ゴウベイヤの町を流れる川を中心に設定された12のセクションは、とても滑りやすいものでした。すべて自然の地形を生かして作られたものでしたが、難度は高く、それでいて油断のできない戦いとなりました。
ボウが世界タイトルを獲得する条件は、あと1ポイントを獲得すること。つまり完走しさえすれば、タイトル獲得が決まるという、圧倒的アドバンテージを持っていました。しかしそんな状況に甘えることなく、ボウは最後まで力の限り戦い、ライバルを圧倒してタイトル獲得に華を添えることになったのです。
2021年シーズン、ボウは9戦中7勝。またひとつ、ボウの強さが世界にアピールされる結果となりました。15年連続で世界タイトルを獲得し続けるトニー・ボウは、王者の中の王者です。
そして一方、チームメイトの藤波貴久にとっては、この戦いは特別なものとなりました。今大会を最後に、藤波は世界選手権参戦から引退することを決めていたからです。
1ラップ目は6番手、そして2ラップ目はスコアを半分に減らして追い上げた藤波でしたが、最終的には惜しいところで7位となりました。これが、藤波の最後のリザルトになりました。昨年のランキング7位から、ひとつ順位を上げて6位が、藤波の最後の世界ランキングとなりました。
この戦いを持って、Repsol Honda Teamは2021年のトライアルGPシリーズを終了します。明けて日曜日、トニー・ボウは同じゴウベイヤを会場とするトライアル・デ・ナシオン、国別対抗試合に、スペイン代表として出場します。