INDYCAR SERIES

【2022シーズン総集編】エリクソンがインディ500初優勝。ディクソンがシリーズランキング3位

北米最高峰のフォーミュラカーレース、インディカー・シリーズの2022年シーズンは全17戦が開催され、17名のドライバー(スポット参戦含む)がHondaエンジンユーザーとして参戦した。Honda勢にとっては、シリーズ最大のビッグイベント「インディ500」での3連勝、ドライバーズタイトルの3連覇、マニュファクチャラーズタイトルの5連覇に挑むシーズンとなった。現在唯一の日本人ドライバー、佐藤琢磨は参戦13年目を迎え、Dale Coyne Racing with RWRに移籍して最初のシーズンに挑んだ。

【2022シーズン総集編】エリクソンがインディ500初優勝。ディクソンがシリーズランキング3位

佐藤琢磨、移籍初レースで10位フィニッシュ

セントピーターズバーグのストリートコースで、例年より早めの2月27日に行われた開幕戦。2月末にもかかわらず30℃近い気温と強い日差しの中でレースが行われ、前年チャンピオンのアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)が2位でフィニッシュ。タイトル防衛へ向けて好スタートを切った。
この大会で通算200戦の節目を迎えた佐藤は、予選で22番手に沈むも、決勝で大きくばん回し10位フィニッシュ。「クルーたちがファンタスティックな仕事をしてくれました」と佐藤はチームワークのよさを強調し、上々の移籍初戦となった。


コルトン・ハータ/第5戦インディアナポリス
コルトン・ハータ/第5戦インディアナポリス

第5戦でハータがHonda勢初勝利を挙げる

Honda勢が表彰台に上がりながらもなかなか勝てない状況で序盤戦は進み、迎えた第5戦。インディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースで行われた一戦は、ウエットからドライ、またウエットと目まぐるしく変わるコンディションの中、チームの的確な状況判断と、ミスのない走りでコルトン・ハータ(Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian)が優勝。2位にはシモン・パジェノー(Meyer Shank Racing)が入り、Honda勢今季初勝利を1-2フィニッシュで飾った。


佐藤琢磨/第6戦インディ500
佐藤琢磨/第6戦インディ500

伝統のインディ500で注目を集めた佐藤

シリーズ第6戦は、106回目を迎える伝統の一戦、インディアナポリス500マイル。4日間にわたって行われたプラクティスでは、雨で走行できなかった2日目を除いて、3日間ともに佐藤がトップタイムをマーク。インディ500で過去2勝を挙げている佐藤の好調ぶりは大きな注目を集め、初のポールポジション獲得への期待がかけられた。

予選は2日間にわたって行われ、上位12台が2日目の予選へ進出、2日目の上位6台が「ファスト6」としてポールポジションをかけて争う、3段階での戦い。佐藤は初日にやや苦戦したものの、かろうじて12番手で2日目に進出した。

2日目、佐藤はファスト6に残ることができず10番手。ファスト6にはChip Ganassi Racingの4台が進み、スコット・ディクソンが2年連続5回目のポールポジションを獲得、パロウが2番手となり、フロントローを占めることとなった。


マーカス・エリクソン/第6戦インディ500
マーカス・エリクソン/第6戦インディ500

エリクソンがラスト2周勝負を制す

迎えた決勝、序盤はフロントローのディクソン、パロウがポジションを入れ替えながらトップを快走。しかし、パロウはピットに入ろうとしたタイミングでイエローコーションが出る不運によって後退。ディクソンはリードラップ95周をマークし、終盤までレースをリードするも、ピットロードでの速度違反のペナルティーを受け、優勝戦線から脱落してしまう。シボレー勢が上位を占める展開となるが、ここで5番手スタートからポジションをキープしていたマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)がペースアップし、一気にトップへ。リードを3秒以上に広げて逃げきりを図る中、アクシデントによりレッドフラッグが出てレースが中断。リードはリセットされ、残り2周でのリスタートとなったが、エリクソンはライバルの猛追を振り切りインディ500初優勝。Honda勢としては3年連続の優勝となった。

インディ500での勝利によって、エリクソンはポイントリーダーとなった。第7戦デトロイトで一時その座を奪われるも、第8戦ロードアメリカで2位表彰台に立ち再びポイントリーダーへ。第12戦まではその座を守ったが、終盤は大きなポイントを得られず、シリーズランキングは6位となった。


スコット・ディクソン/第14戦ナッシュビル
スコット・ディクソン/第14戦ナッシュビル

史上最多7度目のタイトルを目指したディクソン

シーズン終盤、ランキングトップを行くシボレー勢を追ったのは、第10戦トロント、第14戦ナッシュビルで勝利を挙げたディクソン。首位のウィル・パワー(シボレー)と20ポイント差で、史上最多7度目のタイトルをかけて最終戦モンテレーに臨んだが、このレースを12位で終え、ランキングは3位。最終戦はパロウがシーズン初優勝を挙げ、ランキング5位に。ドライバーズタイトルはパワーが手にし、年間6勝に終わったHondaはエンジンマニュファクチャラーズタイトルも逃すこととなった。


クリスチャン・ルンガー/第13戦インディアナポリス
クリスチャン・ルンガー/第13戦インディアナポリス

白熱のルーキーオブザイヤー争い

ルーキーオブザイヤー争いはHonda勢同士、クリスチャン・ルンガー(Rahal Letterman Lanigan Racing)とデビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD Motorsports)が最終戦まで争い、最終戦を5位フィニッシュしたルンガーが栄冠を勝ち取った。ルンガーは第13戦インディアナポリス(ロードコース)で、マルカスは第15戦セントルイスでそれぞれ2位表彰台に登壇した。


佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)
佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)

佐藤は第2戦で予選3番手、第7戦では2番手と随所で速さを見せたが、決勝では第15戦の5位が今季のベストリザルトに。ランキング19位でシーズンを終えている。


Race Report

Rd.01 セントピーターズバーグ:アレックス・パロウが開幕戦で2位表彰台

Rd.02 テキサス:マーカス・エリクソンがテキサスで3位フィニッシュ

Rd.03 ロングビーチ:ロマン・グロージャンが2位で今季初表彰台に上り、昨年度チャンピオンのアレックス・パロウも3位でフィニッシュ

Rd.04 アラバマ:パロウが2位表彰台を獲得してポイントリーダーに。ディクソン5位でトップ10にHonda勢6人が入る

Rd.05 インディアナポリス:ウエットコンディションでのワイルドなレースでコルトン・ハータが今季初優勝。Honda今季初の1−2フィニッシュ

Rd.06 インディ500:マーカス・エリクソンがインディ500初優勝

Rd.07 デトロイト:アレクサンダー・ロッシがレース終盤に激しく追い上げて僅差の2位

Rd.08 ロードアメリカ:マーカス・エリクソンが2位を獲得しポイントリーダーに復活

Rd.09 ミッドオハイオ:アレックス・パロウが予選7番手から2位フィニッシュ

Rd.10 トロント:ディクソンが今季初優勝、ハータが2位でHondaの1−2

Rd.11 アイオワ1:スコット・ディクソンがアイオワのショートオーバルで5位フィニッシュ

Rd.12 アイオワ2:インディカーシリーズ300戦連続出場のスコット・ディクソンが4位フィニッシュ

Rd.13 インディアナポリス:アレクサンダー・ロッシが今シーズン初勝利。ルーキーのクリスチャン・ルンガーが2位でHondaが1-2フィニッシュ

Rd.14 ナッシュビル:今シーズン2勝目を挙げ、スコット・ディクソンがチャンピオン争いへ

Rd.15 セントルイス:ルーキーのデビッド・マルカスが2位フィニッシュで初表彰台!佐藤琢磨が今シーズンベストとなる5位でゴール

Rd.16 ポートランド:スコット・ディクソンが3位でフィニッシュし、史上最多7度目のタイトルへと望みをつなぐ

Rd.17 モンテレー:昨年度チャンピオンのアレックス・パロウが予選11番手から2位に大差をつける圧勝


ポイントランキング

Pos. Driver Num. チーム Constr. Pts
1 Will POWER 12 Team Penske Chevrolet 560
2 Josef NEWGARDEN 2 Team Penske Chevrolet 544
3 Scott DIXON 9 Chip Ganassi Racing Honda 521
4 Scott MCLAUGHLIN 3 Team Penske Chevrolet 510
5 Alex PALOU 10 Chip Ganassi Racing Honda 510
6 Marcus ERICSSON 8 Chip Ganassi Racing Honda 506
9 Alexander ROSSI 27 Andretti Autosport Honda 381
10 Colton HERTA 26 Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian Honda 381
11 Graham RAHAL 15 Rahal Letterman Lanigan Racing Honda 345
13 Romain GROSJEAN 28 Andretti Autosport Honda 328
14 Christian LUNDGAARD 30 Rahal Letterman Lanigan Racing Honda 323
15 Simon PAGENAUD 60 Meyer Shank Racing Honda 314
16 David MALUKAS 18 Dale Coyne Racing with HMD Motorsports Honda 305
18 Hélio CASTRONEVES 06 Meyer Shank Racing Honda 263
19 Takuma SATO 51 Dale Coyne Racing with RWR Honda 258
21 Jimmie JOHNSON 48 Chip Ganassi Racing Honda 214
22 Jack HARVEY 45 Rahal Letterman Lanigan Racing Honda 209
23 Devlin DEFRANCESCO 29 Andretti Steinbrenner Autosport Honda 206
26 Tony KANAAN 1 Chip Ganassi Racing Honda 78
33 Marco ANDRETTI 98 Andretti Herta Autosport w/ Marco Andretti & Curb-Agajanian Honda 17

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