【IAS 2023総集編】小川が11連覇、MFJ新記録となる13回目のタイトル獲得。氏川は3勝を挙げランキング2位
2023年の全日本トライアル選手権 IASクラスは全8戦が開催された。TEAM MITANI HondaはRTL301RRを2台投入し、クラス11連覇を狙う小川友幸と、22年に初優勝を果たした若手ライダー、氏川政哉が参戦。絶対王者のベテランと新進気鋭の若手、チームメート2人による激しいタイトル争いが繰り広げられた。
氏川が開幕戦勝利 絶対王者からリードを奪った前半戦
開幕戦愛知・岡崎大会は、愛知県のキョウセイドライバーランドで行われた。第1セクションでほとんどの選手が減点5点という中、クリーンで抜けた氏川は序盤から優位に立った。2ラップを終えて、氏川がトップ、小川が2番手でスペシャルセクション(SS)進出を果たした。SS第1は滑る岩に行く手を阻まれ、小川、氏川ともに減点5点となり、この時点で氏川の勝利が決定。SS第2は難易度の高い設定だったが、小川はクリーンを達成。優勝の決まっている氏川も同様にクリーンを決め、TEAM MITANI Hondaの1-2フィニッシュでシーズンはスタートした。
矢谷渓谷キャンプ場で行われた第2戦、熊本・山鹿大会。氏川は序盤に好調ぶりをみせ、最初の3セクションをクリーンで抜けて大会をリード。しかし、第4~6セクションで減点5点、第8セクションでも減点5点を喫し、勢いをキープできず。
一方の小川は1ラップ目をトップで折り返すと、2ラップ目もさらに減点を受けずにトップを維持。SSでは氏川が2セクションともクリーンで追い上げたが、小川はSS第2を減点1点で切り抜けて、2位氏川に6点差をつけて今季初勝利を挙げた。
続く第3戦はモビリティリゾートもてぎで開催された。セクションは総じて減点数が少ない、いわゆる神経戦になると言われる中、小川は序盤7セクションすべてをクリーンで抜けて絶好調。しかし、第8セクションで減点1点、そして最終第10セクションで減点5点となって、1ラップ目は減点6点で2番手。氏川は減点10点の3番手で折り返した。
2ラップ目、小川は追撃を図ったが、第6セクションで減点5点を喫し、3番手でSSへ進出することに。SSでは2セクションともに減点5点を喫して、4位という不本意な結果に終わった。
氏川は2ラップ目に調子を取り戻して減点を3点に抑え、2位表彰台を獲得した。
第4戦の舞台は湯浅トライアルパーク。1ラップ目のトップは小川で減点19点。これに1点差で2番手につけたのが氏川であった。2ラップ目、小川は終盤の3セクション連続で減点5点を喫し、優勝争いから離脱。氏川がトップに立ってSSを迎えた。SS第2の大岩では、氏川の前にチャレンジしたライダー全員が減点5点となり、氏川の優勝が決定。氏川には唯一のクリーンの期待がかかったところを減点1点で切り抜けて、最後までマシンを運んだ。氏川はこれで2勝、2位が2回と安定した成績を残し、小川に16ポイント差の総合ランキングトップに立ってシーズンを折り返した。
逆襲の3連勝
第5戦北海道・和寒大会は、前日の強い雨によってセクションが滑りやすくなり、難易度が高まった。1ラップを走り終えて、トップの減点が28点、氏川は31点で2位、小川は34点で3位という僅差の勝負に。2ラップ目、小川は6セクション連続でクリーンとしたが、その後3連続で減点5点を喫して、2番手でSSへ進出。SS第1は小川の前まで全員が減点5点という中、初めて1点でこのセクションを走破した。トップに立って迎えたSS第2も2回の足つきのみでセクションアウトし、小川の勝利が決定。氏川はトップでSSに進んだものの、SS第1で減点5点を喫して2位。今季2度目の1-2フィニッシュで、2勝目を挙げた小川はタイトルへの望みをつないだ。
第6戦広島・三次灰塚大会は、小川と氏川、黒山健一(ヤマハ)による三つ巴の優勝争いとなった。小川は減点をわずか6点にまとめて優勝、黒山が減点9点で2位、氏川は1ラップ目に大きなクラッシュをしながらも、減点11点で3位。小川は2連勝で、氏川に対して2ポイント差に迫った。
第7戦は宮城・SUGO大会。オールクリーンに近い戦いが予想された中、ここまでランキング争いをリードしていた氏川は、1ラップ目の第3セクションで痛恨の減点5点。対する小川は、2ラップ目をオールクリーンでまとめる完ぺきな走りをみせ、わずか減点2点で優勝。氏川が4位に終わったことでランキングトップは入れ替わり、小川が10点のリードで最終戦へ向かった。
小川11連覇でV13
氏川は最終戦を勝利で飾る
迎えた最終戦、シティ・トライアル・ジャパン大会は大阪市の中心地で開催される、IASクラスの上位10人だけが進める特別な大会だ。
セミファイナル前半の4セクションをクリーンで終えた氏川に対し、小川は減点5点。後半に入ったところで雨が降り始め、セミファイナルの後半は中止となり、雨の中でも走破できるよう手直しされたセクションを使って、ファイナルが行われた。
氏川が小川を4点リードして迎えた最後のセクション。小川がここで減点3点を喫し、氏川の勝利が決定した。
小川は2位となり、チームとして今季3度目の1-2フィニッシュ。獲得ポイントは小川が169ポイント、氏川が164ポイントとなり、小川がシリーズ11連覇を達成。若きチームメートに競り勝って、MFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)主催の全日本選手権で史上最多となる、13回目のチャンピオンを獲得した。
氏川は小川を破ることこそかなわなかったが、最後までタイトルを争い、シーズン3勝を挙げる活躍をみせた。
Race Report
Rd.01 愛知・岡崎大会:氏川、堂々たる開幕戦勝利。小川が2位でワンツーフィニッシュ
Rd.02 熊本・山鹿大会:小川、今季初勝利 氏川が2位で2戦連続1-2フィニッシュ
Rd.04 和歌山・湯浅大会:氏川が今シーズン2勝目。小川は3位となる
Rd.05 北海道・和寒大会:小川、逆転でシーズン2勝目。氏川とともに1-2フィニッシュ
Rd.06 広島・三次灰塚大会:小川、シーズン3勝目を挙げる。氏川は3位でタイトル争いは接戦に
IAS ポイントランキング
Pos. | Num. | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | 小川 友幸 | Honda | 169 |
2 | 3 | 氏川 政哉 | Honda | 164 |
3 | 2 | 黒山 健一 | ヤマハ | 118 |
4 | 4 | 野崎 史高 | ヤマハ | 110 |
5 | 6 | 小川 毅士 | Beta | 99 |
6 | 5 | 柴田 暁 | TRRS | 98 |
7 | 9 | 久岡 孝二 | Honda | 70 |
8 | 8 | 武井 誠也 | Honda | 50 |
10 | 19 | 田中 善弘 | Honda | 44 |