【IMSA 2023総集編】新規定初年度、初戦のデイトナ24時間と第6戦でAcura勢1-2フィニッシュ MSRが3勝を挙げる
北米で開催されている耐久レースシリーズ、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権は、デイトナ24時間、セブリング12時間、ワトキンス・グレン6時間、プチ・ル・マン(10時間)などの長時間レースに、短時間レースの7戦を加えた合計11戦が行われた。
今季からFIA世界耐久選手権(WEC)と共通のマシン規定が導入され、AcuraはGTPクラスに2台のLMDhマシン、Acura ARX-06を投入。Meyer Shank Racing w/ Curb Agajanian(以下、MSR)、Wayne Taylor Racing with Andretti Autosport(以下、WTR)の2チームが参戦した。
デイトナ24時間レースでAcuraが3年連続優勝
開幕戦にしてシリーズ最長時間を走るビッグレース、デイトナ24時間は1月28~29日にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイ(アメリカフロリダ州)で開催された。
新型LMDhプロトタイプカーAcura ARX-06は、デビュー戦となる本戦。ポールポジションスタートのMSRは残り8時間までレースをリード、一方のWTRは後れを取るも、イエローコーションのタイミングにも助けられて2番手に浮上する。そして終盤はAcura勢2台が接戦を繰り広げる展開となり、そのまま1-2フィニッシュを獲得した。世界三大耐久レースと言われるこのレースで、1-2フィニッシュは2度目、MSRは2連覇を飾り、Acuraとしては3連覇を達成。これ以上ない、最高のシーズンスタートを切ったかに見えた。
しかし、レースから1カ月以上が経った3月、優勝したMSR陣営がタイヤの内圧データを不正に操作していたことが発覚。レース結果に変更はなかったものの、優勝で獲得した350ポイントのうち200ポイントを剝奪される処分が下り、総合ランキング最下位に転落してしまった。
第2戦は、3月18日にセブリング・インターナショナル・レースウェイ(フロリダ州)で開催されたセブリング12時間レース。
WTR、MSRともに首位に浮上する場面もあり、レース後半でも十分に優勝を狙える位置にいたが、残り2時間を切ったところでMSRにサスペンション関連のトラブルが発生。ピットクルーの懸命な修復作業によって残り20分でレースに復帰するも、GTPクラス6位という結果に。
WTRは残り20分というところまでトップを争ったが、多重クラッシュに巻き込まれてリタイア。しかしながら、315周を走破しクラス4位を獲得している。
第3戦、第4戦と両チームは苦しい戦いとなったが、続く第5戦ワトキンス・グレン6時間。MSRは最後のピットストップを終えたところで4位に浮上、4台がトップを争う中プッシュするも、残り5分を切ったところでGTDクラスのクラッシュにより黄旗が提示されたため、セーフティカー先導のままトム・ブロンクビストが4位でチェッカーを受ける。しかし、優勝した6号車ポルシェがレース後車検で失格となり、繰り上げ3位となった。
3番グリッドからスタートしたWTRは、ホイールの緩みやブレーキトラブルに悩まされるレースとなり、残り40分のところでリタイアとなった。
Acura勢今季2度目のワンツーフィニッシュ
第6戦は7月9日、カナダのモスポート・パークで開催された2時間40分レース。インシデントや後半のコーションで波乱のレースとなったが、Acura勢は燃料のマネジメントを完ぺきにこなし、MSRが優勝、WTRが2位に入って、開幕戦デイトナ以来の1-2フィニッシュとなった。
GTPクラスが行われる9レース中6レースを終えて、WTRは首位との差29ポイントで総合ランキング3位、MSRは総合ランキング6位となった。
第7戦はGTPクラスの開催がなく、迎えた第8戦ロードアメリカではMSRが2位、WTRが3位で2戦連続のダブル表彰台を獲得。この大会で328ポイントを獲得したWTRは、総合ランキング首位に浮上した。
第10戦は9月17日、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われた。Acura勢2台はスタート直後のクラッシュに巻き込まれ、マシンを損傷し後れを取ってしまう。苦しいレースとなり、WTRが5位、MSRが6位でフィニッシュ。WTRは総合ランキングで2位となってしまうが、首位と差はわずか3ポイント、タイトル争いの行方は最終戦プチ・ル・マンへ。
最終戦でMSRが3勝目
WTRはクラッシュでタイトルを逃す
10月14日、ミシュラン・レースウェイ・ロード・アトランタで開催された最終戦、プチ・ル・マン10時間耐久レース。レース序盤、MSRは複数のマシンによる接触に巻き込まれてタイムロスを喫する。サスペンション交換のためのピットインで2周遅れとなるが、懸命の追い上げでレース中盤までにリードラップへの復帰を果たす。レース終了まで残り1時間強の時点で7番手だったが、チームのピット戦略とコリン・ブラウンの果敢なドライビングで2番手に浮上。コーションが導入された後、ブラウンがリスタートでトップに立ち、そのまま優勝。チームとして今季3勝目をマークした。
WTRは10時間のレース中、最初の9時間はドライバーズタイトル、チームタイトル、優勝を狙える位置につけていた。しかし、タイトル争いのライバルである31号車キャデラックと接触し、フィリペ・アルバカーキが駆る10号車は第1コーナーのバリアにクラッシュ。最終戦はそこで終えることとなり、タイトル獲得を逃す結果となった。
LMDh規定が導入された初年度、Acura ARX-06勢は随所で速さとトータルバランスのよさを発揮し、デビューシーズンで3勝を挙げる活躍をみせた。新シーズンは来たる24年1月、新規定2年目のデイトナ24時間レースから始まる。
Race Report
Rd.01 デイトナ24時間:Acuraが3年連続優勝を果たす
Rd.02 セブリング12時間:波乱のセブリング12時間でAcura勢は苦戦を強いられる
Rd.03 ロングビーチ:Acura ARX-06勢は速さを見せるも、アクシデントに見舞われる結果に
Rd.05 ワトキンス・グレン6時間:ワトキンス・グレンでAcuraが表彰台を飾る
Rd.06 モスポート・パーク:Acura勢が今シーズン2度目のワンツーフィニッシュ
Rd.07 GTPクラス開催なし
Rd.09 GTPクラス開催なし
ポイントランキング
Pos. | チーム | Constr. | Pts. |
---|---|---|---|
1 | Whelen Engineering Cadillac | Cadillac | 2733 |
2 | Konica Minolta Acura ARX-06 | Acura | 2712 |
3 | Meyer Shank Racing w/Curb-Agajanian | Acura | 2711 |
4 | Porsche Penske Motorsport #6 | Porsche | 2691 |
5 | Porsche Penske Motorsport #7 | Porsche | 2691 |
6 | BMW M Team RLL #25 | BMW | 2687 |