全日本ロードレース選手権

【ST1000 2023総集編】渡辺が3年連続チャンピオンを獲得

今年4年目を迎えた全日本ロードレース選手権ST1000クラスは、5大会6レースの開催となった。渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)がV3達成を目指して参戦する中、昨年急成長した國峰啄磨(TOHO Racing)、クラス初代チャンピオン (2020年)の高橋裕紀(JAPAN POST HondaDream TP)らが挑む。接戦となった2023シーズンの戦いが幕を開けた。

【ST1000 2023総集編】渡辺が3年連続チャンピオンを獲得

開幕戦で7位までをHonda勢が独占

モビリティリゾートもてぎで行われた開幕戦。予選では7番手までがコースレコードを更新する激戦が展開され、今季からST1000クラスにステップアップした國井勇輝(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)がポールポジションを獲得。昨年ST600クラスチャンピオンの荒川晃大(MOTOBUM HONDA)は8番手となった。

決勝では、國峰、高橋裕紀、國井、荒川、高橋巧(JAPAN POST HondaDream TP)、渡辺、榎戸育寛(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)によりトップ集団が形成され、予選同様の激しいバトルが繰り広げられた。13周目にトップ集団から抜け出した國峰、國井の2台による優勝争いの末、國峰が優勝。僅差で國井が2位となり、3位には渡辺が入った。その後は高橋裕紀、高橋巧、榎戸、荒川が続いてチェッカーを受け、1-7位までHonda CBR1000RR-R勢が独占するかたちとなった。


國峰啄磨、國井勇輝/開幕戦モビリティリゾートもてぎ
國峰啄磨、國井勇輝/開幕戦モビリティリゾートもてぎ

榎戸が自身初のポール・トゥ・ウイン。再びHonda勢が上位を占める

第2戦はST1000クラスのレースは実施されず、スポーツランドSUGOで行われた第3戦では、予選でポールポジションを獲得した榎戸が、決勝でもホールショットを奪う走りを披露。10周目には、2番手に3秒以上の差をつけて独走状態となる。終盤にはペースダウンするものの、後続を引き離してそのまま優勝、自身初のポール・トゥ・ウインを果たした。2番手争いは渡辺が13周目の第3コーナーで國峰との接戦を制して2位でフィニッシュ。3位に國峰、4位に國井、5位に高橋巧、6位に荒川、7位に高橋裕紀と、開幕戦に続き1-7位までHonda勢が独占した。


榎戸育寛/第3戦スポーツランドSUGO
榎戸育寛/第3戦スポーツランドSUGO

接戦の2レース開催で荒川、國峰、榎戸が奮闘

第4戦、第5戦とST1000クラスのレースが行われない大会が続き、3カ月以上の間を開けたオートポリスでの第6戦は、2レースでの開催に。レース1では、序盤から荒川と榎戸によるし烈なトップ争いが繰り広げられ、それを渡辺、國峰が追う展開となった。荒川と榎戸のドッグファイトは終盤まで続き、最終ラップで荒川をパスした榎戸が勝利。2位に荒川が続き、7周目に渡辺をかわした國峰が3位に入った。

その翌日に行われたレース2では、荒川がスタートから飛び出してホールショットを奪取。1周目の通過順位は、荒川、渡辺、國峰、高橋裕紀、榎戸となった。その後トップとなった渡辺、國峰、荒川による激しいバトルの中、首位を走行していた渡辺が、12周目の第11コーナーで痛恨の転倒。代わってトップに出た荒川は、最終ラップで2番手の國峰との攻防を制して初優勝。2位に國峰、3位は榎戸となり、Honda勢3人が表彰台に上がった。


國峰啄磨、荒川晃大、榎戸育寛/第6戦オートポリス
國峰啄磨、荒川晃大、榎戸育寛/第6戦オートポリス

渡辺が今季初優勝

岡山国際サーキットで開催された第7戦は、ケガのために欠場が続く國井の代役として、鈴鹿8時間耐久ロードレース覇者の長島哲太が参戦したことで注目を集めた。

18周の決勝では、長島、荒川、國峰、榎戸、渡辺がトップ集団を形成。8周目には長島と荒川が集団から抜け出し、一騎打ちの争いを繰り広げるも、12周目のアトウッドカーブで相次いで転倒。トップ2台が戦列を離れる波乱が起きた。代わって國峰が首位に立ち、これを追うのが榎戸、渡辺、高橋巧、高橋裕紀という展開に。14周目、國峰が最終コーナーのレッドマンコーナーで首位の榎戸に仕掛けるが、2台は接触して転倒。間隙を縫って首位に立った渡辺がそのままチェッカーを受けて今季初優勝を果たした。2位に高橋巧、3位に高橋裕紀が入り、Honda勢が表彰台を独占した。


渡辺一馬/第7戦岡山国際サーキット
渡辺一馬/第7戦岡山国際サーキット

波乱の最終戦を2位で終えた渡辺がV3達成

第7戦終了時点のチャンピオン争いは、トップ國峰が77ポイント、2位榎戸が76ポイント、3位渡辺が74ポイントという3者がひしめく展開の中、ST1000クラスは鈴鹿サーキットでの最終戦を迎えた。

予選では上位5台をHonda勢が占め、タイム差も僅差の接戦となった。その予選を制してポールポジションを獲得したのは渡辺。コースレコードも更新し、好調な走りをみせた。

榎戸のホールショットで始まった決勝は、波乱の展開となった。まず、トップ争いをする國峰と榎戸が接触して転倒。荒川、高橋裕紀、渡辺、高橋巧の4台によるトップ争いが展開された。その後の9周目で高橋裕紀が単独転倒すると、そのマシンが流れてトップを走っていた高橋巧に接触。それによって高橋巧も転倒して2人はそのままリタイアとなった。間一髪でアクシデントから逃れた荒川がトップでチェッカーを受け、今季2勝目を飾った。

タイトル争いの行方は、最終戦を2位でフィニッシュした渡辺が、見事ST1000クラスV3を達成。シーズン1勝にとどまったものの、安定して上位フィニッシュを重ね、2013年のST600クラスを含めて4度目の全日本タイトル獲得となった。


渡辺一馬/第8戦鈴鹿サーキット
渡辺一馬/第8戦鈴鹿サーキット


ST1000 - ポイントランキング

Pos. Rider Num. チーム Constr. Pts
1 渡辺 一馬 1 Astemo HondaDream SI Racing Honda 97
2 荒川 晃大 27 MOTOBUM HONDA Honda 92
3 國峰 啄磨 2 TOHO Racing Honda 77
4 榎戸 育寛 32 SDG Motor Sports RT HARC-PRO. Honda 76
5 高橋 巧 36 JAPAN POST HondaDream TP Honda 64
6 高橋 裕紀 3 JAPAN POST HondaDream TP Honda 61
10 國井 勇輝 33 SDG Motor Sports RT HARC-PRO. Honda 33
20 小島 一浩 20 HondaRyokuyokaiKumamotoRacing Honda 12
21 松川 泰宏 21 MOTOBUM HONDA Honda 9
22 吉田 光弘 22 HondaRyokuyokaiKumamotoRacing Honda 8

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