OPEN Test
INDY 2022

シーズン開幕直前テストでHonda勢が連日トップ3、佐藤琢磨も移籍先のチームで始動

us Sebring International Raceway

2022年のインディカー・シリーズの開幕が今週末に迫っています。17戦のシリーズは、北米大陸東南部に位置するフロリダ州のセントピーターズバーグで開幕します。フロリダ半島西岸の街に作られるストリートコースで、空港の滑走路、公園内の道路、そして街中の一般道も使ったユニークな全長1.8マイル、コーナー数14のストリートサーキットです。

シーズン開幕直前テストでHonda勢が連日トップ3、佐藤琢磨も移籍先のチームで始動

開幕を目前に控え、今シーズンのインディカー・シリーズに出場するすべてのチームが2月14、15日にフロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイでテストを行いました。セントピーターズバーグから100マイルほど内陸に入ったところにあるコースは非常にバンピーで、ストリートコース用のテストに適しており、1日目には17台、2日目には14台が走行。ベテランドライバーたちは1日のみのテストでしたが、ルーキーたちの中には2日続けて走ったドライバーもいました。

テストは両日とも好天に恵まれ、日中の気温は1日目が18℃、2日目は22℃にまで上昇しました。雨に悩まされることもなく、路面は終始ドライコンディションで全車が全長1.68マイルと短いセブリングのショートコースを精力的に周回。1日目に最速ラップとなる51秒851を記録したのは、コルトン・ハータ(Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian)でした。昨年のセントピーターズバーグでポールポジションから優勝を飾った彼は、2連勝に向けてマシンを高いレベルに仕上げることができているようです。2020年は3位、2021年は5位と2年続けてランキングのトップ5に入っているハータが目指すのは、もちろんシリーズチャンピオンの栄冠です。

テスト1日目に51秒858をマークして2番手につけたのは、ルーキーのデイビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD Motorsports)。インディカーへの登竜門であるインディーライツで昨年7勝を挙げてランキング2位となった彼は、まだ20歳という若さですが、ハイパワー、ハイダウンフォースのインディカーへの順応に進め、自信を深めて行っています。

そして、1日目の3番手タイムは昨シーズンからインディカーにチャレンジしているフランス人ドライバーのロマン・グロージャン(Andretti Autosport)による52秒021でした。F1で9シーズンを過ごした経験を持つグロージャンは、昨年はストリートとロードコースのみへの参戦でしたが、今年は強豪チームに移籍してオーバルレースにも出場しますから、初勝利を挙げることはもちろん、チャンピオン争いに加わって行くことも期待されます

2日目のトップタイムは走行時間終了間際にシモン・パジェノー(Meyer Shank Racing)が叩き出しました。前日より風が強く吹くコンディション下、パジェノーは52秒113のベストをマークしました。今シーズンに向けてチーム移籍をした彼は今回がテストは2回目でした。

パジェノーのチームメートのエリオ・カストロネベスが52秒194のベストで2番手につけました。昨年のインディ500で優勝し、世界最大のレースでの優勝回数がAJ・フォイト、アル・アンサー、リック・メアーズに並ぶ史上最多タイの4回となったカストロネベスは、昨年は6戦のみの出場でしたが、今年はフルシーズンエントリーでチームメートに2016年インディカーチャンピオンのパジェノーを迎えました。経験も実績も豊富なベテランコンビはトップコンテンダーとして、高いパフォーマンスを見せることとなりそうです。

2日目の3番手はマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)の52秒210でした。彼のチームメートたち、昨年3勝して初めてチャンピオンとなったアレックス・パロウ、6回のタイトル獲得歴を誇るスコット・ディクソンもマシンの仕上がりは良く、元ストックカーチャンピオンのジミー・ジョンソンも今年はフルシーズンエントリーを行います。

インディ500での2勝を含め、インディカー・シリーズで6勝を挙げ、ポールポジションは10回獲得してきている佐藤琢磨は、4シーズンを共に過ごしたRahal Letterman Lanigan Racingを離れ、Dale Coyne Racing with RWRに移籍して、自身のインディカー13シーズン目を迎えます。チームが違えばマシンのキャラクターは当然異なります。しかし、開幕前に行うテストは今回の1日間だけと決断したため、佐藤は移籍先のマシンの特性を把握し、担当エンジニアとのコミュニケーションを深め、チームの仕事の進め方も理解することを目標に掲げてテストに臨みました。自己ベストのラップタイムは52秒802。14人中の11番手でしたが、佐藤はチームの能力、マシンの持つポテンシャルがどちらも高いと感じ、納得の表情でサーキットを後にしました。

今回のテストでは1日目、2日目ともにHondaドライバーたちがトップ3を占め、Hondaエンジンを使う5チームすべてが競争力の高いラップタイムをマーク。開幕に向けた準備はどのチームも整っていることを示しました。彼らがチームの本拠地へと戻ったあともフロリダ州は好天が続いており、開幕戦のレースウイークエンドは日中の最高気温が摂氏25度にも達する見込みとなっています。新シーズンは暖かなコンディションの下で華やかに開幕し、熱い戦いが繰り広げられることとなりそうです。


Colton Herta
Colton Herta 26
Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian
開幕戦はストリートレースで、今回のテストはそこに照準を合わせたバンピーなコースで行いました。最速ラップをマークできて本当にハッピーです。とても多くのセッティングを試し、いくつかよいものを発見できた点もうれしい点です。今日は昨シーズン仕様のエンジンで走っていましたが、開幕戦は今シーズン用の、よりパワーアップのなされたHondaエンジンで戦えるのですから楽しみです。セントピーターズバーグでの2年連続優勝を達成して勢いに乗り、シリーズチャンピオンとなるのが目標です

Simon Pagenaud
Simon Pagenaud 60
Meyer Shank Racing
最速ラップを出せただけでなく、テストの進み具合もとても満足の行くものができました。開幕が間近となった今、チームメートのエリオ・カストロネベスも2番目に速かったのですから、大きな手応えを感じています。シリーズは違いますが、私たちは1月末に行われたデイトナ24時間で優勝して勢いに乗っています。新しくコンビを組むことになったエンジニアとの相性も非常によいので、シーズン開幕を今から待ち遠しいですね

Takuma Sato
Takuma Sato 30
Rahal Letterman Lanigan Racing
1日間のテストでしたが、このチームのマシンが高いスピードを備えている、その片鱗を感じることができました。日中の暑い時間帯にトップ3に入るラップタイムをマークし、走行距離を重ねたタイヤでの連続周回も速く、安定感を持ってこなすことができていた点がよかったと思います。多くのことを試した中でよいセッティングを何個か見つけることができましたから、それらをうまくまとめ上げて開幕戦を迎えたいと考えています

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