カーブデーが終了。決勝前のファイナルプラクティスでもスコット・ディクソンが最速
5月28日、アメリカ東部インディア州のインディアナポリス・モーター・スピードウェイでは、第105回インディアナポリス500マイルの最終プラクティスが行われました。
1911年に第1回大会が開催され、2回の世界大戦中以外は毎年レースが行われてきた、世界で最も長い歴史を持つINDY500は、最終プラクティスが決勝日の数日前というスケジュールが伝統となっており、それが現在でも守られているのです。
カーブレター(キャブレター、気化器)の最終調整を行うための1日だったことからカーブレション・デイと呼ばれるようになり、現在ではそれが短縮されてたカーブデーという呼び名が定着しています。午前中の雨によって、2時間ほど遅れて午後1時半過ぎに始まった今年のファイナルプラクティスは、2時間の予定でしたが、再び降り出した雨によって5分ほど短いものとなりました。しかし、出場33台はそれまでに多くの周回を重ね、最後の調整に励みました。
気温が15~17℃という、非常に寒いコンディションとなった同セッションでの最速ラップは、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が記録した228.323mphでした。23日(日)に開催された予選で231.685mphのスピードでポールポジションを獲得したディクソンが、ここでも最速で、予選までで獲得した勢いを保っています。
ディクソン以外のHonda勢では、昨年のポールポジションを獲得したマルコ・アンドレッティ(Andretti Herta-Haupert w/ Marco & Curb-Agajanian)が226.396mphで5番手につけ、8番手には2013年INDY500ウイナーのトニー・カナーン(Chip Ganassi Racing)、9番手には2017年と2020年の2回INDY500での勝利を飾っている佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)がつけました。
インディアナポリス500マイルでのHonda
Hondaは主要自動車メーカーの中で最も多くのインディアナポリス500マイルでの優勝を挙げて来ています。1994年にINDYCARシリーズへの参戦を開始して以来、20レースに出場し、13勝と勝率65%を記録してきています。
COVID-19のパンデミックのため、2020年のインディアナポリス500マイルは8月に開催され、佐藤琢磨が優勝しました。その勝利はHondaにとって、1994年のINDYCARシリーズ参戦開始以来の通算250勝目となりました。INDY500での勝利はHondaにとっての13回目で、同時代に参戦した他の自動車メーカーを大きく引き離す勝利数となっています。
HondaのINDY500初優勝は、バディ・ライスがRahal Letterman Racing(2010年からRahal Letterman Lanigan Racing)がPanoz G-Force/Hondaを駆って優勝した2004年で、Hondaにとって、この年は4回目のINDY500挑戦でした。
ライス以降にHondaエンジン搭載でINDY500制覇を果たしたのは、2005年と2011年のダン・ウェルドン、2006年のサム・ホーニッシュJr.、2007年、2010年、2012年のダリオ・フランキッティ、2008年のディクソン、2009年のエリオ・カストロネベス、2014年のライアン・ハンターレイ、2016年のアレクサンダー・ロッシ、そして、2017年と2020年の佐藤です。
Hondaエンジンを搭載してINDY500に出場したドライバーの数は、昨年までで388台に達しており、長い歴史の中でも自動車メーカーの中でのトップとなっています。そして、それらの出場ドライバーたちが重ねたレース周回数も、INDY500における自動車メーカーでのナンバーワンである67,789周に達しています。
先週末の日曜日にインディアナポリスで自身4度目のポールポジションを獲得し、シリーズチャンピオンに6度輝いているディクソンは、Chip Ganassi RacingのHondaエンジン搭載マシンに乗り、33台が競い合うレースに先頭を切ってスタートを切ります。ディクソンのINDY500でのポールポジションは、Hondaとっては14回目、複数メーカーが競い合うレースでは7回目となりました。
今年のINDY500に出場する33台のうち、17台のマシンにHondaエンジンが搭載されています。予選でトップ10に入ったHondaドライバーは8人います。今年のシリーズ第2戦セントピーターズバーグで優勝したコルトン・ハータ(Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian)はディクソンの隣りの2番グリッドからレースのスタートを切ります。グリッド3列目には、Chip Ganassi Racingから出場するドライバーがさらに2人含まれています。3列目にはライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)、エリオ・カストロネベス(Meyer Shank Racing)、マーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)の3人のHondaドライバーが並び、4列目イン側グリッドには第100回INDY500のウイナーであるアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)がつけています。
今年で105回目を迎える”The Greatest Spectacle of Racing”は、2014年に記録された平均予選速度を上回る230.325mphというINDY500史上最速の33台のフィールドとなっています。決勝レースは5月30日開催です。