スコット・ディクソンがアイオワのショートオーバルで5位フィニッシュ。マーカス・エリクソンは8位でポイントリードを守る
アイオワ州の首都デモインの東50マイルほどの町、ニュートンにあるアイオワ・スピードウェイは、昨年インディカーのレースを行うことができませんでした。しかし、アイオワ州を本拠地とする企業から絶大なるサポートを受け、今年からダブルヘッダーとしてアメリカのトップオープンホイールのチャンピオンシップに復活を果たしました。
土曜日開催のレース1は最高気温が37℃にも達する過酷なコンディションとなりました。全長が0.894マイルと短いアイオワ・スピードウェイはバンクの傾斜が最大14度と大きく、2台がサイドバイサイドで並んだままコーナリングできるエキサイティングなコースで、レース1は250周で争われました。
先週トロントで今シーズン初勝利を挙げたばかりのスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は、アイオワでのレース1は13番手からのスタートでしたが、序盤の17周目から出されたフルコースコーションでピットに向かう作戦が大成功でした。タイヤの消耗が激しいスピードウェイであるため、新品タイヤを装着したことが大きなアドバンテージとなり、一気に順位を上げて行くことができたのです。タイヤを労わりながらも攻めるべきタイミングでは攻める、6度のシリーズ・タイトル獲得歴を誇るディクソンならではのドラビングによってトップ5に食い込んでのゴールが達成されました。Chip Ganassi Racingのマシンはロングランで速いものに仕上がっていたため、最後のフルコースイエローからゴールまでの77ラップに渡るロングバトルでディクソンは優位を手にしていたのでした。
ディクソンのチームメートで昨年度シリーズチャンピオンのアレックス・パロウも予選14番手から6位でフィニッシュしました。また、今回がアイオワでのレースが初めてだったロマン・グロージャン(Andretti Autosport)が7位、現在チャンピオンシップポイントでリーダーの座にあるマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)が8位でゴールしました。エリクソンはレース中盤にトップを争いました。最終的には8位となりましたが、ポイントリードは維持しています。
元ストックカーチャンピオンで2021年シーズンからインディカーに参戦しているジミー・ジョンソン(Chip Ganassi Racing)はレース序盤にスピンを喫しましたが、幸いにもマシンにダメージはなく、そこから目覚ましい走りで順位をばん回し、レース中盤の18周をリードしました。250周のレースを通じてポジション争いを続けていた彼は、終盤にタイヤの消耗によって後退しましたが、11位でレースを走り切りました。彼の前の9位、10位にはグレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)とチームメートのクリスチャン・ルンガーが入り、Hondaドライバー6人がトップ10でのゴールを果たしました。
佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)は予選が9位で、トップグループでのバトルを展開することと見られていました。アイオワ・スピードウェイは佐藤がインディカーにおけるキャリア初ポールポジションを2011年に獲得したコースで、ショートオーバルを佐藤はインディカー参戦当時から得意としているのです。
しかし、今週末の佐藤のマシンはどうやらフロントウイングに何らかのトラブルが生じていたようで、スタート直後から十分なダウンフォースが得られていませんでした。安定を欠いたハンドリングでは思う存分にバトルを繰り広げることは不可能です。佐藤はレース終盤に他車と接触し、フロントウイングをノーズごと交換しました。すると、それ以前とは比べものにならないスピードで走り出しました。すでにその時点で周回遅れに陥っていたため、アイオワでの1レース目は21位という結果に終わりましたが、明日の2レース目にはフロントウイングの問題が解消したマシンで出走することができます。予選結果は5番手でしたから、3列目イン側グリッドから佐藤は優勝争に加わって行きたいと意気込んでいます。