【EWC 2023総集編】Hondaがマニュファクチャラーズタイトルを獲得。F.C.C. TSR Honda Franceは開幕戦優勝も総合4位
2023シーズンのFIM世界耐久選手権(EWC)は、ル・マン24時間(フランス)、スパ24時間(ベルギー)、鈴鹿8時間耐久ロードレース(日本)、ボルドール24時間(フランス)の全4戦で行われた。日本とフランスの合同チーム「F.C.C. TSR Honda France」は、ジョシュ・フック、マイク・ディ・メリオ、アラン・テシェの3人体制を継続し、CBR1000RR-R FIREBLADE SPを投入して参戦した。
前年王者の貫禄
開幕戦ル・マン24時間で優勝
4月15~16日に、ブガッティ・サーキット(フランス)で行われた開幕戦、ル・マン24時間レース。F.C.C. TSR Honda Franceは、気温が低下する夜間セッション中にマシンのポテンシャルを最大限に引き出して、8時間経過ごとに先頭チームに与えられる貴重な10ポイントを獲得。滑りやすいコース、霧にも集中力を切らさなかったライダーたちはミスすることなく、16時間の時点でも首位をキープした。終盤もパーフェクトなピットインに、速いラップタイムを積み重ねて見事優勝。今大会で獲得可能な65ポイント中63ポイントを獲得し、最高のスタートを切った。
スパ24時間では排気系トラブルに見舞われるも2位表彰台
第2戦は、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催された24時間レース。フックは4番グリッドからすばらしいスタートを切り、序盤の数時間は首位争いを展開。各ライダーはミスなく安定したラップを重ねていったが、レース残り4分の1時点で排気系にトラブルが発生。ピットインを強いられたが、5分で修復を完了し3番手でレースに復帰すると、チームの努力の甲斐あって、1つポジションを上げて2位表彰台を獲得。ランキングは2位となるも、首位と1ポイントの僅差で次戦へ。
Team HRC with 日本郵便が鈴鹿8耐連覇 表彰台をHonda勢が独占
第3戦は真夏の祭典、鈴鹿8耐。HRCは今年も8耐に向けたワークスチームを結成し、新たなパートナーとして日本郵便株式会社を迎え「Team HRC with 日本郵便」として参戦した。
ライダーは当初、高橋巧、イケル・レクオーナ、チャビ・ビエルゲのラインアップを予定していたが、前年の優勝メンバーである長島哲太のケガが癒え、またレクオーナが決勝同日のMotoGPに代役参戦することも重なって、高橋、長島、ビエルゲの3人で本番のレースウイークを迎えた。
事前テストから好調だったTeam HRC with 日本郵便は計時予選を2番手で通過し、6年ぶりの実施となったトップ10トライアルに進出。ビエルゲ、長島がアタックを担当し、長島の出した2分5秒329がトップタイムとなって、2年連続のポールポジションを獲得した。
決勝では、Team HRC with 日本郵便を上回るタイムを随所でマークしてきたYART Yamaha Official EWC TEAM(ヤマハ)との争いが見込まれたが、開始1時間半ごろに同チームがスローダウンし、首位争いから離脱。Team HRC with 日本郵便はそこから独走態勢となり、レース折り返しのころには全車を周回遅れにした。高橋、長島、ビエルゲの3人が2分8秒台のペースで周回し、ピットストップもレギュラー参戦チーム以上の素早さでこなして、リードをさらに拡大。終盤には雨が降り出すも、高橋が慎重な走りで切り抜けた。最後は長島に交代し、216周を走り抜いて2連覇を達成。高橋は鈴鹿8耐通算5勝目を挙げ、宇川徹が持つ最多優勝記録に並んだ。長島は昨年に続く2勝目、ビエルゲはうれしい初優勝となった。
2位にはSDG Honda Racing(名越哲平、浦本修充、埜口遥希)、3位にはF.C.C. TSR Honda France(マイク・ディ・メリオ、アラン・テシェ、タラン・マッケンジー)が入り、Honda勢が表彰台を独占。TOHO Racing(清成龍一、國峰啄磨、榎戸育寛)は2番手でフィニッシュしたが、レース後の車検で燃料タンクの容量違反があり失格となった。しかし、雨の中で周囲より10秒以上速いペースで周回したベテラン清成の走りは強い印象を残した。
ボルドール24時間でHonda Viltaïs Racingが表彰台登壇
Hondaがマニュファクチャラーズタイトルを獲得
F.C.C. TSR Honda Franceは総合ランキングトップ、2位のYART Yamaha Official EWC TEAM(ヤマハ)を13ポイントリードして迎えた最終戦。
3番グリッドからスタートし、堅調なペースで上位を走行したが、レースの半分を過ぎたころにマシントラブルが発生。ピットでの懸命な修復もかなわず、リタイアを余儀なくされた。
最終戦でタイトルを逃す悔しい結果となったが、これまでの3大会で安定したリザルトを残していたF.C.C. TSR Honda Franceはランキング4位となった。
前年大会優勝チームのHonda Viltaïs Racing(フロリアン・アルト、スティーブン・オデンダール、レアンドロ・メルカド、ジェームズ・ウェストモアランド)が2位に入賞するなど、CBR1000RR-R FIREBLADE SPを駆るチームの活躍によって、HondaはEWCのマニュファクチャラーズタイトルを獲得し、今シーズンを締めくくった。
Race Report
Rd.01 ル・マン24時間:F.C.C. TSR Honda Franceが見事優勝
Rd.02 スパ24時間:F.C.C. TSR Honda Franceが再び表彰台を飾る
Rd.03 鈴鹿8耐:Team HRC with 日本郵便が2連覇達成 3位までをHonda勢が独占
Rd.04 ボルドール24時間:Honda Viltaïs Racingが表彰台を獲得してマニュファクチャラーズタイトルに貢献
ポイントランキング
Pos. | チーム | Constr. | Pts |
---|---|---|---|
1 | YART - Yamaha Official Team EWC | Yamaha | 181 |
2 | YOSHIMURA SERT Motul | Suzuki | 161 |
3 | BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM | BMW | 160 |
4 | F.C.C. TSR Honda France | Honda | 149 |
5 | HONDA VILTAIS RACING | Honda | 127.5 |
6 | WEBIKE SRC KAWASAKI France | Kawasaki | 106.5 |
15 | Team HRC with Japan Post | Honda | 35 |
16 | SDG Honda Racing | Honda | 26 |
18 | Honda Dream RT SAKURAI Honda | Honda | 17 |
20 | Honda Asia-Dream Racing with SHOWA | Honda | 14 |
22 | Astemo Honda Dream SI Racing | Honda | 12 |
23 | Team ATJ | Honda | 11 |
24 | TTSRacing MurayamaUnso HondaDream | Honda | 7 |
26 | Honda Sofukai Suzuka Racing Team | Honda | 5 |
28 | TOHO Racing | Honda | 3 |
29 | Honda Soyukai Tochigi Racing & Koyokai DREAM Racing Team | Honda | 1 |