第105回インディアナポリス500マイルで佐藤琢磨は連覇に挑む
今年も5月がやってきました。伝統のレース、インディアナポリス500マイル(INDY500)が開催される月です。
その第1回目は1911年でした。当時、インディアナ州の州都インディアナポリスに完成されたばかりの巨大な自動車レース専用コース、全長が2.5マイルもあるインディアナポリス・モーター・スピードウェイにおいて、500マイルの長距離レースは大々的に開催され、ウイナーとなったレイ・ハルーンは1万4250ドルの賞金を手にしました。
米国の祝日である戦没者追悼記念日に行われるのが毎年の恒例となったINDY500は、アメリカだけでなく欧州からの注目も集め、年を重ねるごとに大きなイベントへと成長していきました。群雄割拠する自動車メーカーが技術力を競い合うことで、スピードはどんどん上がり、同時に注目度も、勝者に与えられる栄誉も高まっていきました。
決勝日に30万人以上という大観衆を集める世界最大のレースへと成長したINDY500では、レーシングマシンやドライバーが日用品の宣伝にも活用されるようになり、知名度はますますアップ。1989年、優勝したエマーソン・フィッティパルディが獲得した賞金は史上初めて100万ドルを超えました。
それ以降、100万ドル超えは当たり前になり、2008年からの賞金は無観客開催だった昨年2020年を除き、200万ドルオーバーが続いています。史上最高賞金額は2009年にエリオ・カストロネベスが獲得した304万8005ドル。300万ドルを超えたのは、100回を超える歴史の中でまだこの1回だけですが、今年その記録が塗り替えられる可能性があります。
昨年INDY500での2勝目を挙げた佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)が連覇を達成した場合、スポンサーであるボルグワーナー社が用意する連覇ボーナスがプラスされるため、賞金額が再び300万ドルの大台に乗ると期待されています。2001、2002年のカストロネベス以来、INDY500では連覇が記録されておらず、毎年用意される連覇者への特別賞金が38万ドルにもなっているのです。
1回でも優勝するのが難しいインディカーのレースですが、INDY500はその中でも別格の存在。距離も長く、プレッシャーはドライバーだけでなくクルーにも大きくのしかかり、年に一度のチャンスをものにするのは至難です。しかし、高速オーバルのインディアナポリス・モーター・スピードウェイは、高い実力を発揮できるドライバーと、そうできないドライバーの差が大きいコースでもあり、一度優勝したドライバーが複数回の勝利を記録するケースが意外に少なくありません。2勝以上を挙げているドライバーは昨年の佐藤琢磨を含めて20人おり、3勝が7人、史上最多の4勝はAJ・フォイト、アル・アンサー、リック・メアーズの3人が記録しています。
連覇は2回が最多で、5人のドライバーが達成していますが、まだ3連勝を飾ったドライバーは出ていません。2021年5月30日決勝の第105回INDY500は、日本人ドライバーの佐藤琢磨が史上6人目となる2連覇、そして史上最高額となる優勝賞金獲得を果たす可能性のあるレースとして注目したいところです。
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