【2021シーズン総集編】参戦2年目のアレックス・パロウがチャンピオンに輝く。Hondaは4年連続10回目のマニュファクチャラーズタイトルを獲得

ディフェンディングチャンピオンのスコット・ディクソンが序盤戦をリード

シーズンの開幕戦は4月18日、バーバー・モータースポーツパークで行われたHondaインディ・グランプリ・オブ・アラバマ。2020年はほとんどのレースが無観客で開催されたが、2021年は2万人の観客が見守る中での開幕戦となった。ここで躍動したのが、今季からChip Ganassi Racingに移籍した参戦2年目の若手、アレックス・パロウ。3番グリッドからスタートし、ピットタイミングでトップに浮上すると、24歳とは思えない冷静なレース運びをみせ、移籍後の初戦で自身のインディカー初勝利を飾った。3位にはチームメートのディフェンディングチャンピオン、スコット・ディクソンが入り、Honda勢は2人が表彰台に登壇する幸先のいいスタートを切った。

第2戦では、コルトン・ハータ(Andretti Autosport)がポール・トゥ・ウイン。レギュラー参戦3年目の21歳が、早くも通算4勝目を挙げた。第3-4戦はテキサスでのダブルヘッダーとなり、第3戦ではディクソンが勝利し、Honda勢が開幕3連勝となった。インディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースで行われた第5戦では、今季からインディカー・シリーズに活躍の場を移した元F1ドライバー、ロマン・グロージャン(Dale Coyne Racing with RWR)が出場3戦目にして初のポールポジションを獲得。決勝では2位フィニッシュを果たし、初の表彰台に登壇した。3位にはパロウが入り、開幕戦以来の表彰台。ポイントランキングではディクソンがトップ、パロウが13点差の2位と、Chip Ganassi Racingの2人がリードする状況の中、シリーズは年間最大のイベントであるINDY500へと向かった。

大ベテランが12年ぶりのINDY500制覇

第105回インディアナポリス500マイル(INDY500)は、5月18日から4日間にわたるプラクティスの後、2日間の予選が行われた。予選2日目に駒を進めた「ファスト9」のうち、7台をHonda勢が占める結果に。ポールポジションを獲得したのはディクソンで、決勝前最後のプラクティス「カーブデー」でも最速をマークした。

30日の決勝レースは、13万5000人の観衆が見つめる中でグリーンフラッグが振られた。トップのディクソンは序盤のトラブルで優勝戦線から離脱。2020年勝者の佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は15番手スタートから優勝争いに加わり、燃費走行をしてピット回数を減らす作戦を取る。後方ではパロウとエリオ・カストロネベス(Meyer Shank Racing)による順位争いが繰り広げられた。佐藤は残り7周でピットインを余儀なくされ、優勝争いはパロウとカストロネベスの一騎打ちに。抜きつ抜かれつの攻防の末、残り2周で前に出たカストロネベスが逃げきり優勝。カストロネベスにとっては12年ぶり、史上最多タイとなる4度目のINDY500制覇となった。パロウは惜しくも2位となったが、ディクソンを抜いてポイントリーダーに浮上した。

パロウが中盤戦をリード タイトル争いは僅差のまま終盤へ

第7戦はマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)がキャリア初優勝。パロウは第8戦で3位表彰台を獲得すると、第9戦ロードアメリカで今季2勝目。第10戦でも表彰台に上がり、安定した戦いぶりをみせた。第11戦では今季2勝目を挙げたマーカス・エリクソンを筆頭に、7位までをHonda勢が独占。第12戦はインディアナポリスのロードコースでの今季2戦目となり、グロージャンがまたしても2位表彰台に登壇した。パロウは上位入賞を続けてポイントリードを守っていたが、第13戦はシボレー勢の逆襲に遭い、Honda勢は佐藤琢磨の6位が最高位と苦戦。パト・オワード(シボレー)にポイントリーダーの座を奪われたところで、シーズン最後の西海岸3連戦を迎えた。

新チャンピオン誕生

迎えた第14戦、パロウはポールポジションを獲得したものの、スタート直後の接触により後退。しかし、作戦変更が奏功し見事に逆転勝利を挙げ、ポイントリーダーに返り咲く。第15-16戦ではハータが2連勝。パロウは第15戦で2位、第16戦では4位でフィニッシュ。今シーズンを象徴するような安定した戦いぶりで、参戦2年目、24歳にしてインディカー・シリーズのタイトルを手にした。

Hondaは16戦のうち10勝を挙げ、4年連続10回目のマニュファクチャラーズタイトルを獲得。パロウ、ハータがともに3勝ずつを挙げ、若手の2人が台頭したシーズンとなった。佐藤琢磨は第7戦の4位をベストに、8回のトップ10フィニッシュを記録。ポイントランキング11位でシーズンを終えた。

Race Report

• Rd.01 アレックス・パロウがキャリア初優勝

• Rd.02 海辺のストリートコースでコルトン・ハータがポール・トゥ・ウインを飾り、Hondaは開幕2連勝

• Rd.03 テキサスでのレース1でスコット・ディクソンが優勝し、Hondaは開幕3連勝

• Rd.04 グレアム・レイホールがテキサスのレース2で3位フィニッシュ スコット・ディクソンは4位でポイントリードを守る

• Rd.05 ポールポジションスタートのグロージャンがデビュー3戦目で初表彰台2位、パロウは今季2回目の表彰台で3位

• Rd.06 エリオ・カストロネベスが歴代最多に並ぶINDY500での4勝目を挙げる

• Rd.07 デトロイトのダブルヘッダー1戦目でマーカス・エリクソンがキャリア初優勝

• Rd.08 デトロイトでのレース2でアレックス・パロウが3位フィニッシュ

• Rd.09 アレックス・パロウがシーズン2勝目を挙げ、ポイントリーダーの座を奪還

• Rd.10 マーカス・エリクソンが2位、アレックス・パロウが3位でHondaインディ200の表彰台に登壇

• Rd.11 ナッシュビルのダウンタウンでの初開催イベントでマーカス・エリクソンが優勝 Honda勢がトップ7を独占

• Rd.12 インディアナポリス・ロードコースでの今季2戦目、グロージャン2位、ハータ3位

• Rd.13 セントルイス郊外のレースで佐藤琢磨が6位フィニッシュ

• Rd.14 パロウが今シーズン3勝目でランキングトップに躍り出る

• Rd.15 コルトン・ハータがポール・トゥ・ウイン。Honda、10回目のマニュファクチャラーズ・タイトル獲得決定

• Rd.16 アレックス・パロウ、そしてHondaが揃ってシリーズチャンピオンに輝く。 最終戦の優勝はコルトン・ハータが飾る