INDY500の公式プラクティスがスタート。初日は佐藤琢磨が最速ラップをマーク
世界一の歴史と世界一の規模を誇るインディアナポリス500マイルは今年が第106回目の開催です。自動車の歴史とともに歩んできたレースは、伝統的にプラクティスから決勝レースまでに5月のほぼ1カ月を費やしてきました。つねに時代の最先端を行くスピードで競い合うビッグレースは、長い時間をかけて入念に準備を整えて戦うものとして開催され続けてきたからこそ、数々の革新的な技術が生み出され、多くの名勝負が繰り広げられてきました。
そんなINDY500も1990年代の終盤からは、出場チームの参戦経費高騰を抑える目的で走行日数が徐々に減らされていきました。それでも、通常のレースのように1週末で完結するところまでの変更はなされず、今年の場合でもプラクティスは予選前に4日間あり、週末2日間を使った予選の後にもさらにプラクティスを2日間開催してから決勝レースを迎えます。
5月17日は今年の第106回INDY500に向けたプラクティス初日で、午前中に2時間、午後に3時間の走行時間が設けられました。レースの開催期間は短くされているものの、今でもINDY500は他のレースに比べて遥かに長いプラクティス時間が用意されるため、磨き上げたセッティングが施されたマシンを使った、競争のレベルがさらに高められたレースが展開されます。
アメリカ東部インディアナ州の州都インディアナポリスには朝から清々しい青空が広がり、心地よい風も吹く快適なコンディションが1日続きました。気温は一番涼しい時でも19℃あり、午後のセッション中には27℃まで上がりました。
エントリー33台が全長2.5マイルの歴史あるオーバルコースを走り込み、午前中のプラクティスセッション1ではスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が39秒6268=平均時速227.119マイルの最速ラップを記録し、久しぶりのインディカー出場となるドライバー用のプラクティスの後、午後3時から行われたプラクティス2では佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)が39秒3118=平均時速228.939マイルの最速ラップを記録しました。
ディクソンは2008年のINDY500ウイナーで、佐藤は2017年、2020年の2回INDY500で優勝しているドライバー。伝統あるビッグレースで輝かしい記録を残しているベテランのHondaドライバーたちが幸先のいいスタートを切りました。そして、プラクティス1ではマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)がディクソンに続く2番手につけ、スポット参戦のマルコ・アンドレッティ(Andretti Herta Autosport with Marco & Curb-Agajanian)が5番手、アレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)が8番手とHondaドライバーたちが1-2で、4人がトップ10入りを果たしました。
さらに、午後のプラクティス2では佐藤、ディクソン、ルーキーのジミー・ジョンソン(Chip Ganassi Racing)、エリクソンの順番でHonda勢がトップ4を独占し、パロウが6番手、ルーキーで佐藤のチームメートであるデビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD)が7番手、2013年INDY500ウイナーで今年もスポット参戦しているトニー・カナーン(Chip Ganassi Racing)が9番手、アンドレッティが10番手とHondaドライバーたちはトップ10に8人が入り、11、12番手もHondaエンジンを使うルーキーのデブリン・デフランチェスコ(Andretti Steinbrenner Autosport)と2019年INDY500ウイナーのシモン・パジェノー(Meyer Shank Racing)でした。
2回のプラクティスでディクソンは75周、佐藤は68周を走行。最多はジャック・ハーヴィー(Rahal Letterman Lanigan Racing)の132周でした。
2日目のプラクティスは18日正午にスタートし夕方6時まで、初日より1時間長い6時間にわたって開催される予定です。