【ダカール2023特集①】 Monster Energy Honda Team2022年の戦いを振り返る
ダカールラリーをはじめとして、各地で行われていたクロスカントリーラリーの大会が一つの選手権としてまとめられ、2022年シーズンから「FIM世界ラリーレイド選手権(RallyGP)」が発足。1月のダカールラリーを開幕戦とし、10月まで全5戦のシリーズとして開催されることとなった。Hondaのワークスチーム「Monster Energy Honda Team」は、2020年ダカール勝者のリッキー・ブラベック、ジョアン・バレーダ、ホセ・イグナシオ・コルネホに加え、2021年途中から加入したパブロ・キンタニラを擁して2022年のシーズンに臨んだ。
2013年にワークス参戦を再開してから、10回目の挑戦となったダカールラリー2022。20年にはリッキー・ブラベックが、21年にはケビン・ベナビデスが大会を制覇しており、チームとしては3連覇を目指す戦いであった。
序盤、ステージ1Bでは、チーム加入後初のダカールとなったパブロ・キンタニラが2位と順調なスタートを切ったが、一方で多くのライダーがルートを見失う事態に。Monster Energy Honda Teamも例外ではなく、ジョアン・バレーダとホセ・イグナシオ・コルネホは約40分、ブラベックは1時間近い遅れをとることとなってしまった。ステージ2ではバレーダが勝利して遅れを取り戻し、ステージ4ではバレーダとキンタニラが1-2フィニッシュを果たす。しかし、ステージ上位者は翌日のコースを切り拓く役割を負うこととなり、2人の総合順位は一進一退の状況となった。
1-2フィニッシュの翌日、ステージ5ではバレーダが激しく転倒し鎖骨を強打したが、後続のキンタニラが救助に入り、何とかステージを終えた。ステージ6は421kmにわたるスペシャルステージが予定されていたが、前日に走行した四輪のわだちが大きく残り危険だとして、主催者が101km地点での終了を決定。このステージを終えてレストデー(休息日)となり、キンタニラがトップと約15分差の5位、バレーダは約25分差の9位、コルネホとブラベックはステージ1Bでの遅れが大きく響き、50分近い差を開かれたまま折り返しとなった。
後半戦、ステージ7と9でコルネホが優勝。キンタニラは上位フィニッシュを続け、ステージ10で首位と5分差の2位に浮上する。最終ステージ12でキンタニラが優勝するも、首位には3分及ばず、総合2位でのフィニッシュとなった。
バレーダはステージ5で負ったケガの痛みをこらえながら走り続け、自己ベストタイの総合5位でフィニッシュ。コルネホとブラベックは少しずつ追い上げ、それぞれ6位と7位に入る活躍を見せて、全員が完走。ステージ優勝はバレーダ2回、コルネホ2回、キンタニラ1回で、Monster Energy Honda Teamとしては計5ステージで優勝を果たした。
第2戦アブダビ・デザート・チャレンジは、3月5日から6日間にわたって行われ、DAKARで負傷したバレーダを除く3人が参戦。プロローグと5ステージの戦いで、ブラベックが2位、キンタニラが3位でフィニッシュし、2人が表彰台に上がる結果となった。コルネホはステージ4でクラッシュがあったものの、7位で完走を果たした。
4月に予定されていたカザフスタンラリーはウクライナ情勢の影響で中止、6月に予定されていたアンダルシアラリーは現地の熱波のため10月に延期された。
6月初め、チームは新たなライダーとしてエイドリアン・ヴァン・ベバレンの加入を発表。バレーダが離脱し、新たな体制で2022年の後半戦へ向かうこととなった。
10月1日から6日にかけて行われたモロッコラリーでは、新加入のヴァン・ベバレンが2度のステージ優勝で総合4位に入り、チーム、そしてCRF450RALLYとの好相性を見せる結果に。ブラベックが総合3位で、2大会続けて表彰台に登壇した。
10月18日から23日にかけて行われた、2022年シーズン最終戦アンダルシアラリー。モロッコラリーで負傷したキンタニラは欠場となったが、ヴァン・ベバレンが見事な戦いぶりで移籍後初の大会総合優勝。ライダーズランキングでは、ブラベックが2位でシーズンを終えた。
全戦で表彰台に登壇し、安定して上位争いを展開したMonster Energy Honda Team。ライダーズタイトルは逃したものの、マニュファクチャラーズタイトルはHondaが獲得し、RallyGPの初代王者となった。この体制のもと、2023年初めに行われるダカールラリーでの2年ぶりの優勝を目指す。
特集Index
1.Monster Energy Honda Team2022年の戦いを振り返る
3.ダカールをもっと楽しむために Part1:あなたの知らないダカールラリー
4.ダカールをもっと楽しむために Part2:実はおもしろいレギュレーション学