Race
INDY 2022
Round 6

マーカス・エリクソンがインディ500初優勝 Hondaエンジン3年連続優勝で通算勝利数が15に

us Indianapolis Motor Speedway

5月末に開催されるのが恒例の世界最古、そして最大のレースであるインディアナポリス500マイルが今年も5月29日に、晴れ渡った初夏の空の下で開催されました。今年で第106回目となるレースはCOVID-19対策のための入場者数制限が撤廃され、インディアナ州の州都インディアナポリスにあるインディアナポリス・モーター・スピードウェイには13万人を越すファンが集まりました。その大観衆を前に予選5番手からスタートしたマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)がINDY500での初優勝を飾りました。

マーカス・エリクソンがインディ500初優勝 Hondaエンジン3年連続優勝で通算勝利数が15に

全長2.5マイルのインディアナポリス・モーター・スピードウェイを200周して争われる決勝は、朝から太陽が照りつける初夏の気候の下で行われました。レース中の最高気温は28℃に達し、日差しを浴びて温度の上昇した路面は、マシンが発生させるダウンフォースを減らし、インディカードライバーたちに難しいマシンコントロールを要求し続けました。エリクソンはスタートから上位のポジションを保ち続け、レースが終盤に入ってからチャージを仕掛けました。190周目にトップに立った彼は、2番手以下との差を一気に3秒にまで広げて逃げきり体勢に。ところが、残り5周でアクシデントが発生してレースには赤旗が出されました。

コースの安全が確認され、残り2周でリスタートが切られました。3秒のリードがあったエリクソンでしたが、リスタートでライバル勢がすぐ背後に並んでいます。ここでパスを許せばゴールまでに再び抜き返すのは難しい状況でした。しかし、リスタートで加速を始めるタイミングでも、各コーナー、そして2本のストレートで左右に大きくラインを振りながらの走行でも一切の隙を見せず、ライバル勢の猛アタックを振り切ってゴールラインへ飛び込みました。最終ラップのターン2で起きたアクシデントにより、第106回INDY500はチェッカーフラッグとイエローフラッグが同時に振られてゴールを迎えました。

INDY500で初勝利したエリクソンは、インディカーで今シーズン初優勝、キャリア通算で3勝をあげました。ダブルポイントのINDY500を制したエリクソンは、2022年インディカーシリーズ17戦の6戦終了時点でのポイントリーダーになっています。

今年のINDY500に5台のマシンをエントリーし、200周のレースで163周をリードする圧倒的な強さを見せたChip Ganassi Racingは、2012年以来となるINDY500での5勝目を飾りました。そして、Hondaは2020年から3連勝で通算勝利数を15勝へと伸ばしました。

Hondaエンジンユーザー6人が、第106回INDY500でトップ10フィニッシュを果たしました。予選6番手だった2013年INDY500ウイナーのトニー・カナーン(Chip Ganassi Racing)は、ウイナーとなったエリクソン同様にレース終盤に見事な追い上げを見せて3位でゴールしました。2016年にINDY500で優勝しているアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)は、後方の20番手スタートでしたが、インディアナポリスのオーバルを得意とするドライバーらしい走りを披露し、5位まで大きくポジションアップを果たしてフィニッシュしました。昨年のINDY500で4勝目を記録したエリオ・カストロネベス(Meyer Shank Racing)は、ロッシよりさらに後方の27番手スタートでしたが、ベテランならではの戦いぶりで着々と順位を上げて7位でゴール。彼のチームメートで2019年INDY500ウイナーのシモン・パジェノー(Meyer Shank Racing)も16番手スタートからの8位フィニッシュを記録しました。

昨年度のインディカーチャンピオンであるアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)は、予選2番手からレースをリードしましたが、ピットに入ろうとしたタイミングでイエローフラッグが出される不運によって最後尾までの後退を強いられました。しかし、パロウは持ち前の粘り強さを発揮し、9位までポジションをばん回してレースを終えました。また、予選13番手だったデイビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD Mortorsports)は、ルーキー最上位となる16位でゴールしています。ポールスタートだった2008年INDY500ウイナーのスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は最多の95周でリードしましたが、終盤にピットスピード違反のペナルティーを受け、最終順位は21位でした。

予選10番手だった佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)は、1回目のピットストップを行った72周目までに6番手に順位を上げ、さらに上位進出の期待が持たれました。しかし、中盤でトップ5へと食い込んでいくことができず、3回目のピットストップの後には10番手以降への後退を余儀なくされました。そうなると先行するマシン群が作り出す乱気流を浴び、思うようにポジションを上げていくことができなくなります。佐藤とチームは最後には燃料セーブも利用した作戦での大逆転を狙いましたが、イエローフラッグの出るタイミングを味方につけることができず、25位でゴールしました。


Marcus Ericsson
Marcus Ericsson 8
Chip Ganassi Racing
世界最大のレースで優勝でき、信じられないほど大きな喜びを感じています。レースの終盤に赤旗が出された状況を乗り越えての優勝でした。とても大きなプレッシャーがのしかかる中、厳しい戦いを制することができました。最後の勝負ではHondaパワーが私たちに優勝をもたらしてくれたと思います。そのパワーをくれたことに深く感謝します。今年は私たちのChip Ganassi Racing、そしてHondaのマシンがプラクティスからずっと速く、正直言って私たちがライバルに対して優勢にあったと思います。そして私たちはビクトリーレーンで1日を終えることができました。今日、私たちは夢を叶えたんです

Takuma Sato
Takuma Sato 51
Dale Coyne Racing with RWR
ダウンフォースの少ないマシンでスタートし、折り返し点である100周を終えた時にトップ5に入っていれば勝機があると考えていました。しかし、その戦い方はリスクの大きい賭けでもありました。90周で6番手まで上がったところまでは計画通りでした、その後のピットストップがうまくいかなかったことなどで集団に呑み込まれ、そこから順位を上位に戻していく戦いは本当に難しくなっていました。最後は2スティントをノンストップで走り切る作戦にトライしましたが、自分たちにとってタイミングよくフルコースコーションが出されることがなく、うまくはいきませんでした。Dale Coyne Racing with RWRで戦った初めてのINDY500は勝てこそしませんでしたが、良いところもありました。次のレースからも引き続きがんばっていきたいと思います



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