Repsol Honda Team 現場レポート2022 - Vol.264
2022年の最終戦となった第20戦バレンシアGPは、Hondaにとって厳しい結果に終わりました。3戦連続のフロントローから表彰台争いに加わったマルク・マルケスは、27周で行われた決勝で10周目に転倒、バレンシアGPがRepsol Honda Teamで最後のレースとなったポル・エスパルガロも、21番グリッドから決勝に挑み5周目に転倒リタイアと残念な結果に終わりました。22年シーズンは、ウインターテスト、そしてシーズン序盤は今季の活躍を期待させるものでしたが、シーズンが進むにつれてRC213Vが抱える課題が明らかになり、思うような結果を残すことができませんでした。
シーズン最終戦を終えて、2日後の11月8日には、バレンシアGPが開催されたバレンシア・サーキットで公式テストが行われました。このテストには、来季Repsol Honda Teamに加入するジョアン・ミルと、LCR Hondaに加入するアレックス・リンスが初めてテストに参加。Repsol Honda Teamで最高峰クラス7度目のタイトル獲得に挑むマルク・マルケス、LCR Hondaで参戦継続の中上貴晶を加えた4人が、たった1日のテストでしたが、来季の2月からスタートするマレーシアテストに向けて多くのデータを収集しました。
Hondaにとっては、厳しい結果に終わった2022年シーズン。強いHonda復活に向けて早くもスタートを切ったRepsol Honda Teamのアルベルト・プーチ監督が、最終戦バレンシアGPと初テストを振り返ります。
・・・最終戦バレンシアGPは、期待したものでも、Hondaが目指したものでもありませんでした。
「明らかに期待していた結果ではありませんでした。2人ともに転倒でチャンピオンシップを終えるとは思っていませんでしたからね。でも残念ながらこれは起きてしまったことです。おそらく、技術的な面で我々が必要とするところまで進んでいなかった結果かもしれません。とにかく最後まで挑戦しました。これが私たちのチームのスピリットです」
・・・マルク・マルケスは、レースウイークでいい感触を得ていたようですが・・・。
「マルクはバレンシアのトラックをよく知っています。彼のライディングで、現在RC213Vが抱えている多くの問題を感じさせなかったり、取り組むこともできましたが、それを結果につなげられませんでした」
・・・ポル・エスパルガロはRepsol Honda Teamで最後のレースでしたが、彼はまたしてもアンラッキーでした。
「はい。ポルはいつも努力をしていました。その努力は、疑いの余地がありません。マシンのバランスを彼は見つけることができませんでしたが、マシンが彼をあまり助けていなかったのも事実です。彼の結果を責めることはできません。しかし、こうした状況の中で、彼と一緒に過ごした時間は、私たちが期待していたものではありませんでした。次のステージに進む彼の活躍を祈っています。そして、活躍を楽しみにしており、トップで一緒に戦いたいです。決してあきらめないとても速いライダーでした。私たちは彼のことを忘れないでしょう」
・・・火曜日にはバレンシア・テストが行われ、2人の新しいライダーが参加しました。
「テストではほかのマニュファクチャーから移籍したジョアン・ミルとアレックス・リンスが加わりました。初めてのライダーにとって、わずか1日のライディングでマシンを深く正確に理解するのはとても難しいことです。でも彼らは努力しました。彼らが見つけたことは、それまで彼らが慣れ親しんできたものとはかなり違いました。これから彼らが残したことを深く分析していきます。Hondaはミサノのテストから一生懸命取り組んでいますが、残念ながらまだ探しているものを見つけられていません。求めているものを引き続き探さなければなりません」
・・・今は(来年2月の)セパンテストへの準備の時期です。2023年にタイトル争いをするためには、マルクは1ステップ、HRCは2ステップ必要だと言っています。
「そして、私は、3つのステップをお願いしています。正しい道を進み、正しい方向へ進むためには3つのステップが必要です。日本では一生懸命仕事に取り組んでいることは疑いの余地がありません。これは明白なことですし、私たちもわかっていますが、残念ながらまだ正しい方向を見つけられていません。日本だけではなく、ヨーロッパのすべてのエンジニアが努力し取り組んでいます。私たちは彼らを信頼しています。私たちの期待に応え、マシンをセパンに届けてくれることを願っています」
・・・右手を負傷している中上貴晶の状態は?
「彼はまだ100%ではありません。彼はバレンシアで自分の持ち味を発揮し、努力しました。彼はこれからしっかり回復していかなければなりません。来年へ向けて準備をするために、さらに手術が必要かどうかを見極めなければなりません」
・・・Moto2クラスでチャンピオンシップを戦った小椋藍はここ2戦、2度の転倒でチャンピオンシップを失いました。
「彼はやるべきことをやりました。彼は全力を尽くしました。結果的に転倒してしまいましたが、彼は敬意をもってチャンピオンシップを失ったと思います。これ以上、言うことはありません。来年、彼にはまたチャンスがあります。優勝を目指しがんばります」
2022年シーズンが終わりました。ケガと再手術のため7戦を欠場したマルク・マルケスはPP1回を含む5回のフロントロー獲得、表彰台獲得1回(オーストラリアGP2位)で総合13位、ポル・エスパルガロは開幕戦カタールGPで3位表彰台に立ち総合16位でした。
アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、7位を最高位に総合16位、中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は右手の負傷のため3戦を欠場し、7位を最高位に総合18位でした。
来季、Repsol Honda Teamはマルク・マルケスと新たに加入するジョアン・ミル。LCR Hondaは中上貴晶と新たにアレックス・リンスが加わり、4年ぶりのタイトル奪還と強いHonda復活を目指します。