予報では雨が心配されましたが、土曜日の予選の後に少し降っただけでほぼ影響はなく、決勝日のナッシュビルには朝から抜けるような青空が広がりました。日中の気温は30℃まで上昇し、レース観戦を楽しむのに絶好の日曜日となりました。
ナッシュビル・スーパースピードウェイでのインディカーレースは15年以来の開催でした。急なバンクがついた全長1.33マイルのオーバルコースを206周するレースを制したのは、地元ナッシュビル在住のコルトン・ハータ(Andretti Global w/ Curb-Agajanian)でした。そして、ポイントリーダーとして最終戦を迎えていたアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)は11位でゴールし、2年連続のシリーズチャンピオンを獲得。21年、23年に続いて、ここ4年で3回目の戴冠です。Chip Ganassi Racingとしては通算16回目、Hondaにとっては31年間のインディカー・シリーズ参戦で20回目となるドライバーズチャンピオンシップ獲得となりました。
最終戦はソフトとハード、2種類のタイヤの使用が義務づけられました。両タイヤに合わせたマシンセッティングや、摩耗状況の異なるタイヤでのドライビング、どちらのタイヤをどれだけ長く使い続けるかなどといった戦略が重要な意味を持つ戦いとなりました。今シーズン、オーバルでの戦闘力を大きく向上させているハータと彼のチームは、レース終盤の土壇場で3台がサイド・バイ・サイドとなるスリリングな状況のなか、トップを奪うことに成功。劇的なオーバル初勝利、そして今季2勝目を記録しました。
今季のハータはオーバルでの初ポールポジションを第10戦アイオワで獲得し、オーバルでの初表彰台フィニッシュを第16戦ミルウォーキーで達成。ナッシュビルでの高速バトルでは研ぎ澄まされた走りをみせ続け、ゴールまで残り4周で先行するパト・オワード(シボレー)をパスしました。この勝利によって、ハータはキャリアベストのシリーズランキング2位で2024年シーズンを終えました。
オーバルコースにおいては自身初となるポールポジションからスタートしたカイル・カークウッド(Andretti Global)が、力強い走りでトップを争い続け、最終的に4位でゴール。マーカス・アームストロング(Chip Ganassi Racing)が7位、今季のルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得しているリヌス・ルンドクヴィスト(Chip Ganassi Racing)が8位、デビッド・マルカス(Meyer Shank Racing)が9位に入り、Hondaドライバー5人が最終戦でトップ10フィニッシュを飾りました。
パロウは最終戦をポイントリーダーとして迎え、9位以上でゴールできれば、総合ランキング2位のウィル・パワー(シボレー)の成績にかかわらずタイトルを手中に収められる状況でした。今回はスタート位置が24番手と後方でしたが、レース序盤から着々と順位を上げ、1回目のピットストップを迎えるまでに10台をパス。タイトルを争うライバルがトラブルに見舞われて周回遅れとなったことで、パロウのタイトル獲得はほぼ確実なものとなりました。そこからは無理をせず着実に周回を重ねて、11位でフィニッシュしタイトル獲得を決定。ハータが優勝してランキングを2位へと上げたことで、Hondaは2024年シーズンの総合ランキングの1-2位を占めることとなりました。
Hondaは1994年にアメリカ最高峰のオープンホイールチャンピオンシップへの参戦をスタート。96年にジミー・バッサーがHondaドライバーとして初めてチャンピオンとなりました。それ以来、アレックス・ザナルディ(97、98年)、ファン・パブロ・モントーヤ(99年)、ジル・ド・フェラン(2000、01年)、トニー・カナーン(04年)、ダン・ウェルドン(05年)、サム・ホーニッシュJr.(06年)、ダリオ・フランキッティ(07、09、10、11年)、 ディクソン(08、13、18、20年)が栄誉あるインディカーの王座に輝き、パロウは21、23年に続く3回目の戴冠を今日達成しました。