗装が全面的に改修されて大幅なスピードアップが実現。これまで以上にエキサイティングな戦いが見られました。
カリフォルニアらしい青空の下、最終戦は最高気温が21℃と大変過ごしやすいコンディションで開催されました。正午過ぎ、世界の14カ国から集まった27人のドライバーたちがローリングスタートでレースを開始。700馬力オーバーのインディカーを駆って激しいバトルが繰り広げられ、8回ものフルコースコーションが出される波乱の展開となりました。
ディクソンはスタート前にエンジン交換を行ったためにグリッドを6つ下げられ、11番手からスタートを切りましたが、序盤のアクシデントでさらにペナルティーを科されてしまいます。20番手以降に順位を下げましたが、彼らはトップグループと異なるピット戦略を採用。レース展開を味方につけるべく、燃費セーブを行って周回を重ねました。その結果、95周のレースの終盤76周目にはついにトップへ浮上。ペナルティーを跳ね除けたディクソンは、前に出てからはライバル勢を寄せ付けない速さをみせ、7秒以上の大差をつけてチェッカーフラッグを受けました。
チャンピオンのパロウは予選5番手からトップに躍り出て、レース最多の51周をリードしました。しかし、レースの中盤から終盤にかけて複数回出されたフルコースコーションが不利に働き、一時は15番手までポジションダウン。そこからハイペースで大きく追い上げて、結果は3位となりました。今シーズンのパロウは全17戦でトップ10フィニッシュするすばらしい安定感を誇り、最終戦の3位は今シーズン10回目の表彰台登壇でした。
ルーキーのマーカス・アームストロング(Chip Ganassi Racing)は14番手スタートから8位フィニッシュを果たし、2023年のルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。今シーズンはロードコース、ストリートコースだけの参戦でしたが、オーバルコースでの5戦に出場しない不利を乗り越えて栄冠を獲得しました。
アームストロングのマシンをオーバルの5戦で走らせたのが佐藤琢磨でした。世界三大レースの一つ、インディ500での3勝目を目指してChip Ganassi Racingから出走した佐藤は、経験を活かした走りをみせて7位フィニッシュ。それが今シーズンのベストリザルトとなり、5戦のみの出場で年間ランキングは29位となりました。
Hondaは23年シーズンの12勝目を最終戦で記録しました。ストリート、ロード、オーバルと、全てのコースバラエティで勝利。Hondaが1シーズンに10勝以上をマークするのはこれで8回目です。2.2リッターV6ターボのHondaエンジンは今年でデビューから12年目を迎えていますが、18年に記録した11勝を上回って、このエンジンでの最多勝利記録を更新。今シーズンの勝率は70%以上となりました。