【2022シーズン総集編】接戦を制したダニッシュがマレーシア人としての初チャンピオンに輝く
MotoGPを目指すアジアの若手ライダーの登竜門であるイデミツ・アジア・タレントカップ。コロナ禍の影響で開幕戦のみで終了した2020年、一部大会が行われなかった2021年を経て、今年はほとんどスケジュール通りに全6大会11レースが行われた。
開幕レースで日本勢が表彰台を独占
開幕戦は3月、MotoGPカタールGPとの併催で行われた。初戦は日本人ライダー3人が最後まで三つ巴のバトルを展開し、最終的にたった0.04秒差でルーキーの江澤伸哉が彌栄郡を上回って1位、続いて小田喜阿門が0.059秒差の3位でフィニッシュした。続くレース2では、10台近くに膨れ上がったトップ争いを制して小田喜がIATC初勝利を挙げた。
MotoGPインドネシアGPとの併催で行われた第2戦も混戦が巻き起こった。レース1では前戦では表彰台を飾った彌栄のクラッシュ、小田喜のリタイアなどからハキム・ダニッシュ(マレーシア)が快走して優勝。翌日に行われたレース2でもダニッシュが勝利し、僅か0.272秒差で敗れた彌栄が2位、江澤が3位で表彰台に上がった。2大会を終えてダニッシュがランキングトップ、1ポイント差で江澤が追う形で、秋以降の残り4大会に向かうこととなった。
タイトルを争う江澤が母国大会で勝利
およそ半年のブレイクを経て、9月のモビリティリゾートもてぎで開催された第3戦。2レース開催される予定だったが、土曜日の雨の影響でMotoGPのスケジュールが変更され、日曜日の1レースのみの開催となった。切迫した首位争いとなるも、江澤がダニッシュと終盤に追い上げてきたハマド・アル・ソーシ(カタール)を抑え優勝。2位のダニッシュとの差は0.061秒という僅差だった。
翌週タイで開催された第4戦。レース1では4人のライダーによる優勝争いが最終コーナーまでもつれ、ダニッシュがわずか0.046秒差で1位、ヴェダ・エガ・プラタマ(インドネシア)が2位に続き僅差で彌栄が3位を勝ち取った。
レース2では中盤からスパートを見せたプラタマが2位との差を7秒にも広げてチェッカーを受け、初優勝を成し遂げた。2位にはレース1でも表彰台に上った彌栄が、3位にはレース1で惜しくも表彰台を逃したトンプソンが入った。ランキングトップを争う江澤は4位、ダニッシュは7位でフィニッシュ。レース1で勝利したダニッシュが江澤を逆転、7ポイントリードで残り2大会へ向かった。
タイトル争いは僅差のまま最終戦へ
マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われた第5戦。レース1では前回まで好調であったダニッシュ、プラタマが転倒する波乱の事態に。そんな中でカーター・トンプソン(オーストラリア)、彌榮、若松怜が激しい三つ巴の戦いを繰り広げ、トンプソンが一着でフィニッシュし初勝利を飾った。
レース2では、前回クラッシュを喫したダニッシュがプラタマから逃げ切り僅差で勝利、ホームレースを制した。江澤は3位に入り、総合首位のダニッシュに3点差で最終戦を待つ形となった。
プラタマが地元インドネシアで連勝
そして迎えた最終戦インドネシア大会。レース1では地元レースとなったプラタマが後続を振り切る圧倒的な走りで2番手と7秒差をつけて勝利した。その後ろを江澤とダニッシュが競り合ったが、最終ラップでワイドに出た2台をトンプソンが追い抜き2位を獲得。ダニッシュは江澤を抑え3位に入り、差を6ポイントに広げてレース2に臨むこととなった。
拮抗する今シーズンのタイトル争いにピリオドを打つことになるレース2。この最後の戦いで優勝を飾ったのはレース1に続いてプラタマだった。ダニッシュは2位、江澤は3位でフィニッシュし、この結果ダニッシュがチャンピオンを獲得した。
今シーズンのIATCは白熱した大接戦が続き、11レースで5人の勝者が生まれた。その中で4勝を挙げ、他のレースでも安定したリザルトを残したダニッシュが初のマレーシア人チャンピオンとなった。江澤は2勝を挙げて総合2位を獲得し、シーズン後半で快走を見せたプラタマが総合3位にランクインした。
Race Report
Rd.01 カタール Race1:江澤伸哉が三つ巴のバトルを勝ち抜き初優勝
Rd.01 カタール Race2:表彰台をかけた激戦で、小田喜阿門が初勝利
Rd.02 インドネシア Race1:ハキム・ダニッシュがレース1の激戦を制す
Rd.02 インドネシア Race2:レース2もハキム・ダニッシュが制す
Rd.03 日本:江澤伸哉がハキム・ダニッシュを退けて優勝し、ポイントリーダーへ
Rd.04 タイ Race1:ハキム・ダニッシュが第4戦で勝利をつかみ、タイトル獲得へ最後の一歩を決める
Rd.04 タイ Race2:プラタマが7秒の差をつけてレース2で圧倒的な勝利を挙げる
Rd.05 マレーシア Race1:ダニッシュのクラッシュによりトンプソンが初勝利
Rd.05 マレーシア Race2:僅差で逃げきったダニッシュがホームレースで勝利
Point Ranking
Pos. | Rider | Num. | チーム | Constr. | Pts |
---|---|---|---|---|---|
1 | Hakim DANISH | 13 | - | Honda | 187 |
2 | Shinya EZAWA | 21 | - | Honda | 177 |
3 | Veda PRATAMA | 7 | - | Honda | 141 |
4 | Gun MIE | 5 | - | Honda | 135 |
5 | Carter THOMPSON | 6 | - | Honda | 102 |
6 | Hamad AL-SAHOUTI | 23 | - | Honda | 91 |
7 | Amon ODAKI | 14 | - | Honda | 89 |
8 | Reykat FADILLAH | 15 | - | Honda | 86 |
9 | Rei WAKAMATSU | 2 | - | Honda | 85 |
10 | Jakkreephat PHUETTISAN | 20 | - | Honda | 77 |
11 | Marianos NIKOLIS | 12 | - | Honda | 60 |
12 | Aan RISWANTO | 3 | - | Honda | 59 |
13 | Farish HAFIY | 19 | - | Honda | 55 |
14 | Diandra TRIHARDIKA | 22 | - | Honda | 42 |
15 | Farres PUTRA | 8 | - | Honda | 36 |
16 | Thanakorn LAKHARN | 9 | - | Honda | 31 |
17 | Thanat LAOONGPLIO | 11 | - | Honda | 30 |
18 | Emil IZDHAR | 17 | - | Honda | 18 |
19 | Cameron SWAIN | 18 | - | Honda | 14 |
20 | Kavin QUINTAL | 10 | - | Honda | 5 |
21 | Zachry AKBAR | 24 | - | Honda | 4 |
22 | Nguyen TRAN DUC TAI | 16 | - | Honda | 4 |
23 | Burapa WANMOON | 24 | - | Honda | 2 |