全日本ロードレース選手権

【2022シーズン総集編 ST1000】最終戦での同点決戦を制した渡辺一馬がシリーズ2連覇を達成

今年3年目を迎えたST1000クラスは、5大会6レースが行われた。昨年チャンピオンの渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)がゼッケン1をつけ、2021年はEWCとの兼ね合いで2戦のみのスポット参戦だった2020年チャンピオン高橋裕紀がフル参戦。また、ST600からTOHO Racingの國峰啄磨がスイッチし、タイトル争いはCBR1000RR-R FIREBLADEを駆るこの三者を中心に繰り広げられた。

【2022シーズン総集編 ST1000】最終戦での同点決戦を制した渡辺一馬がシリーズ2連覇を達成

モビリティリゾートもてぎで行われた開幕戦では、予選の激しいアタック合戦で高橋がポールポジションを獲得。決勝は雨が残った難しい路面状況の中で行われ、大多数がスリックタイヤを装着してグリッドに着いた。


高橋裕紀/開幕戦モビリティリゾートもてぎ
高橋裕紀/開幕戦モビリティリゾートもてぎ

序盤から渡辺と高橋が後続を引き離し、トップ争いを展開。渡辺は12周目、13周目と連続でファステストラップを叩き出し、高橋を抑えてトップでチェッカーを受けた。しかし、レース中にグリッド上での作業違反の判定が4台に出され、そのうちの1台は渡辺であった。そのため30秒加算のペナルティーが適応され、渡辺は6位に。2位でチェッカーを受けた高橋が繰り上がりで優勝した。


國峰啄磨/第4戦スポーツランドSUGO
國峰啄磨/第4戦スポーツランドSUGO

開幕戦から約2か月ぶりのレースとなった第4戦スポーツランドSUGOでは、アジアロードレース選手権(ARRC)第2戦マレーシアラウンドの2レース目で初優勝を飾った埜口遥希がスポット参戦。1回目のスタート直後に多重クラッシュが発生し、レースは赤旗中断。クラッシュの影響で4名がリタイアし、18周を16周に変更して再度スタートが切られた。トップ争いは國峰と埜口、渡辺、高橋のHonda勢による熾烈な戦いが繰り広げられる。終盤には國峰と埜口の2人に絞られ、ファイナルラップの馬の背で埜口が前に出るが、SPインで國峰が抜き返しトップを死守。そのまま最終シケインを國峰は無事にクリアし、ST1000クラス初優勝を挙げた。2位に埜口、3位高橋、4位に渡辺が入り、Honda勢が上位を独占した。


渡辺一馬、國峰啄磨/第6戦オートポリス
渡辺一馬、國峰啄磨/第6戦オートポリス

第6戦オートポリスでは、25分間で行われた予選で開始早々にレコード更新した渡辺が、さらにベストを更新しポールポジションを獲得。レース1のトップ争いは渡辺、國峰、津田拓也(スズキ)となり、それを高橋が追う。やがてトップ争いから津田が遅れ、高橋が3番手に浮上。國峰は渡辺の背後まで迫るが、自らのペースを守った渡辺が今季初優勝。2位國峰、3位高橋で、またしてもHonda勢が表彰台を独占した。

レース2では転倒者が出て赤旗中断となったため、14周から9周に短縮し再スタート。トップ渡辺と2番手國峰が1秒差以内のまま神経戦を展開したが、渡辺が7周目にファステストラップをたたき出して突き放し、九州ラウンドでダブルウインを飾った。


渡辺一馬/第7戦岡山国際サーキット
渡辺一馬/第7戦岡山国際サーキット

第7戦岡山国際サーキットでは、予選で國峰がコースレコードを更新し、ポールポジションを獲得。決勝レースは台風の影響を考慮して18周から15周に短縮されて行われた。國峰が好スタートを切りリードするも、10周目に高橋と渡辺の2台が國峰に迫る。13周目に入り渡辺が高橋を捉えて2番手へ浮上し、ペースアップした渡辺は、その勢いのまま國峰に迫り、14周目で逆転。そのまま渡辺は國峰を抑えきり、3連勝を飾った。続いて國峰、高橋らHonda勢が表彰台を独占した。最終戦を残して、渡辺が國峰に並んでランキングトップに立った。

迎えたタイトル決定戦鈴鹿サーキット。この時点でタイトルの可能性は、ランキングトップの98ポイントを持つ渡辺と國峰、ランキング3位で12ポイント差の高橋の3人に絞られた。今大会にはアジアロードレース選手権から埜口と伊藤勇樹(ヤマハ)が参戦し、タイトル争いにどう影響されるか注目されていたが、走行初日に2人が接触転倒を喫して、決勝レースに参戦することはなかった。

12周のレースで、オープニングラップは南本宗一郎(ヤマハ)が制し、4周目には南本、國峰、渡辺、高橋のトップ争いとなった。7周目には渡辺がトップに立ち、2番手に國峰。9周目の1コーナーで國峰が首位に躍り出ると、S字まで抜きつ抜かれつの攻防を制して前を抑えた。しかし、背後をマークした渡辺が130Rでトップを奪い返し、高橋がシケインで2番手に浮上。その後も3人の接近戦となったが、ファイナルラップで高橋がコースアウト。國峰が2番手に上がり渡辺に迫るも、渡辺がそのまま逃げ切って優勝。僅差のつばぜり合いとなった同点決戦を制した渡辺が2年連続の全日本タイトルを獲得した。


Astemo Honda Dream SI Racing /第8戦鈴鹿サーキット
Astemo Honda Dream SI Racing /第8戦鈴鹿サーキット


ST1000 ランキング

Pos. Rider Num. チーム Constr. Pts
1 渡辺一馬 1 Astemo Honda Dream SI Racing Honda 126
2 國峰啄磨 29 TOHO Racing Honda 121
3 高橋裕紀 10 日本郵便 Honda Dream TP Honda 105
4 津田拓也 13 AutoRace Ube Racing Team スズキ 71
5 南本宗一郎 3 AKENO SPEED・YAMAHA ヤマハ 70
6 岩戸 亮介 21 Kawasaki Plaza Racing Team Kawasaki 57
10 國川浩道 31 TOHO Racing Honda 38
12 埜口遥希 45 SDG Motor Sports RT HARC-PRO. Honda 20
19 伊藤和輝 12 日本郵便 Honda Dream TP Honda 8
20 小島一浩 46 Honda Ryokuyokai Kumamoto Racing Honda 7
21 松川泰宏 33 MOTO BUM HONDA Honda 6
22 吉田光弘 27 Honda Ryokuyokai Kumamoto Racing Honda 3
24 森健祐 41 HondaブルーヘルメットMSC Honda 2
26 吉廣光 44 CLUBNEXT HondaDreamTAKASAKI Honda 1

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