INDYCAR SERIES

【2020シーズン総集編】佐藤琢磨が3年ぶり2回目のINDY500優勝。スコット・ディクソンが通算6度目のチャンピオンに

北米最高峰のフォーミュラカー選手権であるインディカー・シリーズは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により全14戦のシーズンとなった。Hondaエンジン「HI20TT」を搭載するマシンは、2020年シーズンの半分にあたる7勝をマーク。このうち4勝を挙げたスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)がドライバーズチャンピオンに輝き、Hondaは3年連続9度目のマニュファクチャラーズタイトルを手にした。

【2020シーズン総集編】佐藤琢磨が3年ぶり2回目のINDY500優勝。スコット・ディクソンが通算6度目のチャンピオンに

また、年間最大のイベントであるINDY500では、佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)が2017年以来の優勝を果たし、史上20人目の複数回優勝者となる快挙を達成した。


スコット・ディクソンは自身6度目のタイトル獲得で最多記録まであと1つに迫る
スコット・ディクソンは自身6度目のタイトル獲得で最多記録まであと1つに迫る

シリーズは、3月15日に2020年の開幕戦を予定していたが、新型コロナウイルスの感染が拡大し、その直前の3月13日に米国が国家非常事態を宣言。レースも中止を余儀なくされた。

その後、関係者間での感染対策を徹底した形で、6月6日にテキサス・モーター・スピードウェイのオーバルコースで今季初のレースが無観客で開催された。予選・決勝を1日で行うフォーマットのため、予選でクラッシュした佐藤琢磨は決勝への出走が不可能に。

このレースで速さを見せたのがディクソンだった。予選2番手から32周目にトップへと躍り出ると、ピットストップのタイミングで一時的にリードを譲る場面はあったものの、終始レースを優勢に進めて逃げきり。16年連続でインディカー・シリーズにおける勝利を記録するとともに、18のシーズンで優勝を挙げるという記録でA.J・フォイトに並ぶ歴代1位となった。


開幕戦で完勝を果たしたディクソン
開幕戦で完勝を果たしたディクソン

これで勢いのついたディクソンは、第2戦インディアナポリス、第3戦ロードアメリカも連勝。第4戦こそ12位に沈んだものの、ダブルヘッダーとなった第5戦・第6戦のアイオワでも2位、5位と上位入賞を果たし、総合2位に49ポイントの大差をつけてポイントリーダーに君臨する。

第7戦に設定されたINDY500は、8月11~14日で連日のプラクティス走行があり、15・16日に予選、8月23日が決勝と、およそ3週間に及ぶ例年のスケジュールがほぼ踏襲された。Hondaエンジン勢はプラクティスから好調さを見せ、予選では2日目に進んだトップ9のうち8台を占める。ポールポジションを獲得したのはマルコ・アンドレッティ(Andretti Herta with Marco & Curb-Agajanian)で、2番手にディクソン。3番手に入った佐藤琢磨は、日本人初のフロントローグリッド獲得となった。

8月23日、無観客開催となった決勝では、終始上位で走行していた佐藤琢磨が、185周目に首位へ浮上。2番手のディクソンから激しくプッシュされるも、ポジションを守りきっていたところで、196周目に発生したクラッシュによってイエローフラッグが啓示され、フルコースコーションに。このままレースはペースカー先導で終了となり、佐藤琢磨が2017年以来2度目のINDY500優勝を手にした。


104回の歴史の中で20人しかいない複数優勝者に名前を連ねた佐藤琢磨
104回の歴史の中で20人しかいない複数優勝者に名前を連ねた佐藤琢磨

その翌週に行われたゲートウェイでのダブルヘッダーでは、第8戦でディクソンが優勝、佐藤琢磨が2位と、またもや2人で1-2フィニッシュ。さらに、佐藤琢磨はその翌日の第9戦でもポールポジション獲得と、好調ぶりを維持する。

続く第10戦・第11戦は、ミッドオハイオでのダブルヘッダーとなったが、第11戦ではHondaエンジン勢がトップ5を独占。優勝したコルトン・ハータ(Andretti Harding Steinbrenner Autosport)は、キャリア2年目にして早くも通算4勝目を挙げ、1~3番手までを占めたAndretti Autosportは、チームとして2005年以来の表彰台独占を果たした。

インディカー・シリーズとしては珍しい10月開催となった第12戦・第13戦は、インディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースでのダブルヘッダー。ここを9位、8位で終えたディクソンは、2位に32ポイント差をつけて最終戦を迎えた。


弱冠20歳にして通算4勝目を挙げたコルトン・ハータはランキング3位に
弱冠20歳にして通算4勝目を挙げたコルトン・ハータはランキング3位に

セント・ピーターズバーグでの最終第14戦では、ディクソンが3位フィニッシュ。ポイントランキングでのリードを守りきってチャンピオン獲得を決めた。これが自身6度目のタイトルで、歴代最多まであと1つ。Hondaドライバーがチャンピオンシップを獲得するのは17回目となった。

また、Hondaとしては初めてのマニュファクチャラーズタイトル3連覇を達成。INDY500ウイナーの佐藤琢磨は、キャリア自己ベストとなる年間ランキング7位で2020年シーズンを終えた。

なお2021年シーズンは、Chip Ganassi Racingから2020年チャンピオンのスコット・ディクソン、マーカス・エリクソンに加え、アレックス・パロウ、NASCARでのチャンピオン経験もあるジミー・ジョンソンの2人が加入して参戦。Andretti Autosportからは、アレクサンダー・ロッシ、コルトン・ハータの2人の参戦が決定している。INDY500で2度目の優勝を果たした佐藤琢磨は2020年と同様、グレアム・レイホールをチームメートにRahal Letterman Lanigan Racingより参戦する。Meyer Shank Racingはジャック・ハーヴィー、エリオ・カストロネベスをドライバーに指名。Andretti Harding Steinbrenner Autosport、Dale Coyne Racingは決定次第発表の予定。



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Points

順位

ドライバー

マシン

総合

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

1

スコット・ディクソン

Honda

537

53

51

18

51

40

31

91

51

30

20

20

22

24

35

2

J.ニューガーデン

シボレー

521

37

27

22

20

31

54

60

18

51

40

24

54

32

51

3

コルトン・ハータ

Honda

421

26

32

31

30

10

11

49

32

29

23

54

33

41

20

4

P.オワード

シボレー

416

18

24

44

24

33

19

56

38

41

19

22

8

30

40

5

W.パワー

シボレー

396

17

14

20

41

9

41

33

15

36

54

26

28

54

8

6

グラハム・レイホール

Honda

377

13

41

7

27

18

36

72

12

10

32

33

27

26

23

7

佐藤琢磨

Honda

348

3

20

24

22

21

9

108

41

26

13

13

12

16

20

8

S.パジェノー

シボレー

339

40

35

17

18

53

32

17

11

14

12

28

14

20

28

9

アレクサンダー・ロッシ

Honda

317

15

5

35

11

28

24

12

8

16

36

40

40

35

12

10

ライアン・ハンター-レイ

Honda

315

24

17

8

32

14

9

45

26

19

31

35

11

14

30

11

フェリックス・ローゼンクヴィスト

Honda

306

10

15

51

12

17

15

37

25

26

28

8

31

19

12

12

マーカス・エリクソン

Honda

291

11

29

32

21

22

22

10

30

7

15

31

20

15

26

13

サンティノ・フェルッチ

Honda

290

9

22

28

28

17

12

65

15

20

16

17

16

18

7

 

15

ジャック・ハーヴィー

Honda

288

14

14

13

8

26

26

44

19

17

26

18

24

28

11

16

アレックス・パロウ

Honda

238

7

11

26

35

19

16

13

15

18

18

7

13

22

18

20

マルコ・アンドレッティ

Honda

176

16

8

11

8

8

20

43

7

15

7

10

5

8

10

21

ザック・ヴィーチ

Honda

166

33

17

14

14

7

10

31

9

8

10

13

0

0

0

23

ジェームズ・ヒンチクリフ

Honda

138

12

19

0

0

0

0

57

0

0

0

0

16

17

17

32

スペンサー・ピゴット

Honda

17

0

7

0

0

0

0

10

0

0

0

0

0

0

0

34

ジェームズ・デビソン

Honda

10

0

0

0

0

0

0

10

0

0

0

0

0

0

0


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