予選ブーストで走るファスト・フライデー、最速は佐藤琢磨
雨の心配がされてきた金曜日でしたが、雨雲の到達が遅れ、予定通りに正午から夕方6時まで第107回インディアナポリス500マイルのプラクティスは開催されました。今日は予選用にターボのブースト圧が上げられてスピードアップがされるため、”ファスト・フライデー”と呼ばれています。どのチームもINDY500特有の4周連続アタックで争われる予選に備え、シミュレーションを繰り返しました。
決勝レース用のマシンセッティングを行う際には、複数台のマシンがグループを作って走りますが、それとは対照的に、予選に向けた金曜日のプラクティスでは、同時にコース上を走るのは多くても3台程度に限られます。マシン同士の間隔が近いと、前走車が空気を押し退けたところを後続車は走ることとなり、空気抵抗が減ってスピードが上がるからです。それでは単独走行を行った際に発揮できる性能を把握することが難しくなりますから、各チームはタイミングを計り、十分に間隔を開けての単独走行で予選シミュレーションを行います。
明日から2日間に渡って行われる予選を前に、最速ラップをマークしたのは佐藤琢磨でした。2017年と2020年と、二度のINDY500優勝歴を持つ佐藤は、セッション開始から45分ほどが経過した時点で行った最初のシミュレーションで38秒3382、234.753mphのラップを記録し、これがセッション終了までトップの座にあり続けました。
佐藤は4ラップの連続走行でも最速の233.413mphを夕方5時過ぎのシミュレーションで記録しました。走行初日となった水曜日にも佐藤は229.439mphのトップスピードを記録しており、1日の最速ランナーとなるのは今日が今年の2回目でした。佐藤は出場34台の中で最も準備の整った状態で明日の予選を迎えます。
1ラップの速さでは2020年のINDY500ポールポジションのマルコ・アンドレッティ(Andretti Herta w/ Marco & Curb-Agajanian)が234.202mphで2番手。4ラップ平均での2番手は昨年のINDY500優勝者であるマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)による233.1135mph。Honda勢が1ラップ、4ラップの両方で1-2番手を占めました。過去2年続けてポールポジションを獲得しているスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は1ラップが233.506mph、4ラップ平均が232.451mphで、どちらでも10番手につけていました。
明日の予選1日目に全エントラントはアタックを行うチャンスを少なくとも1回は与えられ、上位の12人が予選2日目にポールポジション争いを行う権利を与えられます。4ラップ平均が13番手から30番手だったドライバーたちは、1日だけで予選は終了し、それぞれの順位の決勝用スターティンググリッドを与えられます。
予選1日目の最速12人は、2日目の予選第二段階で6人に絞り込まれ、その6人が栄えあるポールポジションを賭けたアタック合戦を展開します。予選はどの段階でもドライバーひとりずつがコースインし、4周の連続アタックを行なって、その平均スピード(=合計タイム)を競います。
また、予選1日目に30~34番手だったドライバーたちは、2日目の夕方に最後の勝負を行います。今年はエントリーが33のグリッドすうよりも1台多い34台のため、予選初日に31、32、33、34番手のスピードを記録したドライバーたちが、ラストローと呼ばれるグリッド最後列の三つのスターティングポジションを賭けた争奪戦を繰り広げます。彼らの中から、今年はたった1人だけが予選落ちを喫する過酷な状況となっています。