Trial

【2021シーズン総集編】トニー・ボウが15年連続チャンピオン 藤波貴久は現役ラストシーズンに5年ぶりの勝利を挙げる

2021年のTrialGPは6大会9戦が行われ、Repsol Honda Teamのトニー・ボウが7勝を挙げる圧倒的強さで15年連続15回目のチャンピオンに輝いた。チームメートの大ベテラン、藤波貴久も5シーズンぶりの勝利を挙げ、Repsol Honda Teamは9戦8勝の圧倒的な戦績を残した。

【2021シーズン総集編】トニー・ボウが15年連続チャンピオン 藤波貴久は現役ラストシーズンに5年ぶりの勝利を挙げる

大ベテラン藤波、5年ぶりの勝利

開幕戦は6月12日、イタリア北東部トルメッゾのコースで2日間にわたって行われた。ボウはこの約1カ月前、左脚の腓骨骨折治療のための手術を受けており、開幕には間に合わせたもののトレーニング不足の状態で臨むこととなった。しかしボウは不利をものともせず、初日1ラップ目で長年のライバルであるアダム・ラガ(TRRS)をリードしトップに。2ラップ目はラガの追い上げにあうも逃げ切りに成功し、見事開幕戦で勝利を収めた。

迎えた大会2日目は、初日を7位で終えた藤波が活躍を見せた。1ラップ目を減点18の3番手で折り返すと、2ラップ目には減点をわずか4にまで抑え、2位のボウに8点差をつけて優勝。本人ですら「予想外」と語る41歳での勝利は、世界選手権史上最年長優勝の記録を塗り替えた。


イタリア大会2日目を制し、最年長優勝記録を塗り替えた藤波貴久
イタリア大会2日目を制し、最年長優勝記録を塗り替えた藤波貴久

ボウ世界選手権通算120勝 さらに勝利を積み重ねる

フランスのシャレード・サーキットで行われた第2戦。雨で滑りやすいコンディションがライダーを苦しめたが、ボウは高い適応力を見せる。1ラップ目では3つの減点5を喫したが、2ラップ目は1つのみ。2位に20点以上の差をつけて圧勝し、世界選手権通算120勝目を挙げた。藤波は1ラップ目にクラッシュがあったものの、2ラップ目に追い上げを見せ、4位でフィニッシュした。


第2戦フランス 世界選手権通算120勝目を挙げたトニー・ボウ
第2戦フランス 世界選手権通算120勝目を挙げたトニー・ボウ

アンドラでの第3戦は、再び土日2日間での開催となった。大会初日、ボウはラガとの激しい首位争いを演じ、両者は同点でフィニッシュ。タイム総減点の差でボウが上回り、わずか1点差で今季3勝目を挙げた。2日目はボウにとって難しい戦いとなったが、3位表彰台を獲得。ライバルのラガが優勝しポイント差は近づいたものの、8点差でリーダーの座を守った。


第3戦アンドラ 初日を制したトニー・ボウ
第3戦アンドラ 初日を制したトニー・ボウ

アンドラでの苦戦を受けて、セットアップを改善して臨んだ第4戦カオール(フランス)大会。ボウが2ラップを通じて喫した減点はわずかに3点で、見事に快勝。ボウは「アンドラで発生した問題は、チームが昼夜なく仕事をして解消してくれたので、今回は完ぺきな体制で戦うことができました。今回の勝利は、チームのみんな、誰にとってもすばらしい勝利です」と、マシンの改善に尽くしたチームスタッフをたたえた。藤波は1ラップ目には苦しみ最下位争いに甘んじたものの、2ラップ目には本来の走りを取り戻し、4位と同点の5位(タイム差による)となった。


第4戦カオール(フランス)を快勝したトニー・ボウ
第4戦カオール(フランス)を快勝したトニー・ボウ

第5戦スペイン大会は2日制で行われ、初日はボウが圧勝。2日目はハイメ・ブスト(ヴェルティゴ)との僅差の争いとなったが、これを制して連勝を挙げ、2位のラガとのポイント差を19点にまで広げた。


第5戦スペイン大会 2日ともに勝利したトニー・ボウ
第5戦スペイン大会 2日ともに勝利したトニー・ボウ

生ける伝説 "フジガス" ラストトライアル

第6戦ポルトガル大会を目前に控えた9月15日、トライアル界にとってのビッグニュースが発表された。世界選手権参戦26年目の大ベテランである藤波が今季限りで引退、ポルトガル大会が彼のラストトライアルとなることが発表されたのである。同18日に行われた大会に、藤波は最後まで全力でセクションに挑み、7位でフィニッシュ。ポイントランキングでは昨年よりも順位を1つ上げて、6位で最後のシーズンを終えることとなった。


現役最後のトライアルを7位でフィニッシュした藤波貴久
現役最後のトライアルを7位でフィニッシュした藤波貴久

圧倒的な強さでタイトル防衛

一方、チャンピオンに王手をかけたボウは、完走さえすればチャンピオンという状況でも全く気を緩めることなく、見事に最終戦も勝利。9レースで7勝と、今年も圧倒的強さを見せつけて15年連続の世界選手権タイトルを獲得した。


最終戦も勝利したトニー・ボウが15年連続チャンピオンを獲得
最終戦も勝利したトニー・ボウが15年連続チャンピオンを獲得


  • Standings
Pos. Rider Num. チーム Constr. Pts
1 Toni BOU 1 Repsol Honda Team Honda 172
2 Adam RAGA 68 TRRS Factory Team TRRS 150
3 Jaime BUSTO 69 Vertigo Factory Vertigo 122
4 Matteo GRATTAROLA 88 Beta Factory Trial Team Beta 112
5 Miquel GELABERT 56 Gas Gas Factory Racing GasGas 95
6 Takahisa FUJINAMI 7 Repsol Honda Team Honda 94
7 Gabriel MARCELLI CARBALLIDO 38 Montesa Factory Montesa 92
8 Jeroni FAJARDO 5 Sherco Factory Team Sherco 80
9 Jorge CASALES 33 Gas Gas Factory Racing GasGas 57
10 Benoit BINCAZ 73 Beta Factory Trial Team Beta 38
11 Dan PEACE 10 Sherco Factory Team Sherco 20

レポート公開日
戻る