氏川政哉がIASクラス初優勝。小川友幸は3位表彰台獲得
2022年の全日本トライアル選手権も終盤戦。近畿大会は2年ぶりの開催となります。湯浅トライアルパークは深い谷の岩盤や沢のセクションを中心に、ヒルクライムや大岩を使った難セクションが用意されていて、ライダーを苦しめることになりました。
序盤は、チャンピオン小川友幸(TEAM MITANI Honda)が確実に減点を抑えてセクションを走破していきますが、なかなかクリーンが出せない展開となります。1ラップ目中盤からはセクションの難度も高まり、さしもの小川といえど、失敗の5点が多くなってきました。
こんな中、氏川政哉(TEAM MITANI Honda)が難関第7セクションをクリーンするなどして調子を上げてきて、1ラップ目は小川に対しわずか3点差でトップ。小川は3位に2点差をつけて試合を折り返します。
2ラップ目、氏川は2つのクリーンをたたき出し、このラップでもトップをとります。小川の2ラップ目はクリーンなしと、小川にしては珍しいリザルトとなりました。それでも小川は2ラップ目の2位、そして2ラップを終えた時点での2位をキープして、残るSS(スペシャルセクション)での逆転勝利を目指しました。もちろん氏川は逃げ切りたいところ。チームメートであり、大先輩と若手の後輩という2人ですが、勝負の上では最大のライバルです。
SS第1は第10セクションがそのまま使われました。3点で走破するライダーもごく少ないセクションでしたが、SSは持ち時間が1分半とやや余裕があることで、また別の結果が期待できます。
SS第1は前半の空中丸太での180度ターンと、最後のヒルクライムが鬼門でした。暫定10位から順にトライし、次々と5点となる中、暫定3位の黒山健一(ヤマハ)が2点で抜けると、小川が1点、さらに氏川も1点と、一歩も引かないトップ争いが展開されます。
SS第2は、最終第11セクションの後半部分を大きく設定変更。正確なテクニックが要求される前半部分と終盤の大岩、そして最後のそそり立つ絶壁へのヒルクライムが勝負です。
ここでは黒山がクリーン。小川としては、3点以下でここを抜ければ2位を獲得、クリーンすれば氏川のトライ待ちで優勝のチャンスもあり、という状況でしたが、なんと前半最後の飛びつき岩で小川が失敗。これで小川の3位表彰台が決定となり、同時に氏川の全日本選手権初優勝が決まったのでした。
氏川はIAS昇格5年目、TEAM MITANI Honda入りして2年目の19歳。この2年間、優勝争いの一角を担って期待を集めてきましたが、ようやく念願の初優勝となりました。
勝利の瞬間、氏川の祖父であり、世界チャンピオン藤波貴久の父である藤波由隆さんの熱いハグを受け、勝利の感動にひたる氏川。まだまだ活躍の舞台は広がっていきます。
次回、最終戦は2週間後、10月23日にスポーツランドSUGOで開催となります。
決勝リザルト
Pos. | Num. | ライダー | マシン | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | 氏川政哉 | Honda | 58 | 4 |
2 | 2 | 黒山健一 | ヤマハ | 66 | 3 |
3 | 1 | 小川友幸 | Honda | 67 | 1 |
4 | 6 | 小川毅士 | Beta | 76 | 3 |
5 | 4 | 野崎史高 | ヤマハ | 85 | 2 |
6 | 5 | 柴田暁 | TRRS | 88 | 1 |
8 | 9 | 武井誠也 | Honda | 104 | 0 |
9 | 17 | 村田慎示 | Honda | 106 | 0 |
17 | 10 | 藤原慎也 | Honda | 100 | 0 |
IAS ポイントランキング
Pos. | Num. | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 1 | 小川友幸 | Honda | 142 |
2 | 2 | 黒山健一 | ヤマハ | 127 |
3 | 4 | 野崎史高 | ヤマハ | 112 |
4 | 3 | 氏川政哉 | Honda | 110 |
5 | 5 | 柴田暁 | TRRS | 84 |
6 | 6 | 小川毅士 | ベータ | 69 |
8 | 9 | 武井誠也 | Honda | 44 |
13 | 10 | 藤原慎也 | Honda | 25 |