ディクソンがセントルイスで今シーズン2勝目。タイトル争いは2人のHondaドライバーに絞られる
2023年のインディカー・シリーズも終盤戦に突入しています。全17戦のうちの第15戦、今シーズン最後のオーバルレースがミズーリ州の大都市セントルイスの郊外にあるワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイで開催され、Hondaエンジン搭載マシンで戦うスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が圧巻の勝利を飾りました。
曇り空と吹き付ける風により、真夏のセントルイスとは思えないほど快適なコンディションとなった今大会。多くのファンが見守る中で、ディクソンは6度のタイトルを獲得してきた類いまれなる才能を披露しました。全長1.25マイルのコースを260周するこのレースを、ディクソンはわずか3回のピットストップで走りきりました。ライバルたちより少ないピットストップで、ハイスピードを保ちながらも燃料消費を抑える彼のドライビングスキルはライバル勢を寄せつけず、16番手スタートという不利をはねのけ、2位に22.2秒の大差をつけてチェッカーフラッグを受けました。今大会の勝利は、先々週の第14戦からの2連勝およびキャリア通算55勝目となりました。
ポイントスタンディング3位につけていたジョセフ・ニューガーデン(シボレー)がレース終盤にリタイアしたことにより、チャンピオン争いは今回7位でフィニッシュしたポイントリーダーのアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)と、2連勝目を挙げたディクソンの2人に絞られました。残り2戦で獲得できる最多得点は108点、2人の差は74点で、ディクソンにはまだ逆転の可能性が残されています。
昨年、このコースで終盤に見事な追い上げをみせて2位フィニッシュしたデビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD Motorsports)が、今年はさらにアグレッシブにレースを戦い、2年連続の表彰台となる3位フィニッシュを達成しました。まだインディカーにデビューして2年目のマルカスですが、初勝利の時が近いことを感じさせるパフォーマンスをオーバルコースでみせていました。
そのほか、コルトン・ハータ(Andretti Autosport with Curb-Agajanian)は6位、ポイントリーダーのパロウは7位、マーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)は10位でゴールし、Hondaドライバー5人がトップ10入りとなりました。
今シーズンはオーバルレースのみに出場している佐藤琢磨(Chip Ganassi Racing)は、17番グリッドからスタートしましたが、120周目のアクシデントによりリタイアとなりました。マシンセッティングがコースコンディションにマッチしていなかったのか、スタート直後から苦しい走りが続き、少し早めに1回目のピットストップを敢行。その後にはトップグループと同じか、それよりも速いペースで周回を重ねていましたが、走行ラインをわずかに外れたときにタイヤのグリップが失われて壁に接触し、マシンを降りることとなりました。
次のシリーズ第16戦は西海岸へと舞台を移し、オレゴン州ポートランドで開催されます。残る2戦はどちらも常設のロードコース。ポートランドはフラットで、最終戦が行われるラグナセカ・レースウェイは非常にアップダウンの激しいコースです。