あの日、もてぎで見た夢の続きを
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あの日、もてぎで見た夢の続きを

MotoGP日本グランプリ in モビリティリゾートもてぎ 10月2日〜4日

中上貴晶、最後のMotoGPへ


すべては、幼い頃にもてぎで見た「本物のGPライダー」への憧れから始まった。夢を追い続け、全日本ロードレースで頂点に立ち、世界へ。そして一度は日本へ戻りながらも再び世界の扉をこじ開け、MotoGPライダーとなった中上貴晶。2025年からはHRCの開発ライダーとして、今度はHondaのMotoGPマシンを進化させる側に立っている。
そんな中上が、2026年の日本GPにワイルドカード参戦する。来季からのレギュレーション変更により、現行1000ccマシンでの最後の日本GPとなる可能性が高く、中上自身にとっても最後の実戦となるかもしれない。憧れの舞台だったもてぎで、いま中上は何を思い、何を見据えて走るのか。その原点から、これまでの歩みと未来への思いを聞いた。

※ このインタビューは、オーストリアGPのジョアン・ミルの代役参戦発表前に行われた


■文・佐藤洋美 ■写真:赤松 孝、松本正雅

■協力:Honda

Web版 Mr. Bike コラボレーション記事


 2026年10月2日(金)から4日(日)まで、モビリティリゾートもてぎで開催される『2026 FIM MotoGP世界選手権シリーズ 第16戦 MOTUL 日本グランプリ』に、株式会社ホンダ・レーシング(HRC)は、開発ライダーを務める中上貴晶がワイルドカード参戦することを発表した。
 中上は、14歳で全日本ロードレース選手権(JRR)GP125クラスを全戦全勝で制覇。ロードレース世界選手権(WGP)に参戦し、Moto2クラスで活躍。2018年には最高峰のMotoGPクラスへ昇格し、2024年までフル参戦した。2025年からはHRCの開発ライダーに就任し、MotoGPマシンの開発を支えている。

 日本GPのPRにも中上は貢献している。MotoGP日本グランプリ開催記念ラッピングを施した芳賀・宇都宮LRT『ライトライン』とHonda RC213V-Sによるプロモーション走行を行い、日本GPへ向かう新たなアクセスルート『モビリティリゾートもてぎ×LRT・スマートアクセス』(https://youtu.be/wRqiYggGugk )を発信した。
 今も変わらぬ人気を誇る中上は、レギュラーライダーとして戦ったもてぎで、さまざまなドラマを見せてくれた。
 その時々にどんな思いで走っていたのか。そして、これから何を目指しているのか。まずは、中上にとっての「もてぎの原点」から聞いた。


MotoGP日本グランプリを盛り上げるためのPR活動にも積極的だ。日本GP開催記念ラッピングを施したLRT『ライトライン』とHonda RC213V-Sによるプロモーション走行を行った。
MotoGP日本グランプリを盛り上げるためのPR活動にも積極的だ。日本GP開催記念ラッピングを施したLRT『ライトライン』とHonda RC213V-Sによるプロモーション走行を行った。

■もてぎで見た「本物」


──モビリティリゾートもてぎでの最初の思い出を教えてください。

「4歳からポケットバイクに乗り始めて、9歳からミニバイクへステップアップした時期に、バイク雑誌の企画でもてぎGPを観戦しました。
 パドックに入れてもらって、GPライダーたちを訪ねました。当時は最高峰クラスで日本人ライダーの宇川 徹さん、加藤大治郎さん、青木宣篤さん、中野真矢さん、原田哲也さん、玉田 誠さん、阿部典史さんらが活躍されていて、他のクラスでも雑誌やテレビでよく見ていたライダーたちに直接会うことができたんです。このときジャンケンで勝って、大治郎さんからブーツを頂きました。そのブーツは今も大事に持っています。
 夢に描いていた現場に入って、MotoGPライダーと話ができて、“本物は、かっこいいな”と強く思いました。パドックですれ違うGPライダーを見るだけでも気持ちが高鳴り、サイン帳を持って追いかけて、サインをもらいました。わくわくする体験でした」

──印象に残っているライダーはいますか?
「皆さん優しかったので印象に残っています。でも、大治郎さんはすごい走りをされるのに、ヘルメットを脱いだら、ほんわかしているというか、ゆったりしていて。そのギャップに驚いたのを覚えています」

──ここでの時間が、世界を強く意識させることになりましたか?

「この輝いた世界に行きたいと、強く思った1日だったかもしれないですね」

──ミニバイクで数々のチャンピオンに輝き、2006年には全日本ロードレース選手権(JRR)GP125クラスで全戦全勝してタイトルを獲得します。14歳の中学生でした。この頃から世界を見ている意識の高さを感じていましたが、あのGPでの経験が大きかったのですね。

「子供の頃に憧れの世界を体験して、そこを目指して頑張ることができました。なので、自分のように夢を持ってもらえたらという思いがありました。いつかは、自分も子供たちを招きたいと思っていたんです。
 MotoGPライダーになってから、千葉北ポケバイコースで頑張って走っている子供たちを招待しました。そういう機会を提供できたというのは、非常にグッとくるというか、立場が逆転できたことが、すごく嬉しかったです」



幼い頃に夢見たステージへと駆け上がった中上貴晶が、レースへの想いを語ってくれた。
幼い頃に夢見たステージへと駆け上がった中上貴晶が、レースへの想いを語ってくれた。

■前例がなければ、自分が一人目になる


──2008年からWGP125クラスにレギュラー参戦を開始します。しかし、2年後に帰国。2011年にはJRR J-GP2でタイトルを獲得しますが、再び世界の扉をこじ開けるのは、難しいと思われていました。

「出戻りから、もう一度、世界に戻るというのは前例がなかったんです。でも、まだ20歳で若かったですし、自分がいる場所はここじゃないと強く思い続けていました。前例がないのなら、その一人目になればいいと、周りの人にもその意志を伝えていました」

──そして、チャンスを掴みました。

「日本GPもてぎ戦に、イタルトランス・レーシングチームのMoto2に代役参戦しました。このチャンスを逃してはいけないという強い気持ちで挑みました。そのオフにオーディションの申し入れがあり、マレーシアに行き、そこでスピードを示すことができ、翌年からの参戦が決まりました」

──前例を作りました。

「振り返ると、あのままJRRを走り続けていたら、世界に戻るという自分のモチベーションを、どれくらい持ち続けることができたのだろうと思います」

──挫折を経験し、自力でチャンスを掴み取り、再び戻ったWGP。もてぎ大会で、特に印象に残っているのは?

「シリーズの中でも、母国GPであるもてぎ戦は、一番大事にしている大会ですし、みなさんの応援に応えたいという気持ちで力が入ります。そして2017年のMoto2で、メインスポンサーの出光さんの前でポールポジションを獲得できたことが、非常に印象に残っています」



Moto3そしてMoto2へとステップアップし、2017年の日本GPではポールポジションを獲得した。
Moto3そしてMoto2へとステップアップし、2017年の日本GPではポールポジションを獲得した。

──翌年にはMotoGPへとステップアップを果たします。

「MotoGPは、大きな目標でした。Hondaさんからチャンスを頂いて、敷いていただいたレールに確実に乗れたという感覚がありました。ですが、MotoGPにフル参戦する日本人ライダーは、2014年の青山博一さん以来でした。子供の頃に憧れた世界には、たくさんの日本人ライダーがいましたが、この時は、自分ひとりという寂しさも感じました。
 それでも、このシートを得ることの特別さも知っていましたし、Moto2でキャリアを積んで、何度か優勝することもできて、良いタイミングでの挑戦だったと思っています」

──最高峰クラスであり、特別なライダーたちの戦いが始まりました。

「3クラスを経験しましたが、MotoGPは別格です。技術と能力がないと乗れない。世界で二十数台しかない、価値のある世界です。レースをするというだけでなく、プロモーションの部分でもそうですし、世界的な注目も大きい。結果を残さないと、手のひらを返される。紙一重の世界でもあります」

──紙一重ですか?

「このシートを狙っているライダーは、当然ですが、たくさんいます。シーズン途中で交代ということもあります。1年契約といっても、オフのテストから夏くらいまでに結果を残せていないと、来年のシートを失う。常にピリピリとした緊張感が伴う世界です」

──その第一線で戦い続けました。印象に残るシーズンはありますか?

「2020年は新型コロナ禍で、もてぎを走ることができませんでしたが、他のラウンドでポールポジションを獲得し、全レースでトップ10に入りました。安定してスピードを乗せていけたシーズンでした」

──フルタイムのMotoGPライダーとして、2024年最後のもてぎに挑みました。多くのファンが涙し、最後の走りを目に焼き付けました。

「MotoGP終盤の数年は、精神的にもギリギリの状態でした。そしてMotoGPを退くことを決め、2024年、日本のファンの前で走りました。たくさんの声援を頂いて、さまざまな思いがよみがえり、忘れられないレースになりました」



子供の頃に憧れの世界を体験した中上は、子供達にも自身と同じ体験をして欲しい、といつも思っている。
子供の頃に憧れの世界を体験した中上は、子供達にも自身と同じ体験をして欲しい、といつも思っている。

■憧れたMotoGPを、今度は「創る側」へ


──2025年からはHondaの開発ライダーとなり、ワイルドカード参戦したことで、ファンはまた中上選手の雄姿を見ることができました。中上選手が開発に加わり、Hondaのマシンが息を吹き返し、結果が上昇したことも喜びでした。

「自分としては、スピードや体力が落ちていって現役を引退したわけではないので、自分の経験を利用してほしいと、レース部門の方に伝えました。言葉の壁はないですし、いろいろなミーティングに参加させてもらって、データを共有してもらい、ライダーの感覚とデータが一致するまで話し合って、何が必要なのかを徹底的に突き詰めています。
 昔からバイクに対しての挙動を的確に、瞬時に感じることができ、自分は開発ライダーに向いているのではないかと思っていたので、やりがいを感じています。HRCの体制も大きく変わるタイミングで加われたことも大きく、良い関係が築けていると思います。
 Hondaエンジンの力を最大限に生かしながら、扱いやすく、乗りやすい、理想とするマシン作りに貢献したいと臨んでいます」

──今年もワイルドカード参戦することになりました。

「来季からレギュレーションが変更になり、ワイルドカード参戦がなくなるので、現状では、これが最後の参戦になる可能性が高い。昨年は先行型のテストという部分も大きかったのですが、今年は、よりレースに集中できると思っています」

──来季からレギュレーションが850ccとなり、現行のマシンは最後のシーズンということが関係していますか?

「そうですね。それでも、現場でテストが入る可能性もあるので、何とも言えないのですが……。
 現在は、850ccの開発テストが中心なので、排気量も使用タイヤも違いますし、そこからの乗り換えになります。自分としても難しい挑戦かと思いますが、みなさんの前で走れるチャンスなので、大事にしたいと思っています」



──もてぎのコースの見どころを教えてください。

「オーバーテイクが多く見られる90度コーナー。それと、スタートは大きなエンジン音とスピードの迫力を味わえると思います。この情報は、ファンの方々が教えてくれました」

──今も変わらずに、中上さんを捉えるバイクの魅力は?

「よく、“怖くないんですか?”と聞かれます。レースでは300km/hを超えるスピードを操るわけですから、恐怖心がある程度は必要だとは思います。でも、子供の頃から慣れ親しんでいるバイクに乗ることが、自分にとっては落ち着きますし、自分の原点に戻る楽しさがあります。それは、ずっと変わりません」

──ファンの方にメッセージをお願いします。

「16~23歳は無料で観戦できるZEROパスがあり、日本GPに向かう新しいアクセスルート『モビリティリゾートもてぎ×LRT・スマートアクセス』ができました。芳賀町からシャトルバスも出ているので、電車を利用して観戦することができます。ぜひ、これらを利用して、家族や友人らと一緒にもてぎに来てほしいです。日本で現行の1000ccのMotoGPマシンが走る最後のレースですし、自分自身も最後の実戦になる可能性もあるので、ぜひ、現地で観戦してもらえたらと思います」



中上貴晶というライダーの最後のレースになるであろう日本グランプリを、「ぜひ見て欲しい」と語った。
中上貴晶というライダーの最後のレースになるであろう日本グランプリを、「ぜひ見て欲しい」と語った。

 2026年のMotoGPには、ジョアン・ミル、ルカ・マリーニがレギュラーライダーとして参戦し、HRCの開発ライダー、中上貴晶がワイルドカードで参戦する。シーズン序盤からRC213Vは戦闘力を高め、Hondaは着実に上昇の歩みを見せている。昨年の日本GPでは、ジョアン・ミルが3位に入り、もてぎで表彰台に帰ってきた。
 Hondaの上昇気流を生み出した一端を担ったマシンを知り尽くす中上貴晶が、どんな走りを見せるのか。
 そして、HondaはホームGPでどんな結果を引き寄せるのか。
 10月4日、モビリティリゾートもてぎで、その答えが出る。


■MotoGP日本グランプリ in モビリティリゾートもてぎ 10月2日~4日

●16-23 ZERO円パス
https://www.mr-motegi.jp/ticket_m/motogp/zero.html

16-23 ZERO円パス[3日通し券]16~23歳の方はレース観戦もアトラクションも無料!

募集期間:5月10日(日)11:00~10月4日(日)※締め切り日前に予告なく申込受付を終了する場合があります。
対象:2002年10月5日~2011年4月1日生まれの方
内容:自由席観戦券(3日間有効)V席観戦特別招待!(要事前申込/抽選)
パドックツアー・グリッドウォーク体験(抽選)
芳賀工業団地~モビリティリゾートもてぎのシャトルバス乗車無料(要事前予約・数量限定)
パークパスポート(3日分)

お申込み方法
募集期間内にMobilityStationオンラインショッピングサイトにて[16-23 ZERO円パス]をお申し込みください。
※お申し込み完了後、ログインした状態で[MENU]→[マイチケット]→[観戦チケット]より電子チケットをご確認ください。
MobilityStationを初めてご利用の方はアカウント新規登録をお願いします。
MobilityStationにログインすると「鈴鹿サーキット」or「モビリティリゾートもてぎ」の選択画面が表示されます。
「モビリティリゾートもてぎ」を選択してチケット選択画面へ進んでください。

▼LRTスマートアクセス
https://www.mr-motegi.jp/motogp/access/

▼LRTアクセス動画
https://youtu.be/J1_GyCg0Mvk

▼LRT×中上選手 並走PV
https://youtu.be/wRqiYggGugk




●プレイベント 9月30日 ベルサール秋葉原
https://www.mr-motegi.jp/motogp/event/pre-event.html

開催日時:9月30日(水)12:00(開場)~19:00(退場)※予定
会場:ベルサール秋葉原 1階ホール・イベントスペース、地下1階ホール(東京都千代田区外神田3-12-8 住友不動産秋葉原ビル)

参加ライダー

MotoGP
フランチェスコ・バニャイヤ Ducati Lenovo Team
ファビオ・クアルタラロ Monster Energy Yamaha MotoGP™
ルカ・マリーニ Honda HRC Castrol
アレックス・マルケス BK8 Gresini Racing MotoGP™
ファビオ・ディ・ジャンアントニオ Pertamina Enduro VR46 Racing Team
小椋 藍 Trackhouse MotoGP™ Team
ディオゴ・モレイラ Pro Honda LCR

Moto2
佐々木歩夢 Momoven Idrofoglia RW Racing Team
古里太陽 Idemitsu Honda Team Asia

Moto3
山中琉聖 AEON Credit-MT Helmets – MSI
三谷 然 Honda Team Asia

※参加ライダーは都合により変更となる場合がございます。

観覧料:無料

観覧方法:当日の混雑状況や観覧場所によっては、ステージをご覧いただけない場合がございます。あらかじめご了承ください。・ステージ観覧エリアへの入場は整理券順です。 ※整理券の配布開始時間、配布場所につきましては、決まり次第ご案内いたします。・立ち見でのご観覧となりますので、あらかじめご了承ください。

注意事項:小雨決行。強風や雷雨を伴う荒天時は、安全を考慮しイベントを中止いたします。・イベント開始前からの場所取りはご遠慮ください。

主催:ホンダモビリティランド株式会社、MotoGP Sports Entertainment Group