【2023シーズン中間レビュー】 4戦で5台全車が表彰台登壇。STANLEY NSX-GTがランキング3番手で後半戦へ
8戦中4戦を終了した2023年のSUPER GTシリーズ。GT500クラスに参戦するNSX-GT勢はここまで勝利こそ挙げられていないが、5台すべてが表彰台に上がっており、随所で速さをみせている。Honda/HRCにとってNSX-GTラストイヤーとなるシーズン前半戦を終えたところで、ここまでの戦いを振り返る。
2023年型NSX-GTは「開発凍結」の規則により、車両の基本部分を22年型からそのまま継承。一方で、今シーズンから新たにカーボンニュートラル燃料(CNF)の使用が義務づけられたことから、エンジンは従来型をベースに、CNFに対応するためのチューニングを施したものを搭載して戦っている。
4月15~16日、岡山国際サーキットで行われた開幕戦は週末を通して低気圧の通過で大荒れに。決勝レースは、フォーメーションラップまで晴れていた空から突如として雨が降り始め、アクシデントによるセーフティカーの介入、2度の赤旗中断を挟んで大混乱に陥った。一時はドライコンディションになるなどタイヤ戦略が難しくなる展開の中、混乱をうまく味方につけて着実に順位を上げた8号車ARTA MUGEN NSX-GTの野尻智紀/大湯都史樹組が、シャシー交換のペナルティーを受けながらも3位でフィニッシュ。今年初めてコンビを組んだ2人が、いきなり表彰台へ上ることとなった。
ゴールデンウイークに富士スピードウェイで開催された第2戦は快晴に恵まれ、公式予選では100号車STANLEY NSX-GTの山本尚貴/牧野任祐組がポールポジションを獲得。決勝レースではセッティングとタイヤの相性に苦しみトップの座こそ奪われたものの、450kmの長いレースをうまく戦い、2位でフィニッシュ。また、17号車Astemo NSX-GTの塚越広大/松下信治組が予選8番手から3位に進出し、表彰台に上がった。
6月の第1週、ホームコースである鈴鹿サーキットで迎えた第3戦では台風の影響が懸念されたが、レースウイークはドライコンディションが保たれた。予選では、序盤2戦で上位入賞を果たしたチームがサクセスウエイトに苦しむ中、100号車 STANLEY NSX-GTが3番手につける。
迎えた決勝、100号車 STANLEY NSX-GTは序盤に順位を落としながらも、終盤まで実質5番手の位置をキープ。表彰台争いに加わっていたが、争いの中で前方を走っていた23号車 MOTUL AUTECH Zが大きなクラッシュに見舞われてしまう。レースはその時点で赤旗が掲示され、そのまま終了。最終的に100号車STANLEY NSX-GTの順位は5位となった。
前戦から2カ月が過ぎた8月5~6日、富士スピードウェイで第4戦が開催された。猛暑の中で行われた公式予選で、NSX-GT勢が奮起。出走した5台全車がQ1セッションを突破してQ2セッションへ進出し、2番手タイムをマークした16号車 ARTA MUGEN NSX-GTの福住仁嶺/大津弘樹組がフロントローを獲得。3番手に8号車ARTA MUGEN NSX-GT野尻/大湯/木村偉織組、5番手に17号車Astemo NSX-GT、 6番手に100号車STANLEY NSX-GT、8番手に64号車Modulo NSX-GTの伊沢拓也/太田格之進組とスターティンググリッドの上位にNSX-GT勢が並んだ。
しかし、決勝日は天候が不安定となり、レースは混乱。スタート直前に降り始めた雨により、全車がレインタイヤでレースを始めたが、上位にいたNSX-GT勢はペースが上がらず徐々に順位を下げていった。10周を過ぎる頃からは雨が上がってコースが乾き始め、ドライタイヤへ交換するチームが出てきたことで順位は大きく入れ替わる。さらに、2度のアクシデントによるセーフティカー介入と赤旗中断を挟み、レース再開時にはまたしても雨が降りだすなど、450kmの長距離レースは目まぐるしい展開に。ウエットコンディションとなったレース終盤、ペースを上げたのは16号車 ARTA MUGEN NSX-GT。その後方では100号車STANLEY NSX-GT、64号車Modulo NSX-GTもペースアップし、100周を走りきってそれぞれ2番手、3番手、4番手でレースを終えた。
しかしレース後、16号車 ARTA MUGEN NSX-GTと100号車STANLEY NSX-GTにピット作業違反のペナルティーが下され、正式結果では64号車Modulo NSX-GTが2位、16号車 ARTA MUGEN NSX-GTが3位、100号車STANLEY NSX-GTが6位に。64号車Modulo NSX-GTとしては3年ぶり、太田にとってはGT500クラスで初の表彰台獲得となった。
前半戦を終えた段階で、シリーズポイントランキングでは100号車STANLEY NSX-GTの山本/牧野組がトップと22点差の3番手、17号車Astemo NSX-GTの塚越/松下組が6番手につけている。
来シーズン、GT500クラスのベース車両をCIVIC TYPE R-GTへ切り替えることが決まっているHonda陣営。14年から10シーズンを戦ってきたNSX-GTにとって、残すは鈴鹿サーキット、スポーツランドSUGO、オートポリス、モビリティリゾートもてぎでの4レースのみ。3年ぶりのチャンピオンを獲得して有終の美を飾るべく、NSX-GTはシリーズ後半戦に臨む。