25年ぶり開催のインドネシアGPにHonda RC213V勢が挑む
第2戦インドネシアGPが、3月18日(金)から20日(日)までの3日間、ロンボク島のマンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキット(以下、マンダリカ・サーキット)で開催されます。同サーキットでグランプリが開催されるのは初めてで、2月上旬には3日間の公式テストが行われました。
マンダリカ・サーキットは、完成したばかりの昨年11月にスーパーバイク世界選手権を開催しました。同サーキットで世界選手権が開催されるのは、これが2度目となります。
インドネシアでは、1996年と97年の2回、ロードレース世界選手権が開催されました。いずれも首都ジャカルタ近郊のセントゥールで開催され、いずれもRepsol Honda Teamのミック・ドゥーハン(1996年)と岡田忠之(1997年)が、Honda NSR500で優勝しています。
マンダリカ・サーキットは、バリ島に近い観光地ロンボク島にあり、海に面した一周4.301kmのコースです。ほぼ平坦な地形で、最終セクションに緩い登りがあります。セクター1とセクター4には中低速コーナーがありますが、サーキットのほとんどは中高速コーナーが連続するハイスピードコースで、2月上旬の公式テストでは、最高速度が310km/h前後。1周の平均速度は約170km/hでした。
この公式テストでは、ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)がトップタイムをマークし、「2022年型RC213V」で手応えある結果を残しました。その手応えは、開幕戦カタールGPの好走につながり、ポル・エスパルガロは3位表彰台を獲得しました。これまでカタールGPの開催されるルサイル・インターナショナル・サーキットは、Honda勢にとってあまり相性のいいコースではありませんでした。ポル・エスパルガロ自身もこれまで思うような結果を残せていませんでしたが、今年は昨年の大会より約15秒タイムを短縮し、表彰台獲得を果たしました。好調なスタートを切ったポル・エスパルガロ。今大会は、Repsol Honda Teamに移籍して3度目の表彰台獲得と、初優勝が期待されます。
チームメートでこれまで最高峰クラスで6度のタイトルを獲得しているマルク・マルケス(Repsol Honda Team)も2月上旬の公式テストですばらしいタイムをマークしています。ベストタイムは大接戦の中で総合9番手でしたが、3度行ったロングランではハイアベレージでラップを刻み、内容では一番でした。開幕戦カタールGPでは、予選3番手から今季初表彰台、初優勝を目指しましたが、フロントタイヤのフィーリングが完全ではなく5位。しかし、7度目のタイトル獲得を目指して着実にポイントを獲得し、まずまずのシーズンスタートとなりました。今大会は、公式テストの走りを再現する意気込みです。
マルク・マルケスは、20年シーズンは右上腕を骨折し、3度の手術のため、治療とリハビリに9カ月間という多くの時間を費やしました。シーズン途中に復帰した昨年は、ウインターテストに参加できず、体力不足の厳しい状況の中で3勝を挙げました。今季はRC213Vの仕上がりもよく、圧倒的な強さを発揮した2019年シーズンの再現が期待されます。
LCR Honda CASTROLで2年目、MotoGPクラスで3年目を迎えるアレックス・マルケスが、今季初表彰台とMotoGPクラス初優勝を目指します。今年はマレーシアテスト、そして初開催となるマンダリカテストで大きな成果を手に入れました。特にマンダリカテストでは、兄のマルク・マルケスに匹敵するハイペースで連続周回を重ねており、今大会の飛躍が期待されます。開幕戦カタールGPは、好スタートを切って10位まで浮上しましたが、レース中盤に転倒しました。その原因ははっきりとしていませんが、トラブルが発生した前車の影響が考えられます。今大会はその雪辱に挑みます。
MotoGPクラスで5年目のシーズンを迎えるLCR Honda IDEMITSUの中上貴晶は、開幕戦カタールGPではブレーキングの安定性に課題を抱え、予選16番手と厳しいグリッドになりましたが、決勝は粘り強い走りを見せて10位でフィニッシュしました。マレーシア・セパン、そしてインドネシア・マンダリカテストでは、さまざまなセットアップにトライしました。カタールGPでは、ルサイル・インターナショナル・サーキットの難しいコンディションに合わせることができませんでしたが、今大会は、その雪辱に挑みます。
今年は2チーム4人のHondaライダーがMotoGPクラスに参戦しますが、インドネシアGP開幕を前にジャカルタで行われたMotoGPパレードに参加しました。
インドネシアはバイク熱が高く、ジョコ・ウィドド首相を含む地元二輪ファンがパレードを先導。他チームのMotoGPライダー、Moto3クラスに参戦するルーキーのマリオ・アジ(Honda Team Asia)、ヴェダ・エガ・プラタマ(IDEMITSU Asia Talent Cup)なども参加しました。
これまでHondaは、ルール変遷の中で、RC211V、RC212V、RC213Vという3機種のMotoGPマシンで圧倒的な強さを誇ってきました。最高峰クラスでは、それ以前の時代を含め、ライダータイトル通算21回、コンストラクタータイトル25回を獲得し、いずれも歴代最高記録となっています。
第2戦インドネシアGPでは、Honda勢全員が、表彰台と優勝を目指します。