Team Honda HRCはアウトドアモトクロスの開幕に向けてライダーラインアップを変更した。チェイス・セクストンのチームメートとして、250SXウエスト王者のジェット・ローレンスが450クラスにステップアップ。250クラスには250SXイースト王者のハンター・ローレンスと、プロモトクロスシーズンからフルタイムプロデビューとなるチャンス・ハイマスを起用した。

J.ローレンスがデビューウインから連勝街道へ

開幕戦では、J.ローレンスがモト1で450デビューウインを収め、勢いそのままにモト2も勝利。セクストンは2レースともに2位で、Team Honda HRCは連続で1-2フィニッシュを飾った。しかし、セクストンは開幕戦後のテストで転倒し、脳震とうに加えてウイルス感染症を発症。第4戦まで欠場を余儀なくされた。J.ローレンスは第4戦モト1で転倒を喫し、一時は3番手にポジションを落としたが、ハイペースで追い上げて逆転勝利。モト2も勝利し、開幕から8連勝を記録した。

J.ローレンスは連勝記録を更新し続け、第5戦から復帰したセクストンと接戦を繰り広げながらも、第8戦までパーフェクトウインを継続。早くもタイトルに王手をかけて迎えた第9戦ユナディラでもその勢いは止まらず、モト1、モト2ともにホールショットを取って全ラップをリードし、無傷の18連勝でタイトルを決定した。

トップを走り続けるJ.ローレンスに対して、スーパークロス王者のセクストンは背後からプレッシャーをかけ続けた。第10戦モト2の2人のタイム差は、わずかに0.771秒という僅差であった。

史上3人目、ルーキーでは初のシーズン全勝に期待がかけられた最終戦は、チームメートでライバルでもあるセクストンのホームレース、アイアンマンナショナル。プレッシャーの中、J.ローレンスはセクストンを2レースとも僅差で振り切り、シーズン22レース全勝をついに成し遂げた。

【250MX】H.ローレンスが初タイトル

H.ローレンスは、開幕から第4戦まで総合優勝を果たし、ランキングトップに立った。プロデビューシーズンのハイマスは開幕から着々とリザルトを改善し、第3戦ではモト2で3位に入る活躍をみせる。しかし、第4戦直後にじん帯を損傷してしまい、その後のシーズンを離脱することとなった。

H.ローレンスは第5戦のモト2でリタイアとなり連勝ストップ、第6戦でリタイア/8位と不調に陥ったが、第7戦では調子を取り戻して再び総合優勝を獲得した。その後も安定して上位フィニッシュを積み重ねて、ランキング2位とのポイント差を拡大し、22ポイントをリードして最終戦へ。最終戦モト1では多重クラッシュに進路を阻まれて後方スタートとなったが、大きく追い上げて5位でフィニッシュし、自身初の250MXタイトルを確定。

この結果、HondaはAMA-SX(450SX、250SXイースト/ウエスト)とAMA-MX(450MX/250MX)の全クラス5冠を達成した初めてのメーカーとなった。

【AMA-SMX】J.ローレンスが初代王者となり、Team Honda HRCが6冠達成

2023年から始まった、AMA-SX/MXの上位ランカーが出場するプレーオフ、AMAスーパーモトクロス(AMA-SMX)。Team Honda HRCは、セクストン(450SX)とJ.ローレンス(250SXウエスト/450MX)、H.ローレンス(250SXイースト/250MX)という3人の2023年AMAチャンピオンを擁し、全3戦のプレーオフに臨んだ。

ライダーたちにはAMA-SXとAMA-MXでのランキングに応じた持ち点(セクストン25点、J.ローレンス20点、H.ローレンス25点)があり、このポストシーズンの大会総合順位で付与される得点と合算されて順位が決定する。

開幕戦はノースカロライナ州シャーロットのジーマックス・ドラッグウェイで行われた。この大会では、AMA-MXでJ.ローレンスの後塵を拝してきたセクストンが躍動。プレーオフシーズンへの入念な準備が実を結び、モト1をトップでフィニッシュすると、モト2は1周目を3番手で通過すると、残り6周でトップの座を奪いパーフェクトウインを果たした。J.ローレンスはモト1で7位に終わったが、モト2ではセッティングを改善して2位に入り、セクストンとともに表彰台に上がった。

続く第2戦、シカゴランド・スピードウェイ。モト1で好スタートを切ったJ.ローレンスとセクストンは、それぞれ1番手、3番手で1コーナーをクリア。2人でレースをリードし、ローレンスが1位、セクストンが2位で1-2フィニッシュ。モト2でも好調なスタートを切ってトップを争ったが、残り3周でケン・ロクスン(スズキ)の先行を許し、J.ローレンスが2位、セクストンは3位でフィニッシュ。J.ローレンスはパーフェクトウインを逃したものの総合優勝を果たし、SMXランキング2位に浮上した。

ロサンゼルス・メモリアル・コロシアムで行われた最終戦。セクストン(450SMX)とH.ローレンス(250SMX)はポイントリーダーとしてこの大会に臨んだが、H.ローレンスはタイムドプラクティスで転倒し、背中を痛めて決勝への出走を断念。セクストンはモト1を3位でフィニッシュすると、モト2ではトップを走っていたが、激しくクラッシュしリタイアとなった。

J.ローレンスは2レースとも、ロクスンと僅差のバトルを制してパーフェクトウインを飾り、AMA-SMXの初代チャンピオンに輝いた。Team Honda HRCが信じられないような大成功を収めた23年シーズンは、J.ローレンスがチームに6個目の栄冠を持ち帰って幕を閉じた。

Race Report

▽AMA-MX

Rd.01 フォックス：ジェット・ローレンスがFOXレースウェイで総合優勝(1-1)を果たし完ぺきな450デビューを飾る

Rd.02 ハングタウン：Hondaが2戦連続で両クラス制覇

Rd.03 サンダーバレー：Hondaがサンダーバレーで圧勝のヒストリーを更新

Rd.04 ハイポイント：Team Honda HRCがハイポイント・ナショナルで連勝記録を伸ばす

Rd.05 レッドバッド：ジェット・ローレンスがパーフェクトシーズンを更新

Rd.06 サウスウィック：ザ・ウィック338 MXでもジェット・ローレンスが強さを発揮

Rd.07 スプリングクリーク：Team Honda HRCがスプリングクリークの両クラスを制覇

Rd.08 ワシューガル：ジェット・ローレンスがワシューガルでオーバーオール8連勝達成

Rd.09 ユナディラ：ジェット・ローレンスがAMAプロモトクロス450タイトルを獲得

Rd.10 バッズクリーク：Team Honda HRCがバッズクリークで再び両クラスを制覇

Rd.11 アイアンマン：Team Honda HRCが最終戦をドラマチックに締めくくる

▽AMA-SMX

Rd.01 シャーロット：初開催のスーパーモトクロス第1戦をセクストンが制覇

Rd.02 シカゴランド：Team Honda HRCがスーパーモトクロス第2戦で両クラス総合優勝

Rd.03 ロサンゼルス：ジェット・ローレンスがスーパーモトクロスチャンピオンに輝き、Team Honda HRCに今季6個目の栄冠をもたらす

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