佐藤琢磨が3日連続最速ラップ。ポールポジション最有力候補に
INDY500の予選を前日に控えた金曜日は“ファスト・フライデー”と呼ばれています。出場チームは予選用ターボブーストでこれまでのプラクティスから約90馬力のパワーアップがなされたマシンでシミュレーションを繰り返し、前日までよりも大きくスピードをジャンプアップさせるからです。
今年のファスト・フライデーは強風のために走行がかなり限られた1日となりました。そして、これまでのプラクティス2日間で最速ラップを連続して記録してきている佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)が、夕方に38秒6616=平均時速232.789マイルのラップを記録し、トップに躍り出ました。強風下としては驚異的なスピードで、3日間すべてで最速ラップをマークすることとなった佐藤には大きな歓声が送られました。
プラクティスの早い段階で38秒8127=平均時速21.883マイルを記録してトップに立っていたのは2016年INDY500ウイナーのアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)で、彼はファスト・フライデーを2番手で終えました。
エントリー33台が予選モードでの走ったプラクティス5でもHonda勢が1、2番手を占め、6台がトップ10に入るラップを記録しました。
正午に始まったプラクティスは夕方の6時まで続きました。出場33台がかわるがわるコースインして予選シミュレーションを行う、非常に忙しい1日になることが期待され、快晴に恵まれたインディアナポリス・モーター・スピードウェイには朝から多くのファンが詰めかけました。しかし、午後を通してインディアナポリスでは強風が吹き荒れ続け、時速230マイル(=370km/h以上)の高速での周回が非常に難しいコンディションとなりました。
風が鎮まることを期待してガレージで待機していたチームも、予選1日目である土曜日もほぼ同じコンディションになるという予報を聞き、セッション半ば過ぎからはコースを走るマシンが増えました。しかし、多くのチームがリスクを避けて走行を最小限に抑えていました。マシンを壊せば予選を走れなくなるか、ハンドリングに悪影響が及ぶのは明らかなため、どのチームもマシンのセッティングもドライビングも慎重に行っていました。
佐藤はチームメートのデイビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD Motorsports)と協力し、難しいコンディションの克服にトライしました。2人が異なるセッティングを施したマシンで走って情報収集に努めたのです。暑さと強風という過酷な条件がふたつ重なっている中、果敢に走行を重ねた彼らは佐藤がトップタイム、マルカスが7番手につける38秒8913=平均時速231.414マイルをマークという成果を得ました。
佐藤、マルカス、ロッシの他にも、マーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)が38秒8226=平均時速231.782マイルで4番手、2008年INDY500ウイナーのスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が38秒8718=平均時速231.530マイルで5番手、2013年INDY500ウイナーのトニー・カナーン(Chip Ganassi Racing)が38秒8950=平均時速231.392マイルで8番手とHonda勢は6人がトップ10入りしました。
土曜日の予選は、午後に悪天候に見舞われる可能性から開始が1時間早められ、午前11時にスタートします。今年のINDY500では予選に新ルールが採用されており、予選1日目の最速12人が予選2日目にポールポジションをかけた二段階の戦いを行います。