Repsol Honda Team 現場レポート2022 - Vol.263
オーストラリアGPからの連戦となった第19戦マレーシアGPは、マルク・マルケスが2戦連続フロントロー3番手を獲得し、決勝でも2戦連続の表彰台獲得が期待されました。しかし、決勝は厳しい戦いを強いられ7位。予選を終えたときにマルケス自身「フロントローに並べるとは思ってはいなかった。これは想定外のタイム」と驚いていましたが、その言葉通り、マレーシアGPの開催されるセパンでは、RC213Vのパフォーマンス不足が、改めて浮き彫りになりました。
結果は周囲の期待に応えるものではありませでしたが、HRCは今大会の結果を真摯に受け止め、マルケスが残したデータを2023年型RC213Vに活かすことになります。オーストラリアGPの2位表彰台獲得から一転、表彰台争いに加われなかったマレーシアGPを、アルベルト・プーチ監督が振り返ります。
・・・オーストラリアはポジティブな週末になりましたが、マレーシアGPはどうでしたか?
「今大会の土曜日の予選は現実とは思えませんでした。マルク・マルケスがQ1から3番グリッドを獲得しましたからね。マルクは(Q1とQ2でアタックした)2周ですばらしいパフォーマンスを見せましたが、それは私たちのペースではありませんでした。私たちのペースは日曜日に彼が見せたペースであり、それは優勝できるペースではありませんでした。優勝争いができるペースがあると見せかけることはできないので、最終的に私たちは私たちのポジションを獲得しました。しかし、それは、私たちにとって本来いるべきポジションではありません」
・・・マルケスだけが好調で、他のライダーはベストなムードではないようです。
「フラストレーションがたまっているときは簡単ではありません。そして何人かのライダーはフラストレーションを感じているのはあきらかです。このサーキットが私たちにとってとても難しいことは、かなり前からわかっていました。そして、今週末はそれを確認しました。特にパワーの点でかなり改善が必要です。エンジニアはどのように直したらいいのか考え、取り組んでいます。修正は必要ありません。専門的に言えば、一歩前進するために変化が必要なのです」
・・・マルケスはレース前、日曜日のターゲットが7位であることを知っていました。Hondaはどう感じているのでしょうか?
「私たちは自分たちのペースがわかっていました。確かに、Q2が終わった時は喜びましたが、それが現実的な結果ではないこともわかっていました。改善しなければならないことはわかっています。今回のようにライダーがすべてをこなして私たちを驚かせてくれる、という見せかけはできません。単なる修正ではなく、いい方向へ変化することが必要だということを理解しなければありません」
・・・HRCのチームマネージャーであるあなたは、ピットキャノピーから、上位にいる他のメーカーを見て、どのようにレースに臨んでいるのでしょうか?
「全くうれしくありません。唯一できることは私たち自身を改善することです。私たちは戦闘的ではないことを理解し、対応しなければなりません。そうすればきっとうまくいくと思います。それがレースです」
・・・バレンシアGPのために対応するのでしょうか。それともバレンシア・テストが目標でしょうか?
「バレンシアは特徴が違うサーキットです。マレーシアのように苦戦はしないと思います。それほどパワーは必要ないところです。私たちのマシンと相性がいいところですが、目標はバレンシアに対応することではなく、2023年のライダーのためにマシンをもっと戦闘的にすることです」
・・・小椋藍選手はMoto2のレース中に転倒し、現在ランキング2位です。
「このようなことは起きるものですし、一番残念がっているのは藍自身です。誰かを非難するようなことはしません。彼は努力しました。優勝したいと思っていましたし、不運なことに転倒してしまいました。でもこれはレースです。今回のことから彼は学びました。彼のチームはバレンシアでもう一度チャンスがあります。まだ終わってはいません」
アラゴンGP、日本GP、タイGPと続いた3連戦。そして1週間のインターバルを経て、オーストラリアGP、マレーシアGPと続いた2連戦が終わりました。6週間で5レース。大陸を移動しながらのハードな戦いも、ひとまず終止符を打ちました。
残るは最終戦バレンシアGPだけです。最終戦を終えた後にはバレンシアで公式テストが行われます。2023年シーズンに向けて、もっとも重要なレース、そしてテストが行われるバレンシアに向けて、Hondaは全力で挑みます。