【2022シーズン総集編】ライダーを刷新し新たな戦いに挑んだTeam HRC。レクオーナが表彰台を経験
市販車ベースの最高峰ロードレースであるFIMスーパーバイク世界選手権(SBK)。2022年シーズンに向けて、Team HRCは昨季までMotoGPで活躍したイケル・レクオーナと、Moto2クラスで7シーズンを戦ったチャビ・ビエルゲを新たに起用。若手有望株の2人を迎え入れて、新体制でワークス復帰3年目のシーズンに挑んだ。
快調な新体制のスタート レクオーナが初表彰台
開幕戦はスペインのモーターランド・アラゴンで4月8日から3日間開催された。レース1で、レクオーナは好スタートを切ると6位でチェッカー。ビエルゲは開幕前に負ったケガのハンデがありながらレクオーナに次いで7位と大健闘。2人ともデビュー戦ながら、3レースすべてでトップ10入りを果たすという幸先のいい結果となった。
オランダのTTサーキット・アッセンで行われた第2戦では、レクオーナがレース1で5位フィニッシュ。レース2では2列目から好スタートを切ると、終盤はタイヤの消耗に苦しみながらも3位でフィニッシュし、2戦目にして初の表彰台に立った。
第3戦のポルトガル大会は不安定な天候の中行われた。レース1では奮闘の末6位で終わったレクオーナはSPレースで4位に入り、好位置から決勝レースをスタート。ウォームアップランでフロントフェンダーが脱落するトラブルに見舞われながらも6位でフィニッシュし、次につながる結果を残した。
ビエルゲは開幕前に痛めていたろっ骨が回復し、レース1で自己ベストの5位に入賞。両選手ともに、デビューイヤーとしては上々の序盤戦を過ごした。
苦戦の中盤戦
第4戦はエミリア=ロマーニャ大会。レクオーナはSPレース、レース2ともに5位でフィニッシュと安定した走りを見せた。ビエルゲはMoto2時代から得意と語るミサノで、SPレース4位とベストリザルトを更新。しかし、レース2は転倒を喫してリタイアとなった。
続く第5戦、ドニントンパークで行われたイギリス大会も難しいレースとなった。レクオーナは週末を通して腕上がり症状に苦しみ、レース1で8位、レース2でも10位と残念な結果に終わった。ビエルゲも前回の転倒で負った右手の骨折が響き苦戦したが、レース1-2ともに13位と、どうにかポイント圏内でレースを終えた。
第6戦チェコ大会では、レース1でレクオーナが8位、ビエルゲはレース2で7位と両選手ともにポイントを重ねた。しかしレース2ではレクオーナが転倒でリタイアし悔しい結果に終わった。中盤戦はさまざまな要因が足かせになり思うような結果を残せないレースが続いた。
Honda勢6年ぶりのポールポジション
チェコ大会から約1カ月のサマーブレイクをおいて、第7戦が行われたフランスのマニ=クールは両選手にとって初めて経験するコース。レース1ではともにポイントを獲得したが、SPレースではレクオーナがタイヤの消耗に苦しみノーポイント、ビエルゲはSPレース、レース2ともにリタイアと苦戦した。
第8戦は2人のライダーのホーム、カタルニア大会。MotoGP時代から慣れ親しんでいるサーキットで、レクオーナが自身初、Hondaとしては2016年以来となるポールポジションを獲得した。速さを見せたレクオーナだったが、レース1では終盤のペースに苦しみ6位、SPレースでは転倒でリタイアと思わしくない結果に終わった。
一方、ビエルゲはレース1で12位、SPレースでは7位、レース2で6位と順調に順位を上げ、すべてのレースでポイントを獲得。ビエルゲが3レース共にポイントを獲得したのは開幕戦以来となった。
第9戦ポルトガル大会では低調に終わったが、第10戦アルゼンチン大会ではレース1でレオーナが4位、ビエルゲが9位でシングルフィニッシュを果たす。SPレース、レース2ではレクオーナは6位、7位、ビエルゲは8位、6位と両選手が3レースすべてでポイントを獲得し、初めて経験するサーキットで健闘をみせた。
レクオーナがケガで欠場 代役参戦の長島が最終戦で活躍
続く第11戦インドネシア大会も、2人にとって初めてとなるマンダリカ・サーキット。ビエルゲがレース1で6位、SPレースとレース2でもし烈な争いの中9位と7位に入るなど3レースでポイントを獲得。一方のレクオーナはフリー走行で転倒して負傷し、レースを欠場した。
2022年シーズン最後の大会となったオーストラリア大会は、フィリップアイランドで11月18日から20日にかけて行われた。インドネシア大会で負傷したレクオーナは出場がかなわず、代役としてテストライダーの長島哲太が出場した。
レース1はウエットから徐々に乾いていく難しいコンディションとなり、今季初のフラッグ・トゥ・フラッグに。この形式が初めてのビエルゲにとっては難関と思われたが、一時10番手までポジションを落としたものの取り戻して8位。長島は初めて履くピレリタイヤ、ウエットタイヤに苦戦するも、スリックタイヤへの交換後に順位を上げて10位でフィニッシュを果たした。
続くSPレースでは、不安定な天候で難しいタイヤ選択を迫られた中、ビエルゲが8位でポイントを獲得。長島はSPレースでは19位だったものの、ドライコンディションのレース2で9位に入り、WSBKデビュー戦にしてシングルフィニッシュを達成した。
ビエルゲはレース2で接触され転倒を喫したが、新しいセットアップを確かめるべく、ピットに戻って再スタート。12周を走りリタイアとなった。
新体制1年目、レクオーナは終盤2戦を欠場したものの、ポールポジションと表彰台を経験して総合9位。ビエルゲは第4戦のSPレース4位をベストに総合10位でシーズンを終えた。Team HRCは2023年シーズンに勝利を挙げるべく、2022年末からテストを開始する予定だ。
Race Report
Rd.01 アラゴン:Team HRCの両選手が3レースすべてでトップ10フィニッシュを果たす
Rd.02 オランダ:レクオーナ、レース2で3位になり初表彰台を獲得する
Rd.03 ポルトガル:レクオーナがSPレースで表彰台にあと一歩の4位
Rd.04 エミリア=ロマーニャ:レクオーナがSPレース&レース2ともに5位、ビエルゲはSPレースで4位
Rd.05 イギリス:レクオーナが3レースともにポイント獲得
Rd.06 チェコ:ビエルゲがレース2で7位、レクオーナはSPレースで7位もレース2はリタイアに終わる
Rd.07 フランス:レクオーナ、レース2でポイント獲得。ビエルゲは転倒リタイアに終わる
Rd.08 カタルニア:イケル・レクオーナが初ポールポジション。ビエルゲが全レースでポイント獲得
Rd.09 ポルトガル:ビエルゲはレース2で8位。レクオーナはポイント獲得できず
Rd.10 アルゼンチン:レクオーナ&ビエルゲ 3レースでシングルフィニッシュ
- Standings
Pos. | Rider | Num. | チーム | Constr. | Pts |
---|---|---|---|---|---|
1 | Álvaro BAUTISTA | 19 | ARUBA.IT Racing – Ducati | Ducati | 601 |
2 | Toprak RAZGATLIOĞLU | 1 | PATA Yamaha with BRIXX WorldSBK | Yamaha | 529 |
3 | Jonathan REA | 65 | Kawasaki Racing Team WorldSBK | Kawasaki | 502 |
4 | Michael RUBEN RINALDI | 21 | ARUBA.IT Racing – Ducati | Ducati | 293 |
5 | Andrea LOCATELLI | 55 | PATA Yamaha with BRIXX WorldSBK | Yamaha | 274 |
6 | Alex LOWES | 22 | Kawasaki Racing Team WorldSBK | Kawasaki | 272 |
9 | Iker LECUONA | 7 | Team HRC | Honda | 189 |
10 | Xavi VIERGE | 97 | Team HRC | Honda | 164 |
21 | Tetsuta NAGASHIMA | 49 | Team HRC | Honda | 13 |
23 | Hafizh SYAHRIN BIN ABDULLAH | 35 | MIE Racing HONDA Team | Honda | 10 |
29 | Leandro MERCADO | 36 | MIE Racing HONDA Team | Honda | 3 |