【2022シーズン総集編】F.C.C. TSR Honda Franceが4年ぶり2度目の年間王者に。鈴鹿8耐でTeam HRCが圧勝
2022年シーズンのFIM世界耐久選手権は、ル・マン24時間レース(フランス)、スパ24時間レース(ベルギー)、鈴鹿8時間耐久ロードレース(日本)、ボルドール24時間レース(フランス)の全4戦で行われた。日本とフランスの合同チーム「F.C.C. TSR Honda France」は、加入6シーズン目のジョシュ・フック、同4シーズン目のマイク・ディ・メリオに加え、新たにイギリス人ライダーのジーノ・リアをチームに迎え、CBR1000RR-R FIREBLADE SPを投入してシーズンを戦った。
開幕戦ル・マン24時間で3位獲得
4月16~17日にブガッティサーキット(フランス)で開催された、開幕戦ル・マン24時間レース。3番手からスタートしたF.C.C. TSR Honda Franceは序盤トップに立ち、8時間までポジションをキープ。しかしその後、予定外のピットストップで3番手にポジションダウンしてしまう。終盤にはリアが転倒したが、わずか11分でマシンの修復を終えたことで、3番手をキープしたままコースへと復帰した。トラブルに見舞われながらも、チームワークで乗り越えて3位表彰台を獲得、シーズンの好スタートを切った。
スパ24時間 赤旗中断後、0.5秒差のバトルを制して3位表彰台
第2戦は、二輪としては21年ぶりに開催されたスパ・フランコルシャンサーキットでの24時間レース。F.C.C. TSR Honda Franceは4番手からスタートし、前半はトップ3をキープしたが、15時間経過後にチェーントラブルが発生。10番手までポジションを落としてしまう。朝を迎えると雨が激しくなり、ディ・メリオが転倒を喫するが、すぐにレースに復帰。雨の中で粘り強い走りをみせ、表彰台圏内まで戻ってきた。
他車のマシントラブルにより大量のオイルがコースに出たことから、2時間以上にわたる赤旗中断があり、残り20分でレースが再開。最終スティントはYOSHIMURA SERT Motul(スズキ)との表彰台をかけたスプリント勝負となり、リアがわずか0.5秒差でライバルを振り切って3位表彰台を獲得した。
3年ぶりの鈴鹿8耐でTeam HRCが躍動、Honda8年ぶりの優勝
シリーズ3戦目は3年ぶりに帰ってきた真夏の祭典、鈴鹿8耐。Hondaはこの大会に向けてワークスチーム「Team HRC」を結成し、2021年からテストライダーを務めマシン開発に携わってきた長島哲太と、鈴鹿8耐で3勝の実績を持つ高橋巧、そしてスーパーバイク世界選手権のワークスライダー、イケル・レクオーナを起用。必勝体制で臨んだ。
合同テスト、直前テストではTeam HRCが連日トップタイムをマーク。迎えた予選初日、長島がただ一人2分4秒台のタイムをマークし、1番手でトップ10トライアルに進出。2日目は天候不順によりトップ10トライアルは中止、40分間の計時予選となったが、長島が一回目のアタックで2分4秒934のタイムを出し、ポールポジションを獲得した。
F.C.C. TSR Honda Franceは、初日を5番手で通過。順調な戦いをしていたが、予選2日目に大きなアクシデントが襲う。トップ10トライアルを前にしたフリー走行でリアが大きなクラッシュに見舞われ、ドクターヘリで搬送される事態に。計時予選ではフックが4番手タイムをマークしたが、決勝に向けては2人で挑むこととなった。
決勝レースでは、Team HRCの3人が安定したハイペースで周回し、首位を快走。チームの素早いピット作業も光り、2番手以降との差を徐々に広げていく。一度も転倒することなく、最終的には全車を周回遅れにしたTeam HRCが圧勝。Hondaとしては2014年以来となる、8年ぶり28回目の優勝を飾った。2年近く、テストライダーとして鈴鹿を走り込んできた長島は「Hondaのスタッフとは、ここまでやるのかというほどテストを重ねて、その努力に鈴鹿8耐の優勝で報いることができた。強いHondaを再び見せることができた」と喜びをかみしめた。
F.C.C. TSR Honda Franceは途中ブレーキトラブルにより順位を落とすも、粘り強く追い上げて10位でフィニッシュ。年間タイトル争いのライバル、YOSHIMURA SERT Motul(スズキ)との23ポイント差を追う形で最終戦へと向かった。
ボルドール24時間 トラブルを乗り越え4位完走
最終戦は、100周年の記念大会となったボルドール24時間レース。チームは鈴鹿で負傷したリアの代役として、2018年まで在籍していたアラン・テシェを起用した。
4番手からスタートしたが、レース3時間が経過したところでラジエーターにトラブルが発生。27番手まで後退し、タイトル獲得は遠のいたかに思えた。しかし、そこからは3人のライダーの安定した走りと、ピットのチームワークで大きく追い上げ、4位フィニッシュ。
ボルドールで50ポイントを得たことで、リタイアに終わったYOSHIMURA SERT Motul(スズキ)を逆転し、2017-18シーズン以来、4年ぶり2度目のタイトルを獲得。年間未勝利ながら、粘り強い走りとチームワークを発揮し、全戦で完走して確実にポイントを積み重ねたF.C.C. TSR Honda France。実に耐久選手権らしい戴冠劇となった。
Race Report
Rd.01 ル・マン24時間:F.C.C. TSR Honda Franceが3位表彰台を獲得
Rd.02 スパ24時間:F.C.C. TSR Honda Franceがドラマチックな3位入賞を飾る
Rd.03 鈴鹿8耐:Team HRCが全車を周回遅れにする圧勝。Hondaとして8年ぶり28回目の優勝を飾る
Rd.04 ボルドール24時間:ボルドール100周年記念レースでF.C.C. TSR Honda France がタイトルを獲得
EWC - ポイント
順位 | チーム | コンストラクター | 総合 |
---|---|---|---|
1 | F.C.C. TSR Honda France | Honda | 154 |
2 | YOSHIMURA SERT MOTUL | スズキ | 130 |
3 | VILTAIS RACING IGOL | ヤマハ | 114 |
4 | TATI TEAM BERINGER RACING | カワサキ | 107 |
5 | Wójcik Racing Team | ヤマハ | 97.5 |
6 | YART - Yamaha Official Team EWC | ヤマハ | 97 |
13 | Team HRC | Honda | 35 |
18 | TOHO Racing | Honda | 17 |
20 | Honda Dream RT SAKURAI HONDA | Honda | 15 |
22 | Team ATJ with JAPAN POST | Honda | 13 |
24 | Honda Asia-Dream Racing with SHOWA | Honda | 10 |
26 | GOSHI Racing | Honda | 9 |
28 | Honda Hamamatsu ESCARGOT RT | Honda | 6 |
32 | Honda Blue Helmets MSC Kumamoto&Asaka | Honda | 2 |
33 | Murayama.Honda Dream.RT | Honda | 1 |
35 | SDG Honda Racing | Honda | 1 |