
3月13日、ホンダ・レーシング(HRC)は東京・六本木のAXISギャラリーでメモラビリア事業の新たなコレクション「Art Parts Collection (アートパーツコレクション)」および「Art Piece Collection (アートピースコレクション)」のお披露目会を行い、HRCの藤阪之敏と田辺豊治、ジュエリーの製作を担当した株式会社B.L.S.のデザイナー佐藤正隆氏が出席。F1エンジンと新たなメモラビリアの展開について、説明と強い思いを語りました。

HRCは、2025年4月にF1エンジンなど歴史的なモータースポーツの価値を持った資産をお客様と共有するプロジェクトとして、メモラビリアの立ち上げを発表。その第一弾として、1990年にアイルトン・セナ選手およびゲルハルト・ベルガー選手が実際にF1で戦ったエンジン「Honda RA100E」を当時のメカニックたちが丁寧に分解し、セナ選手のエンジンは、パーツすべてをレイアウトした「All Parts Display(オールパーツディスプレイ)」として、アメリカのモントレー・カーウィークでオークションに出品し落札されました。
そして今回は、ベルガー選手が使用したエンジンの主要パーツであるカムカバー、ピストン、コンロッドなどは額装や専用ケースに納め、「Art Parts Collection (アートパーツコレクション)」として、HRCの認定証を付帯し、発売しました。

さらに、主要なパーツ以外のボルト、ナット、ワッシャー、ベアリングといった細かな部品もお客様に届けられないかを思案した結果、観賞用の装飾品や常に身に着けられるアクセサリーやジュエリーにし、「Art Piece Collection (アートピースコレクション)」として発売しました。
「Art Piece Collection」の製作を担当した株式会社B.L.S.は、世界三大宝飾産地と言われる山梨県甲府市にあり、「ものづくり」「高い技術力」「ジャパンメイド」への強いこだわりを持つ企業で、HRCの理念に非常に近いものと考え、コラボレーションが実現しました。
HRC 田辺豊治(ゲルハルト・ベルガーのエンジン担当エンジニア)
「私は1990年当時、マクラーレン・ホンダのドライバー、ゲルハルト・ベルガーのエンジン担当エンジニアとしてRA100Eを扱っていました。RA100Eはターボエンジンから自然吸気エンジンになって2代目のV10になりますが、前年にやりきれなかったことや問題点、さらに自分たちがやりたいことを詰め込んだエンジンです。そのような過程で、熟成された非常に良いエンジンだったと思います。それぞれのパーツを全部見直し、少しずつ軽量化したり、弱かったところを強くして耐久性を持たせたり、もう少しこうすればパワーが出るんじゃないかというトライを形にしたのがRA100Eでした。
そのエンジンが、35年の時を経てメモラビリアというプロジェクトによって蘇りました。このエンジンはもともと倉庫に眠っていたものですが、こうして皆さんが手に取ったり、自分の身近に置いたり、飾ったり、見ていただくということで、ファンの方々と思い出や当時の熱量を共有できることになったことは素晴らしいことだと思います。私自身も、当時部品を交換したりした思い出が蘇ってきて、非常に感慨深く思っています」
B.L.S. 佐藤正隆
「HondaではF1のエンジンを一基一基手作業で組み上げているそうですが、私たちもジュエリーを、お客様の要望に合わせて0.05mmといった細かな単位で微調整を重ねながら、一つの作品へと仕上げています。そうした日本人特有の細やかさや美意識で完成形を追求する点において、F1エンジンとジュエリーには親和性があると感じました。
エンジンのパーツは、時速300kmを超えるマシンの中で実際に稼働していたこともあり、線状の傷が幾層にも刻まれていたり、摩耗によって角が丸くなっていたりと、とても印象的です。例えばジュエリーの場合、ダイヤモンドなどは研磨の段階で傷が残らないよう仕上げますが、今回に限っては、パーツに刻まれた一つひとつの傷を、マシンの走りやエンジンの出力を支えてきた証として捉え、あえてデザインの前面に生かすことを考えました。パーツ自体に、そこに宿るストーリーを語らせるようなデザインを目指し、今回の企画を進めました。
このジュエリーが、これから何かに挑もうとしている方、挑戦しようとしている方、夢に向かって踏み出そうとしている方の原動力になれば嬉しいです。HondaのF1エンジンのように、自分の限界を超え、自分にとっての勝利を掴むための特別な力を与えられるジュエリーに仕上がっていると思います。」















