WTCR

【2022シーズン総集編】ジロラミが2勝を挙げ、総合2位でWTCRラストシーズンを飾る

2022年のFIAワールド・ツーリングカー・カップ(WTCR)は当初10戦が予定されていたが、ウクライナ情勢の影響を受けて開幕戦のチェコ大会、8月のロシア大会が中止に。シーズンが始まってからも、第2戦のドイツ大会の決勝レースがタイヤの安全上の問題から中止。さらに韓国、中国、マカオで開催が予定されていたアジアラウンドは検疫と輸送の問題によって中止となり、代替として中東で2大会が初開催される波乱のシーズンとなった。

【2022シーズン総集編】ジロラミが2勝を挙げ、総合2位でWTCRラストシーズンを飾る

Hondaは4台のCivic Type R TCRを2つのカスタマーチームに供給。ALL-INKL.COM Münnich Motorsportからはネストール・ジロラミとエステバン・グエリエリ、LIQUI MOLY Team Engstlerからはティアゴ・モンテイロとアッティラ・タッシが参戦した。


ネストール・ジロラミ、エステバン・グエリエリ/開幕戦フランス
ネストール・ジロラミ、エステバン・グエリエリ/開幕戦フランス

絶好のスタートを切った開幕戦

フランス・ポーで行われた開幕戦では、ジロラミとグエリエリが予選でフロントローを独占。レース1ではスタートから安定した走りを見せて、そのまま1-2フィニッシュ。ジロラミはHondaドライバーとして6度目の優勝を果たしその力強さを開幕戦で見せつけた。リバースグリッドのレース2でもグエリエリが5位、ジロラミが7位とチームに素晴らしい結果をもたらし、幸先のいい開幕戦となった。
第3戦ハンガリー大会ではジロラミがレース1で7位、レース2では14周にわたるレースを3番手のポジションを守り切り、そのままフィニッシュ。3位で表彰台に登り、開幕戦に続いて好成績を残した。
第4戦アラゴン(スペイン)では、厳しいコンペンセーションウエイトに苦戦しトップ10入りはかなわなかったものの、両レースで11位に入ったグエリエリを筆頭に4台ともポイントを獲得した。


アッティラ・タッシ/第5戦ポルトガル
アッティラ・タッシ/第5戦ポルトガル

WTCRの開催100戦目となった第5戦ポルトガル大会では、アッティラ・タッシ(LIQUI MOLY Team Engstler)がレース2の序盤から速さを見せつけ、2位で今季初の表彰台を飾った。ジロラミもレース1で3位表彰台に登ったが、グエリエリは両レースでトラブルに遭いリタイアするという悔しい結果に終わった。


ネストール・ジロラミ/第6戦イタリア
ネストール・ジロラミ/第6戦イタリア

ジロラミがシーズン2勝目 タイトル戦線に生き残る

イタリアでの第6戦は、WTCR初開催のヴァレルンガ・サーキットが舞台となった。レース1ではポールポジションスタートのジロラミが後方からのプレッシャーに耐え、タイヤをいたわりながら冷静に走行し、今季2度目の優勝を果たした。レース2ではジロラミが5位、タイヤ交換で後退したグエリエリが10位と惜しい結果に終わったが、ポイント獲得という面では順調に歩みを進めることができたレースになった。

サマーブレイク前最後のレースとなる第7戦フランス大会。ジロラミは予選で今季3回目のポールポジションを獲得。レース1では1kmにも及ぶ長いメインストレートでライバルたちの猛攻に遭ったものの、粘り強く走り切ったジロラミが2位でフィニッシュし、今季5回目となる表彰台登壇を成し遂げた。2戦を残してジロラミは総合トップとの得点差を35ポイントにまで縮めた。


エステバン・グエリエリ/第8戦バーレーン
エステバン・グエリエリ/第8戦バーレーン

初の中東開催で善戦をみせたHonda勢

約3カ月のインターバルの後、11月に行われた第8戦バーレーン大会。レース2ではグエリエリが4周目まで首位をキープしながら、惜しくもオーバーテイクされ1秒の僅差で2位フィニッシュ。この結果でグエリエリは総合ランキング8位に浮上、残るレースでさらに上位を目指す心意気を見せた。ジロラミも奮闘を見せたが、集団の中で十分にパフォーマンスを発揮できず9位という残念な結果に終わった。トップとの差が60ポイントとなったジロラミは、わずかに逆転タイトルの可能性を残して最終戦へ向かった。

迎えた第9戦、5年間にわたったWTCRの最後の大会はサウジアラビアで行われた。レース1では最後尾15番手からのスタートとなったジロラミだったが、果敢に順位を上げ10位。レース2では混乱をうまく回避して序盤で8番手まで浮上し、そのままの順位でフィニッシュ。ジロラミはシーズンで2勝を含む6度の表彰台、3度のポールポジションを獲得し、自己ベストランキングである総合2位を獲得した。

一方のグエリエリはレース2で3番手から首位を狙うも第1コーナーでオーバーシュートしてしまい、両レースとも11位と最終レースでは結果が残せなかったが、5シーズン通算で優勝10回、表彰台15回という素晴らしい結果を残した。


ティアゴ・モンテイロ/第9戦サウジアラビア
ティアゴ・モンテイロ/第9戦サウジアラビア

チームランキングでは、ALL-INKL.COM Münnich Motorsportが2020年以来の2位を獲得。また、Civic Type R TCRは5シーズンすべてで優勝を勝ち取った唯一のマシンとなり、トータルで22勝を挙げて、WTCRの歴史に名を刻んだ。



  • Standings
1 Mikel AZCONA 96 BRC Hyundai N Squadra Corse Hyundai 337
2 Néstor GIROLAMI 29 ALL-INKL.COM Münnich Motorsport Honda 254
3 Nathanaël BERTHON 17 Comtoyou DHL Team Audi Sport Audi 240
4 Norbert MICHELISZ 5 BRC Hyundai N Squadra Corse Hyundai 222
5 Gilles MAGNUS 16 Comtoyou Team Audi Sport Audi 210
6 Robert HUFF 79 Zengő Motorsport Cupra 210
7 Esteban GUERRIERI 86 ALL-INKL.COM Münnich Motorsport Honda 149
13 Attila TASSI 9 LIQUI MOLY Team Engstler Honda 83
15 Tiago MONTEIRO 18 LIQUI MOLY Team Engstler Honda 70

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