全日本ロードレース選手権

【JSB1000 2023総集編】水野が最終戦で2連勝。Honda勢が4年ぶりの優勝を果たす

2023年の全日本ロードレース選手権JSB1000クラスは、全7大会12レースで行われた。注目のライダーは、22年にクラスルーキーながら総合ランキング4位となった作本輝介 (Astemo Honda Dream SI Racing)と、英国スーパーバイク選手権(BSB)から全日本へと戦いの場を移し、作本のチームメートとして新加入した水野涼。22年はケガに苦しんだ名越哲平(SDG Honda Racing)も、万全の状態で開幕を迎えるシーズンとなった。

【JSB1000 2023総集編】水野が最終戦で2連勝。Honda勢が4年ぶりの優勝を果たす

昨季総合ランキング7位の岩田悟 (Team ATJ)、同10位の清成龍一(TOHO Racing)、同12位の秋吉耕佑(MurayamaUnso.Honda Dream.K.W)らは継続参戦。ST1000クラスにスポット参戦していた伊藤和輝は、Honda Dream RT SAKURAI HONDAに加入し、JSB1000にフル参戦することとなった。

名越が開幕から4レース連続の表彰台

開幕戦はモビリティリゾートもてぎで、2レース制にて行われた。レース1は晴天のもと、好スタートを切った水野がオープニングラップを制すも、トラブルで途中リタイア。名越は5番手付近を走行しながら徐々にトップ集団に迫り、13周目の1コーナーで3番手へ浮上。そのままチェッカーを受け、21年最終戦以来の表彰台に上がった。

20周で行われたレース2では水野が好スタートを切り、序盤をリード。しかし徐々にペースを落とし、終盤は名越との3位争いとなる。最終的には名越が前に出て2日連続の表彰台、水野は悔しい4位でフィニッシュとなった。

第2戦はスーパーフォーミュラとの併催イベント「鈴鹿2&4レース」として2レースが開催された。レース1は、名越が1周目を3番手につけ、先行のヤマハ勢2台とトップ争いを展開。最後まで接戦となるも、オーバーテイクはならず3位でフィニッシュ。4位にスポット参戦の日浦大治朗(Honda Dream RT SAKURAI HONDA)、6位に作本、7位に水野が入った。

レース2は序盤、名越と水野のHonda勢で1-2のフォーメーションとなるも、首位を守りきれず明け渡してしまう。名越はトップ2台のヤマハ勢に食らいつき、4レース連続の3位表彰台を獲得。水野は4位となった。


名越哲平/第2戦鈴鹿サーキット
名越哲平/第2戦鈴鹿サーキット

第3戦は5月20~21日、スポーツランドSUGOで行われた。レース1のオープニングラップで3番手につけた水野は、そのまま上位争いを展開し、3位でフィニッシュ。今季初の表彰台を獲得した。

レース2は終盤、作本、水野、清成による3番手争いに。最終ラップで清成が前へ出て、22年の最終戦以来となる表彰台に登壇した。

後半戦 水野が連続表彰台

第4戦はJSB1000クラスの開催がなく、3カ月ぶりのレースとなる第5戦は8月20日、モビリティリゾートもてぎで行われた。今大会は第2戦と同様、全日本スーパーフォーミュラ選手権と併催の2&4レースとして行われた。

20周で争われる予定であったレースはクラッシュのため赤旗中断となり、16周に減算されて再スタートが切られた。レース後半、ヤマハ勢2台と水野がトップ争いを続ける中で、水野と岡本裕生(ヤマハ)が接触し、岡本が転倒。トップ争いは中須賀克行(ヤマハ)と水野に絞られたが、水野は中須賀に引き離され2位でフィニッシュ。4位作本、5位名越、7位岩田、8位清成、9位秋吉となった。


水野涼/第5戦モビリティリゾートもてぎ
水野涼/第5戦モビリティリゾートもてぎ

第6戦は9月2~3日、オートポリスで行われた。レース1で水野は4位と惜しくも表彰台を逃したが、レース2では名越、作本、亀井雄大(スズキ)との3位争いを制して、3大会連続となる3位表彰台。名越は惜しくも4位となった。

第7戦は9月24日、舞台は岡山国際サーキット。24周で争われた決勝は、オープニングラップを水野が3番手で抜けると、6番手以降に清成、伊藤、作本、名越、秋吉が追いかける形に。その後、水野は清成らと3番手争いを繰り広げ、最終的には引き離して3位でチェッカーを受けた。

最終戦で水野が2日連続優勝

最終第8戦は10月14~15日、鈴鹿サーキットで2レースが開催された。水野はシーズン後半戦、コンスタントに表彰台を獲得しながらも、トップ争いにはなかなか加わることができていなかった。しかし、最終戦で水野はヤマハ勢を相手に一歩も引かない戦いをみせた。

レース1では5番グリッドからスタートダッシュを決めてトップ争いに加わり、2周目の日立Astemoシケインで首位に躍り出る。10周目、11周目にポジションを一つずつ落とし3番手となったが、13周目に首位を奪い返す気迫をみせる。14周目に3番手へポジションを落とすと、それを清成が追う形となりそのまま最終ラップに突入。トップ争いはヤマハ勢2台で繰り広げられたが、日立Astemoシケインでその2台が接触し転倒する波乱が起きた。アクシデントをすり抜けた水野がトップでチェッカーを受け、JSB1000クラス初勝利。Honda勢としては2019年最終戦以来の勝利となった。清成は2位に入り、Honda勢1-2フィニッシュ。4位名越、6位伊藤、7位岩田となった。


水野涼、清成龍一/第8戦鈴鹿サーキット
水野涼、清成龍一/第8戦鈴鹿サーキット

レース2では水野がホールショットを奪ったが、オープニングラップを制したのは5番グリッドの名越だった。2周目に清成、秋吉が接触転倒し、セーフティカーが導入。5周を終えたところで解除となり、名越をトップにレースが再開されると、水野が1コーナーですかさず首位に立ち、その後は2人のトップ争いが続いた。しかし、8周目に名越は1コーナーでコースアウトを喫し、4番手へポジションダウン。以降は水野と岡本(ヤマハ)による激しいトップ争いが繰り広げられた。最終ラップまで水野は猛烈なプレッシャーをかけ続けると、それが奏功したか、岡本(ヤマハ)が日立Astemoシケインでコースアウト。そのままトップチェッカーを受けたが、ショートカットによるペナルティーで順位降格となり、水野の2連勝が決定。最終戦でヤマハ勢に一矢を報いる見事な走りをみせた。


水野涼/第8戦鈴鹿サーキット
水野涼/第8戦鈴鹿サーキット

総合ランキングでは水野が3位、全戦でポイントを重ねた名越が4位を獲得。清成は去年から3つ順位を上げて7位、作本は8位、JSB1000フル参戦初年度の伊藤は終盤5レース連続のトップ10フィニッシュで9位に入った。



JSB1000 - ポイントランキング

Pos. Rider No. チーム Constr. Pts.
1 中須賀 克行 1 YAMAHA FACTORY RACING TEAM Yamaha 245
2 岡本 裕生 3 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2 Yamaha 208
3 水野 涼 36 Astemo HondaDream SI Racing Honda 182
4 名越 哲平 15 SDG Honda Racing Honda 154
5 亀井 雄大 5 YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN Suzuki 125
6 津田 拓也 37 AutoRace Ube Racing Team Suzuki 116
7 清成 龍一 10 TOHO Racing Honda 109
8 作本 輝介 4 AstemoHondaDreamSIRacing Honda 105
9 伊藤 和輝 38 Honda Dream RT SAKURAI HONDA Honda 87
10 岩田 悟 7 Team ATJ Honda 84
11 秋吉 耕佑 12 MurayamaUnso.Honda Dream.K.W Honda 56
15 ザクワン・ザイディ 17 Honda Asia-Dream Racing with SHOWA Honda 34
16 アンディ・ファリド・イズディハール   Honda Asia-Dream Racing with SHOWA Honda 30
17 杉山 優輝 35 Sofukai Honda Suzuka RT Honda 23
19 國峰啄磨 19 TOHO Racing Honda 14
20 日浦 大治朗 16 Honda Dream RT SAKURAI HONDA Honda 13
26 今野 由寛 33 MurayamaUnso.HondaDream.K.W Honda 3

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