全日本モトクロス選手権

【IA1 2023総集編】大倉が総合ランキング2位に躍進

全日本モトクロス選手権の国内最高峰IA1クラスは、2023シーズン全9戦で行われた。 Honda Dream Racing Bellsの大城魁之輔と大倉由揮は22年、それぞれ総合4位、6位とIA1ルーキーながらも上位に食い込むポテンシャルを発揮。23年も同チームからの参戦で、さらなる躍進が期待された。

【IA1 2023総集編】大倉が総合ランキング2位に躍進

大城が開幕戦から表彰台へ

開幕戦の舞台は、毎年恒例のHSR九州。天候の影響で日によってコース状況が目まぐるしく変化する大会となった。

大倉は、ヒート1では3番手、ヒート2では2番手と好スタートを切り、どちらも4位でゴール。ヒート3では出遅れるも、追い上げて同じく4位。大会総合4位でシーズンのスタートを切った。大城はヒート3で好スタートを決めてトップ争いに絡み、2位表彰台を獲得。大倉に次ぐ総合5位で開幕戦を終えた。


大倉由揮/開幕戦HSR九州大会
大倉由揮/開幕戦HSR九州大会

第2戦となる関東大会は、オフロードヴィレッジで開催。新しい試みとして計時予選が採用され、スケジュールも日曜日に集中する中、15分+1周の3ヒート制によるIA1クラスの戦いがスタートした。

ヒート1では、大倉が2番手、大城が4番手と好スタートを切った。序盤に大城が大倉をパスして3番手に浮上するも、大倉は終盤で追い上げをみせ、富田俊樹(ヤマハ)を含めた3人による2番手争いへと発展。ラスト2周のところで大城が抜き出て2位表彰台を獲得。大倉は4位となった。ヒート2、3ではともに大倉4位、大城が5位でフィニッシュした。


大倉が2ヒートで表彰台に立ち、総合2位

第3戦はスポーツランドSUGOで行われた。ヒート1を6番手でスタートした大倉は、2周目には3番手まで浮上。最終ラップで先頭を走る2台が接触して転倒すると、順位を上げて2位でフィニッシュし、今季初の表彰台を獲得した。

ヒート2では、大城がホールショットを奪ったものの、ミスにより2周目で転倒。ジェイ・ウィルソン(ヤマハ)に先行を許してしまうが、2番手で復帰し、そのまま順位を守って表彰台を獲得した。

ヒート3では大城が2番手、大倉が3番手でトップの富田を追う展開になった。しかし、終盤で大城のペースが落ちると、すかさず大倉が逆転。大倉が3位、大城が4位となり、2ヒートで表彰台に上った大倉が総合2位で大会を終えた。


大倉由揮/第3戦SUGO大会
大倉由揮/第3戦SUGO大会

第4戦中国大会では、大倉が両ヒートで好スタートを切るが、いずれも4位フィニッシュと悔しい結果に。大城はヒート1の序盤を上位で走行していたが、富田の先行を許した直後に転倒。この転倒により負傷してしまい、ヒート2はリタイアとなった。

10年ぶりの北海道大会で大倉が2位表彰台

第5戦は約10年ぶりの開催となった北海道大会。全道選手権との併催もあり、全日本の開催クラスはIA1/IA2のみに限定され、計時予選、25分+1周のヒート1、15分+1周のヒート2という変則スケジュールにより実施された。

ヒート1ではケガから復帰した大城が5位、大倉は7位でフィニッシュ。ヒート2では、序盤から今季全勝中のウィルソンを大倉と小方誠(TEAM HAMMER)が追う展開になった。5周目で大倉が2番手に浮上し、少しずつトップに迫るも、そのまま2位でゴール。ケガから復帰直後の大城はペースが上がらず、9位となった。


大倉由揮/第5戦北海道大会
大倉由揮/第5戦北海道大会

大城が2位表彰台を獲得

シーズン後半戦最初の第6戦近畿大会は、名阪スポーツランドにて開催された。

大城はヒート1で2番手の好スタートを切るが、中盤には4番手へ後退。しかし、そこから大きく追い上げて2位フィニッシュ。第3戦以来の表彰台を獲得した。ヒート2では大城は7位に終わったが、大会総合3位で復調の兆しをみせた大会となった。


大城魁之輔/第6戦近畿大会
大城魁之輔/第6戦近畿大会

小方が今季初の表彰台

第7戦は、開幕戦と同じくHSR九州にて開催。IA1クラスは従来の2ヒート(20分+1周)に加えて、IA2クラスとの混走によるIA OPEN(15分+1周)が実施された。

ヒート1、大城がウィルソンとホールショットを争い、2番手の好位置を確保。中盤にジャンプの着地で左足首を痛めるも、そのまま2位入賞を果たした。

ヒート2では、ベテランの小方がホールショットを奪取。小方は2周目にウィルソンにパスされるも、その後は2番手のポジションをキープし続けて2位を獲得。今季初の表彰台に上がった。

そして、IA2クラスとの混走となったIA OPENがスタート。ホールショットを奪ったのはまたも小方。大城は3番手につけるも、2周目に転倒してリタイアとなった。大倉は序盤で2番手に浮上するも、6周目に転倒してポジションを落とし、4位フィニッシュ。小方は3位でゴールし、2ヒート連続の表彰台を獲得した。


小方誠/第7戦HSR九州大会
小方誠/第7戦HSR九州大会

電動モトクロッサーがスポット参戦 表彰台獲得

第8戦埼玉トヨペットCUPでは、Hondaの電動モトクロッサー、CR ELECTRIC PROTOがTeam HRCからIA1クラスに実戦デビューするとあって、世界中から関心を集めた。ライダーに抜てきされたのは、AMAスーパークロス、AMAモトクロスでチャンピオン経験のあるベテラン、トレイ・カナード。

注目のヒート1、トップのウィルソンを追うカナードと大倉だったが、2周目で接触して大倉が転倒。カナードはウイルソンとの差は縮められなかったものの、後続を引き離して2位でフィニッシュ。CR ELECTRIC PROTOの初陣を表彰台で飾った。

続くヒート2では、カナードがホールショットからスタート。ウィルソンとのトップ争いを繰り広げたカナードだったが、2周目の第1コーナーでウィルソンからのアタックによって転倒。その際にマシントラブルが発生し、悔しいリタイアとなった。ヒート3でも転倒リタイアとなったが、表彰台獲得と2度のホールショット奪取など、電動モトクロッサーのパフォーマンスを遺憾なく発揮した。

大倉はヒート2とヒート3を2位でフィニッシュし、ポイントランキング2位に浮上して最終戦を迎えることとなった。


最終戦で大城が躍進、両ヒートを2位で終える

全日本モトクロス選手権の第9戦、スポーツランドSUGOを舞台にした最終戦は、第61回MFJ-GPモトクロス大会として開催された。

ヒート1、富田に次ぐ2番手でスタートした大城は、ウィルソンに先行されて3番手に後退するが、3周目には2番手に位置していた富田をパスして再び2番手へ。トップのウィルソンには届かなかったものの、3番手以下を引き離す好走をみせ、2位フィニッシュを果たした。

そして、シーズン最後のレースとなったヒート2。大城はホールショットを奪う好スタートを決め、大倉も1周目を3番手でクリアした。大城は、3番手との差を広げながらウィルソンを追うが、トップとの差は縮まらずに2位フィニッシュ。2ヒートとも2位で今大会を終えた。大倉は3番手争いの集団内で戦うも、レース後半でポジションを落とし、最終的には6位でゴールした。


大城魁之輔/第9戦 第61回MFJ-GPモトクロス大会
大城魁之輔/第9戦 第61回MFJ-GPモトクロス大会

昨年の全7戦から全9戦に増え、本来の様式を取り戻しつつある全日本モトクロス選手権シリーズ。大倉はシーズンを通して上位フィニッシュを続けて、総合ランキング2位を獲得。大城はケガや不調に悩まされながらも、総合ランキング5位で2023年のシーズンを締めくくった。



ポイントランキング

Pos. Rider Num. チーム Constr. Pts
1 JAY WILSON 27 YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM Yamaha 572
2 大倉 由揮 6 Honda Dream Racing Bells Honda 299
3 富田 俊樹 1 YAMAHA FACTORY RACING TEAM Yamaha 284
4 内田 篤基 8 Yogibo マウンテンライダーズ Kawasaki 269
5 大城 魁之輔 4 Honda Dream Racing Bells Honda 267
6 大塚 豪太 7 T.E.SPORT Honda 193
9 小方 誠 5 TEAM HAMMER Honda 160
10 小島 庸平 10 Bells Racing Honda 128
11 道脇 右京 12 TEAM KOHSAKA with CARVEK&バイカーズステーション金沢 Honda 122
13 池谷 優太 19 TEAM HAMMER Honda 86
14 池本 凌汰 15 うず潮レーシング福山 Honda 85
21 小野 千成 17 T.E.SPORT Honda 28
22 TREY CANARD 41 Team HRC Honda 20
24 竹野 拓実 34 BAMFY with BLITZ-SCHNELL Honda 5
25 道脇 白龍 24 TEAM KOHSAKA with CARVEK Honda 5
26 小林 秀真 38 edge decal Honda 4

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