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【WSBK 2023総集編】ビエルゲが初表彰台を獲得し、総合ランキング10位

市販車ベースの最高峰ロードレースであるFIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)。Team HRCはCBR1000RR-R FIREBLADE SPを2台投入し、ライダーは2022年に引き続き、イケル・レクオーナとチャビ・ビエルゲを起用した。両選手ともに、シーズンに向けた事前テストで多くのメニューを消化し、万全な準備と自信をもってシーズンに臨んだ。

【WSBK 2023総集編】ビエルゲが初表彰台を獲得し、総合ランキング10位

上位入賞を重ねた序盤戦
ビエルゲが初表彰台

開幕戦は、オーストラリアのフィリップアイランド・サーキットで行われた。1日目のレースはフルウエットの厳しいコンディションとなったが、レクオーナが6位、ビエルゲが7位と両者とも手応えのある走りでシーズンのスタートを切った。2日目は天候も回復し、レース2でレクオーナは力強い走りで再び6位に入賞。ビエルゲは11位に食い込み、ポイントを獲得した。

第2戦インドネシア大会はマンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットで開催された。ビエルゲはレース1で、13番グリッドから着実にポジションを上げて7位フィニッシュを果たす。翌日のスーパーポール(SP)レースでは6位に入って、レース2の2列目グリッドを獲得。レース2では3番手争いに食い込むと、最終ラップで3番手に浮上し、そのまま3位でフィニッシュ。WSBK参戦2年目、14大会目にして初めての表彰台に上がった。


チャビ・ビエルゲ/第2戦インドネシア
チャビ・ビエルゲ/第2戦インドネシア

第4戦はライダー2人のホームであるスペイン、バルセロナ・カタルニア・サーキットでの開催。第3戦オランダでノーポイントに終わったレクオーナは、ここで光る走りをみせる。予選では5番グリッドを獲得し、レース1では一時12番手まで後退したものの、6位でフィニッシュ。SPレースでは終盤に雨が降り出す難しいコンディションの中、最終ラップに4つポジションを上げて4位に入賞。3位とはわずか0.483秒の差であった。ビエルゲはレース2を6位でフィニッシュするなど、2人とも3レースすべてでシングルフィニッシュを果たした。

第5戦イタリア大会では、ビエルゲが最終日に好走をみせた。SPレースで16番グリッドから8位にジャンプアップを果たすと、レース2では5位フィニッシュ。予選から着実に順位を上げ、本人にとっても満足のいく一戦となった。一方で、レクオーナはレース1こそ8位に入賞したが、SPレースでの転倒により左股関節と左足首を負傷し、レース2を欠場した。


チャビ・ビエルゲ/第5戦イタリア
チャビ・ビエルゲ/第5戦イタリア

サマーブレイク前、苦戦の中盤戦

ドニントンパークで開催された第6戦イギリス大会は、両選手にとって厳しい大会となった。レクオーナはレース1で転倒を喫し、レース2は13番グリッドからの戦いとなり14位でフィニッシュ。ビエルゲはレース1でポイントを獲得したが、レース2ではテクニカルトラブルに見舞われてリタイアとなった。

第7戦イタリア大会は酷暑のイモラ・サーキットで行われた。日曜日のセッションでは気温37℃、路面温度は59℃まで上昇。ライダーの体調面などを考慮し、19周だったレース2は15周に短縮された。両選手ともに予選で転倒を喫し、ビエルゲは13番手、レクオーナは17番手と厳しいグリッドに。レース1、ビエルゲはさらにタイヤトラブルで最後尾スタートとなったが、快走をみせて13個ポジションを上げ、12位でフィニッシュ。レース2ではレクオーナが17番グリッドから10位でフィニッシュし、苦しい状況の中でポイントを重ねた。

第8戦チェコ大会のレース1は、微妙なコンディションの中でタイヤ選択が明暗を分けることとなった。断続的に小雨が降る中、レクオーナは前後にインターミディエイトタイヤ、ビエルゲはレインタイヤを選択。レースが始まると雨は上がり、4周目にビエルゲはピットインしてスリックタイヤに交換した。しかし、インターミディエイト勢に対してピットイン分のロスを取り戻すことは難しく、17位でチェッカー。一方のレクオーナはスタート直後の混乱で20番手までポジションを下げたものの、猛烈な追い上げを開始。6周目には8番手、7周目には6番手までポジションを上げ、残り2周となった21周目に5位に上がって、今季ベストリザルトをマークした。レース2はビエルゲが9位、レクオーナが12位でフィニッシュ。それぞれ総合ランキングを10位、13位として、WSBKは6週間のサマーブレイクに入った。この間、ビエルゲは鈴鹿8時間耐久ロードレースにTeam HRCの一員として出場し、2連覇に大きく貢献。レクオーナはロードレース世界選手権(MotoGP)第9戦イギリスGPに代役出場した。


イケル・レクオーナ/第8戦チェコ
イケル・レクオーナ/第8戦チェコ

粘り強い戦いをみせたTeam HRC

サマーブレイク明けの第9戦は、フランスのマニクール・サーキットで開催された。レース2ではレクオーナが転倒してしまったが、赤旗中断中の素早い修復によってリスタートのグリッドに並び、順位を上げて11位でチェッカーを受けた。ビエルゲはSPレース、レース2ともに9位でフィニッシュし、総合ランキング10位をキープした。

シーズンも残すところ3戦となった第10戦は、モーターランド・アラゴンで行われた。ここでは2人ともに安定した走りで、レクオーナがSPレースとレース2でともに6位、ビエルゲは7位/8位というリザルトを残した。


イケル・レクオーナ/第10戦アラゴン
イケル・レクオーナ/第10戦アラゴン

ポルトガルのアルガルベ・インターナショナル・サーキットで行われた第11戦。レクオーナはレース1で8位、SPレースで5位、レース2で7位と好調な走りをみせた。ビエルゲはレース1とSPレースでトップ10圏内に入り、レース2では転倒して最後尾からのリスタートとなったが、そこから追い上げて15位でフィニッシュ。3レースともにポイントを獲得して、総合ランキングはビエルゲが8位、レクオーナはわずか4点差で12位として、最終戦へ向かうこととなった。

最終戦は三たびスペインに戻り、ヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで行われた。予選ではレクオーナが14番手、ビエルゲが16番手と厳しいグリッドとなったが、レース1ではポジションを上げてそれぞれ9位と10位でフィニッシュ。SPレースでは、他のマシンからこぼれたオイルに乗ったレクオーナが激しく転倒。赤旗中断中にメディカルセンターで診断を受け、出場可能と診断されたレクオーナは、痛みに耐えながらSPレースを13位、レース2は16位で完走を果たした。ビエルゲはレース1で10位、レース2で13位に入ってポイントを獲得し、シーズンを締めくくった。


チャビ・ビエルゲ、イケル・レクオーナ/第12戦スペイン
チャビ・ビエルゲ、イケル・レクオーナ/第12戦スペイン

2023年シーズンの全12ラウンドを終え、ビエルゲが149点で総合ランキング10位、レクオーナは143点で総合ランキング13位。ビエルゲが第2戦で獲得した3位が、チーム唯一の表彰台となった。

最終戦を前にした10月26日には、2人のライダーとの2年契約を更新するという発表がチームから行われた。ワークスチーム復帰後の初勝利を目指して、Team HRCの挑戦は続いていく。



ポイントランキング

Pos. Rider Num. チーム Constr. Pts
1 Álvaro BAUTISTA 1 ARUBA.IT Racing – Ducati Ducati 628
2 Toprak RAZGATLIOĞLU 54 Pata Yamaha Prometeon WorldSBK Yamaha 552
3 Jonathan REA 65 Kawasaki Racing Team WorldSBK Kawasaki 370
4 Andrea LOCATELLI 55 Pata Yamaha Prometeon WorldSBK Yamaha 327
5 Michael RUBEN RINALDI 21 ARUBA.IT Racing – Ducati Ducati 251
6 Axel BASSANI 47 Motocorsa Racing Ducati 249
10 Xavi VIERGE 97 Team HRC Honda 149
13 Iker LECUONA 7 Team HRC Honda 143
21 Hafizh SYAHRIN BIN ABDULLAH 35 PETRONAS MIE Racing HONDA Team Honda 11
24 Hannes SOOMER 38 PETRONAS MIE Racing HONDA Team Honda 1

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