ポールポジションのスコット・ディクソンと予選トップ3が記念撮影。午後のプラクティス2時間ではアレックス・パロウを筆頭にHonda勢がトップ5を独占
第106回インディアナポリス500マイルの予選が5月21、22日の2日間に渡って行われ、Chip Ganassi Racingで走るニュージーランド出身のスコット・ディクソンがポールポジションを獲得しました。2年連続、キャリア5回目となるINDY500でのポールポジションです。そして同時に、Hondaはこの伝統あるアメリカンレースで3年連続のポールポジション獲得を果たしました。
予選翌日の月曜日、インディアナポリス・モーター・スピードウェイでは朝の7時から恒例のフロントロー写真撮影会が開催されました。アメリカのモータースポーツでは輝かしい成績を挙げたドライバーやチームの写真をその場ですぐに撮影する習慣が根付いており、チームのオーナーやクルーたち、スポンサーやパーツ供給を行う会社など、とても多くの関係者がドライバー、そしてマシンとともに写真に収まります。INDY500のようなビッグイベントではその重要性がさらに高まるため、撮影は長時間に及びます。ポールポジションを獲得したディクソン、予選2番手だったディクソンのチームメートのアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)、そして予選3番手のドライバーがそれぞれのマシンとともにメインストレートに現れ、約1時間に渡って撮影会を行いました。
この後、クルーたちはマシンをガレージへと運び込み、午後1時から行われる2時間のプラクティスセッションに向けた整備に取りかかりました。INDY500ではターボのブースト圧が高められ、通常のレースに比べて90馬力ほどもハイパワーになったエンジンで予選が争われるため、決勝用のターボブーストで走るプラクティスが予選終了後にもスケジュールされているのです。
予選より気温がやや高いコンディションで行われた2時間のプラクティスでは、どのチームも集団走行でマシンが少しでもよいハンドリングとなるようセッティングの調整を繰り返していました。燃料タンクが満タンから空になるまで連続周回し、燃費、タイヤの摩耗、マシンの操縦性の変化などを確認することも行われていました。
このプラクティスで最速ラップを記録したのは、予選2番手のパロウでした。彼の周回数は31周と少なかったのですが、3周目に39秒2257=平均時速229.441mphを記録しました。そして、2番手は229.000mphちょうどのベストを出したディクソンでした。2008年のINDY500で優勝している彼も今日の周回数は32周と少な目。それだけレース用セッティングに対する自信が大きいということだと考えられます。
3番手につけるスピードをマークしたのはINDY500ルーキーのジミー・ジョンソン(Chip Ganassi Racing)でした。彼はマシンとコースにさらに慣れることができるよう67周と多めの走行をこなしていました。ジョンソンはセッション終了が近づいた頃に最速ラップとなる平均228.467mphのラップをマーク。エントリーした5台すべてを予選でファスト12入りさせ、そのうちの4台をファスト6で戦わせたChip Ganassi Racingは、レース用セッティングを施したマシンで走る月曜日のプラクティスでも変わらぬ速さを見せてトップ3を独占しました。
4番手は228.381mph平均を自身の走行87周目に記録した佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)で、5位はマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)でした。Honda勢がこの日のプラクティスでトップ5を独占したのです。上位の4人がChip Ganassi Racingのドライバーだった中、佐藤が彼らの間に割って入りました。絶好調のChip Ganassi Racingはエントリーしている5人でトップ5を占める可能性すらありましたが、トニー・カナーン(Chip Ganassi Racing)は22番手でプラクティスセッションを終えました。
Ganassi勢に割って入る4番手につけた佐藤のパフォーマンスには、月曜日にも関わらずスピードウェイに集まっていた大勢のファンから拍手と歓声が送られました。INDY500で2勝している佐藤は予選後のプラクティスを重要視しており、決勝レースに向けて106周もの走リ込みを行いました。彼の狙い通りにマシンのセッティングを向上させることができ、予選で13位という好成績を挙げた佐藤のチームメートでルーキーのデビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD Motorsports)も91ラップを周回してデータ収集に努めました。
今日のプラクティスは最高気温が19℃と涼しい目のコンディションでした。決勝レースの行われる7日後は30℃を越える猛暑になるとの予報が出されているため、先週の火曜日から重ねてきているプラクティスや今日のプラクティスでの速さがそのままレースで再現されるとは限らない状況となっています。連日の走行で積み上げたデータをもとに、レース当日の気象コンディションに最も合ったセッティングを発見してマシンに施したチームとドライバーが、第106回目の開催となる伝統のイベント、INDY500で優勝争いを繰り広げることとなります。
レースの2日前の金曜日はカーブデイと呼ばれ、決勝前の最後の走行となるファイナルプラクティスが開催されます。走行時間は今日と同じく2時間で、レースに向けた最後の調整が行われます。