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【SUPER GT 2023総集編】後半戦で2勝を挙げたNSX-GT勢 16号車ARTAがランキング4位

2023年シーズン前半を終えた段階で、NSX-GT勢としてシリーズポイントランキング最上位につけていたのは100号車 STANLEY NSX-GTの山本尚貴/牧野任祐組で、トップと22点差の3番手。17号車 Astemo NSX-GTの塚越広大/松下信治組が6番手に続いていた。

【SUPER GT 2023総集編】後半戦で2勝を挙げたNSX-GT勢 16号車ARTAがランキング4位

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8月26日(土)~27日(日)、第5戦鈴鹿サーキット(三重県)から始まったシリーズ後半戦も、NSX-GT勢に波乱が続いた。まず、ランキング最上位の100号車 STANLEY NSX-GTの牧野は、前週に出場した全日本スーパーフォーミュラ選手権でアクシデントに巻き込まれ、1週間の走行禁止診断を受けてしまう。そのため第5戦の公式予選では、山本のみが走行するという変則的な体制で週末に臨まざるを得なかった。

 公式予選の結果、出走したNSX-GT全車がQ1を突破してQ2に進出し、16号車 ARTA MUGEN NSX-GT 福住仁嶺/大津弘樹組がポールポジションを獲得。決勝でも、スタートから16号車 ARTA MUGEN NSX-GTが快調にトップを守る展開となった。そして、大津からマシンを引き継いだ福住が後続を振りきってトップチェッカー。NSX-GTにとっては今季初、鈴鹿サーキットのレースとしては2018年シリーズ第3戦以来の優勝を飾った。この結果、福住/大津組は山本/牧野組に代わり、ドライバーズランキングでNSX-GT勢トップの3番手に浮上した。


大津弘樹、福住仁嶺/第5戦鈴鹿サーキット
大津弘樹、福住仁嶺/第5戦鈴鹿サーキット

9月16日(土)~17日(日)、スポーツランドSUGO(宮城県)でシリーズ第6戦が開催された。雨で路面コンディションが変動する中、8号車 ARTA MUGEN NSX-GTの大湯都史樹がコースレコードを叩きだして、NSX-GTにとっては2戦連続のポールポジションを獲得。

翌17日(日)の決勝レースは、どんよりと雲が垂れ込めた空の下で始まった。ポールポジションからスタートを担当した8号車 ARTA MUGEN NSX-GTの野尻智紀はポジションを守って周回を重ねたが、レース半ばのピット作業の際、タイミングを1周遅らせた17号車 Astemo NSX-GT(塚越/松下)がロスタイムを短く留め、8号車 ARTA MUGEN NSX-GTの前でコースに復帰し、順位が入れ替わる。

37周目、最終コーナー立ち上がりで100号車 STANLEY NSX-GT(山本)がGT300クラスのマシンと接触し、コースアウトして大きなクラッシュが発生。レースは赤旗中断となった。再スタート後は17号車 Astemo NSX-GT(塚越)と8号車 ARTA MUGEN NSX-GT(大湯)が激しく順位を争い、最終的には17号車 Astemo NSX-GT(塚越)が首位を守ったまま84周を走りきってチェッカーフラッグを受け、8号車 ARTA MUGEN NSX-GT(大湯)は2位でフィニッシュした。

ところが、レース後の車検で、17号車 Astemo NSX-GTの車体底面に取り付けられたスキッドブロックが削れて規定量が残っていなかったため、失格裁定を受けて無得点に。8号車 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻/大湯)の順位が繰り上がり優勝となった。17号車 Astemo NSX-GTはランキング上位につけていただけに、この失格はシリーズ後半に形勢逆転を狙っていたNSX-GT勢にとっては大きな痛手となった。


#8 ARTA NSX-GT/第6戦スポーツランドSUGO
#8 ARTA NSX-GT/第6戦スポーツランドSUGO

また、クラッシュで負傷した山本は残りの2戦を欠場することとなり、代役としてGT500ルーキーの木村偉織が起用された。

10月14日(土)~15日(日)、オートポリス・インターナショナルレースコース(大分県)でシリーズ第7戦が開催された。タイヤに負荷のかかるオートポリスで、決勝のレース距離が初めて300kmから450kmに変更されたため、作戦面の見直しが求められる戦いとなった。

14日(土)に行われた公式予選では、第5戦鈴鹿で優勝を遂げた16号車 ARTA MUGEN NSX-GTの福住がコースレコードを記録し、ポールポジションを獲得。
15日(日)、薄曇りの空の下で始まった決勝レースでは、ポールポジションからスタートした16号車 ARTA MUGEN NSX-GT(福住)が周回を重ねるごとに後続を引き離し、レース序盤から独走状態。トップを守ったまま、1回目のピット作業を含んで59周を走り、大津へマシンを引き継ぐ。

しかしレース後半、気温が低下したこともあってペースが上がらなくなった16号車 ARTA MUGEN NSX-GT(大津)は、87周目の第2ヘアピンで36号車 GRスープラにインを取られて2番手に後退し、そのままチェッカーフラッグを受けた。優勝は逃したものの、16号車 ARTA MUGEN NSX-GT(福住/大津)はポールポジションの1点を含むシリーズポイント16点を獲得。NSX-GT勢では唯一タイトル獲得の可能性を残して、最終戦へと向かった。


#16 ARTA NSX-GT/第7戦オートポリス
#16 ARTA NSX-GT/第7戦オートポリス

11月4日(土)~5日(日)、モビリティリゾートもてぎ(栃木県)でシリーズ最終戦が開催された。来シーズン、Honda RacingはGT500クラスのベース車両をCIVIC TYPE Rへ切り替えるため、長年にわたってSUPER GT(および前身の全日本GT選手権)を戦ってきたNSX-GTにとって最後のレースである。


NSX-GTラストレースを前にセレモニーが行われた/第8戦モビリティリゾートもてぎ
NSX-GTラストレースを前にセレモニーが行われた/第8戦モビリティリゾートもてぎ

4日(土)の公式予選では、17号車 Astemo NSX-GT(塚越/松下)が2番手につける。チャンピオンの可能性を残す16号車ARTA MUGEN NSX-GT(福住/大津)は選択したタイヤがコンディションに合わず、9番手からのスタートとなった。

決勝はドライコンディションながら、上空に雨雲が広がり始める微妙なコンディションでスタートが切られた。2番手スタートの17号車 Astemo NSX-GT(松下)はポジションを守って走行を続けていたが、ペースが上がらず3番手に後退。ドライバー交代の後、残り10周を切った頃から雨が強まると、17号車 Astemo NSX-GT(塚越)と、8号車 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻)がレインタイヤへの交換を決断し、土壇場での追い上げを始める。6番手から追い上げた17号車 Astemo NSX-GT(塚越)が3位に入り、NSX-GT最後のレースで表彰台に登壇。8号車 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻)は5位でレースを終えた。


Astemo NSX-GT/第8戦モビリティリゾートもてぎ
Astemo NSX-GT/第8戦モビリティリゾートもてぎ

シリーズチャンピオンをかけてレースに臨んでいた16号車 ARTA MUGEN NSX-GT(福住/大津)は終始ペースが上がらず、12位の無得点でレースを終えた。ドライバーズランキングではNSX-GT勢最上位ながら4位に終わり、NSX-GTラストイヤーでの王座獲得はならなかった。


■株式会社本田技術研究所  Honda GT プロジェクトリーダー 佐伯昌浩のコメント

「シリーズ前半にNSX-GTのポテンシャルは確認できましたが、さまざまな不可抗力が働いて思い通りのレースができず、狙っていたほど上位につけられなかったことが残念です。シーズン後半はNSX-GTが得意なコースが多く、速さをみせることはできたものの、いろいろな面で噛み合わず厳しい戦いを強いられました。最終戦はNSX-GT最後のレースを優勝で締めくくるべく取り組みましたが、チャンピオンには届きませんでした。長年にわたってNSX-GTを応援していただき、ありがとうございました。来年はCIVIC TYPE Rでの戦いになりますが、引き続きご声援をよろしくお願いします」



GT500 - ポイントランキング

Pos. Num. Driver Machine Pts
1 36 坪井 翔/宮田 莉朋 au TOM'S GR Supra 89
2 3 千代 勝正/高星 明誠 Niterra MOTUL Z 63
3 23 松田 次生/R.クインタレッリ MOTUL AUTECH Z 56
4 16 福住 仁嶺/大津 弘樹 ARTA MUGEN NSX-GT 53
5 1 平峰 一貴/B.バゲット MARELLI IMPUL Z 46
6 17 塚越 広大/松下 信治 Astemo NSX-GT 45
8 8 野尻 智紀/大湯 都史樹 ARTA MUGEN NSX-GT 38
10 100 牧野 任祐 STANLEY NSX-GT 34
11 100 山本 尚貴 STANLEY NSX-GT 31
14 64 伊沢 拓也/太田 格之進 Modulo NSX-GT 19
17 100 木村 偉織 STANLEY NSX-GT 3

GT300 - ポイントランキング

Pos. Num. Driver Machine Pts
1 52 吉田 広樹/川合 孝汰 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 74
2 2 堤 優威/平良 響 muta Racing GR86 GT 53
3 56 J.P.デ・オリベイラ/名取 鉄平 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R 50
4 65 蒲生 尚弥/篠原 拓朗 LEON PYRAMID AMG 44
5 18 小林 崇志/小出 峻 UPGARAGE NSX GT3 43
6 7 荒 聖治 Studie BMW M4 43
20 27 岩澤 優吾/伊東 黎明 Yogibo NSX GT3 10

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