
・ トロフィー・トラック クラス初となるハイブリッドユニットは、2.4L V6ツインターボエンジンと800ボルトのハイブリッドシステムを融合し、トロフィー・トラック車に多く用いられる9L V8自然吸気エンジンを凌駕する1,300馬力超を発揮
・ バハ1000で2度の総合優勝を誇るブライス・メンジース選手がステアリングを握る
・ HRC USとメイソン・モータースポーツが共同で開発。F1、IndyCar、IMSAをはじめとするHondaのグローバルなモータースポーツ参戦で培われた先進技術を投入
・ 2026年11月3-6日のSEMAショーで一般公開の後、2027年6月の「バハ500」で実戦デビューし、60周年を迎える2027年11月の「バハ1000」レースでの総合優勝を目指す
Honda Racing Corporation USA(HRC US)は、メキシコのバハ・カリフォルニア半島で開催されるオフロードレース、SCOREワールド・デザート・チャンピオンシップの最高峰カテゴリーである「トロフィー・トラック(Trophy Truck)」クラスに参戦する同クラス史上初のハイブリッドマシンである新開発のオフロードレース車両「Honda Passport Baja Spec」を発表しました。
南カリフォルニアのHRC US(カリフォルニア州サンタクラリータ)とメイソン・モータースポーツ(Mason Motorsports、カリフォルニア州レイクエルシノア)によって開発・製造され、高度な数値流体力学(CFD)を用いた空力設計と最先端の車両制御ソフトウェアを備えたHonda Passport Baja Specのステアリングを握るのは、バハ1000で2度の総合優勝を誇るブライス・メンジース(Bryce Menzies)選手です。メンジース・モータースポーツ(Menzies Motorsports)とのパートナーシップのもと、HRCは2027年に60周年を迎える「バハ1000」での総合優勝を目指します。
米国時間10月29日にロサンゼルス市内で開催されたプライベートイベントでメディア向けに公開され、今後、SEMA ショー(ラスベガス、2026年 11月3〜6日)のHRCブースにて一般公開の予定です。テストと熟成を進め、レースデビューは2027年 SCORE バハ500(6月2日〜6日開催)を予定しています。
先進ハイブリッド技術を砂漠のレースへ
「Honda Passport Baja Spec」の心臓部は、IMSA耐久選手権で実績のある2.4L V6ツインターボエンジンと専用設計の800Vハイブリッド・エレクトリック・システムを組み合わせた先進ハイブリッド・パワートレインです。どちらも米国カリフォルニア州のHRC US自社施設で開発・製造されています。
キャビンの背後に搭載されるオールアルミ製の2.4L V6ツインターボエンジンは、Acura ARX-06 GTPマシンに搭載され、「デイトナ24時間レース」や「セブリング12時間レース」での優勝をはじめ、過酷な耐久レースでその優秀性が証明されています。このエンジンと高電圧ハイブリッドシステムを組み合わせることで、システム総合出力は1,300馬力(HP)以上を発生。現在のトロフィー・トラック クラスに主に採用されている9L V8自然吸気エンジンを上回る出力性能を発揮します。
エンジンの前方には、メイソン・モータースポーツが開発したMasomatic 5速トランスミッションを配置。強度と最低地上高を高め、キャンバー角やトー角の調整を可能にするため、独自のAWDトランスアクスルはデュアル・リアドライブシャフトを介して各輪のハイピニオン・スパイラルベベルギアにトルクを配分し、従来のリング&ピニオンギアを置き換えています。前輪への駆動力は、メイソン・モータースポーツ製ディファレンシャルから、フロントの各ハブに装着されたポータルギアセットを介して伝達され、悪路走破に重要な最低地上高の最大化とドライブトレイン・ジオメトリの最適化を実現しています。
ハイブリッドパワーユニット、バッテリー技術、制御システムには、Hondaのグローバルモータースポーツの技術が注入されています。ハイブリッドシステムの要であるバッテリーパックは、HRC USのエンジニアによって自社で設計・開発・製造されています。このバッテリーには1世代前のF1スタイルのパウチ型セルが採用され、軽量カーボンファイバー製ケースに納められています。
バッテリーパックの組み立ては、カリフォルニア州サンタクラリタにあるHRC US本社の新設クリーンルームにて行われており、自社開発と先進製造に対するHRCの強いこだわりを示しています。
また、Honda Passport Baja Specは、トロフィー・トラック クラス初となる先進的な電子制御・車両制御技術を備えています。これには前後軸ブレーキ・バイ・ワイヤ、アダプティブ・トラクション・コントロール、AIパワーデプロイメントが含まれており、これらもF1、IndyCar、IMSAへの参戦を通じて開発された技術です。
砂漠走行に最適化された空力設計とボディ構造
さらに、カーボンファイバー製のボディは、高度なCFD解析を用いてHRC USが設計しており、車両全体の空気の流れを最適化することで、高速安定性、燃費効率や車体のコントロール性を最大限に高めています。
フロントホイール後方の深いサイドチャネルが空気の流れをコントロールして空気抵抗を低減し、コクピット後部のハイマウント排気口には排気の流れを誘導して空力性能を高めるエアロフィンが組み込まれています。
キャビンを貫くキャブ・トンネリング構造により車高を下げ、空気抵抗を低減すると同時に、車体後方の低い位置に配置された冷却系へと風を導き、重量配分を最適化して低重心化を図ることで、バハの過酷な地形におけるパフォーマンスを向上させています。
そのボディの下ではメイソン・モータースポーツの最新の「Gen 2 4WDシャシー」が骨格を作っています。HRC USのエンジニアとメイソンのスタッフが密に連携し、理想的な重量配分を維持しながらツインターボV6エンジンと専用ハイブリッドパワーユニットを収めるため、HRC専用のリアフレーム構造を含む専用シャシーを作り上げました。
キャビン中央に145ガロン(約549リットル)のカーボンケブラー製セーフティ燃料セルを配置し、燃料消費に伴う重量配分の変化を抑え、一貫したハンドリング特性を維持します。重量配分をさらに最適化するため、液体タンクやバッテリーを含む多くの重量部品がシャシー後方に配置されています。
Toyoタイヤと、FOX Racing製デュアルショックアブソーバーによるロングトラベルサスペンションは、多種多様な砂漠の地形でも最大のコントロール性とトラクションを確保します。
HRC US社長ケルビン・フー(Kelvin Fu)のコメント
「Honda Passport Baja Specは、オフロード性能と耐久性の高みを拡大するHRCの強い決意を表しています。Hondaのグローバルなレースプログラム全般で培った知見と技術を結集し、オフロードマシンの究極のテスト場であると言えるバハ・デザートレースに挑戦します。このマシンは、本質的にソフトウェアデファインドビークル(SDV)です。HRC独自のソフトウェアを使用することで、パワートレイン、シャシー、エネルギー管理システムを単一のSDVプラットフォームに統合しています。これにより、レース中にも継続的にアップグレードが可能で、ドライバー、コース、レース状況に合わせてチューニングを行うことができます。このマシンが発揮するパフォーマンスを世界にお見せできる日を心待ちにしています。」
Hondaとバハの歴史
Hondaとバハの歴史は、バハ半島で最初の公式オフロードレースが開催されるよりも前にさかのぼります。1962年3月、新型オフロードバイク「CL72 スクランブラー」の耐久性をアピールするため、デザート・レースの先駆者であったデイブ・イーキンスとビル・ロバートソン・ジュニアが2台のCL72でメキシコのバハ・カリフォルニア半島のティファナからラパスまで、およそ1000マイルを39時間56分で走破しました。この快挙はメディアで大きく報じられ、1967年に「バハ1000」レースが誕生するきっかけとなりました。
それ以来、Hondaはバハの歴史において最も多くの勝利を挙げた二輪メーカーとなり、通算22回の総合優勝と多数のクラス優勝を獲得してきました。四輪においても、2015年以降、バハ1000での4勝とバハ500での5勝を含む、クラス優勝17回という実績をあげています。
Honda Racing Corporation USA について
Honda Racing Corporation USA(HRC US)は、インディカーに参戦することを目的に1993年に設立されました。現在、北米におけるHondaとAcuraのモータースポーツプログラムを統括し、レースエンジン、シャシー、パーツの開発・製造を行い、インディカーやIMSAスポーツカーなどのプレミアムレースから草の根レーシングプログラムまで、これまでに500勝以上をあげ、60以上のシリーズタイトルを獲得しています。
https://hondaracing-us.honda.com
ドライバーのブライス・メンジース(Bryce Menzies)について
1987年8月21日、アリゾナ州生まれのブライスは、子供の頃から家族や友人とダートバイクに親しみ、レースとアウトドアへの情熱を育みました。キャリアを通じて参加した全クラスを制覇し、世界最高のオフロードレーサーの一人として広く認められています。2023年と2025年のバハ1000レースの覇者。トラック部門でのロングジャンプ世界記録(379.4フィート、約116メートル)も保持しています。
メイソン・モータースポーツ(Mason Motorsports)について
米国カリフォルニア州レイク・エルシノア(Lake Elsinore)のオフロード車両のカスタムビルダー。2004年にニールとロバートのメイソン兄弟により設立。オフロード用ATVのカスタムパーツ製造から大型の四輪駆動トラックまで幅広く手掛けています。SCOREオリジナル・トラック・シャシー・マニュファクチャラー・オブ・ザ・イヤーを5年連続で受賞しています。
https://masonmotorsports.com
SCOREワールド・デザート・チャンピオンシップ(World Desert Championship)について
メキシコのバハ・カリフォルニア半島の山岳地帯や砂漠地帯など厳しい環境で、昼夜通して走破する世界有数の過酷なオフロードレースのシリーズで、バハ500(500マイル=約805km)、バハ1000(1000マイル=約1609km)を含む4つのレースで構成されています。
https://www.score-international.com











