Repsol Honda Team 現場レポート2022 - Vol.262
3年ぶりに開催された第18戦オーストラリアGPは、レースウイークを通して不安定な天候となり、選手、チームにとっては、その対応に追われる3日間となりました。
そうした状況の中で右腕上腕の再手術から復帰4戦目を迎えたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)がフリー走行ではトップタイムをマーク。予選では日本GPのポールポジション(PP)に続き復帰4戦目で2度目のフロントローを獲得しました。日本GPはウエットでのPPでしたが、今大会は、フリー、予選ともにドライでした。そのため決勝に向けて大きな期待が寄せられましたが、見事、その期待に応えて2位表彰台に立ちました。
昨年10月のエミリア=ロマーニャGP以来の表彰台は最高峰クラス通算100回目。右腕骨折でこの数年、治療とリハビリに多くの時間を費やし足踏みを続けたマルケスですが、いよいよ本格的な復活が期待されるレースでした。
Hondaにとっては、開幕戦カタールGPでポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)が表彰台に立って以来、今季2度目の表彰台獲得。厳しい時期を過ごしてきたHondaですが、久しぶりに喜びに沸いたオーストラリアGPをアルベルト・プーチ監督が振り返ります。
・・・マルク・マルケスが1年ぶりに表彰台に立ちました。
今日最も重要だったのは、マルクが彼本来のスピードに戻り、彼の本来のDNAを見せることができたことです。つまり優勝争いをしたということですね。Repsol Honda TeamとHRCは彼の走りに非常に満足しています。そして、再びフロントに戻ってくることができてうれしいです。でも彼が苦しんできたことを我々は知っています。彼がこのコンディション、そしてこのレベルでパフォーマンスができるようになるまでの努力に対しては、敬意と称賛しかありません。最高のマシンを作り、Hondaが再びタイトルをつかめるように引き続き仕事に取り組みます。これがレース界のリーダーである企業としての私たちの責任であり義務です。
・・・今回は多くのオーバーテイクがあり、エキサイティングでおもしろいレースでした。
ペースは思ったほど速くありませんでしたが、外から見ている分にはとてもよい戦いでした。フィリップアイランドのようなとても難しいサーキットでマルクの精神と可能性を見ることができました。少しスピードが足りなかったので、今回見たものを明確に記録しなければなりません。それに対応しなければならないことは明らかです。
・・・マルケスは唯一、リアにソフトタイヤを装着しました。チーム内ではどのような感じだったのでしょうか?
通常、特別なライダーは、やらなければならないことを分かっています。そしてマルクは決断をするときに自分が何をやっているのかを理解しています。レース前はクレイジーな選択ではないと思いました。正しい選択には思えなかったかもしれませんが、私は個人的に驚きませんでした。どれがベストなタイヤなのか、ということをライダーが分かっていますし、特別なライダーはさらによく理解しているものです。Repsol Honda Teamは、彼がすべきことを理解していたことをとてもうれしく思っています。
・・・アレックス・マルケスはすばらしいスタートを切り、上位で戦っていましたが、その後、不運なアクシデントに見舞われました。
アレックスは不運なアクシデントでリタイアしましたが、そのアクシデントでリタイアすることになったジャック・ミラーには、とても申し訳なく思っています。彼のホームGPだったこともあり、本当に申し訳ない気持ちです。今回のアクシデントは故意に行ったものではなかったし、アレックスのことも残念に思っています。ポル・エスパルガロは今大会、速さがありました。しかし、レースでは最高の走りができませんでした。彼はスタートがうまく行かず、それをリカバーするのに苦戦しました。2人のパフォーマンスには、輝いた瞬間があり、うれしく思っています。
・・・休む暇もなく次はマレーシアGPです。
マレーシアは簡単ではないと思います。エンジンにとても難しいサーキットであり、フィリップアイランドとはコンディションがかなり違います。マルクのように、体調が戻り、明らかに特別なライダーがいるとき、彼を方程式から外すことはできません。簡単ではありませんが、何が起きるか見てみたいと思います。最も重要なことは彼のコンディションがよくなっていて、Hondaは彼ができることをこなすためにツールを与えなければならないということです。
オーストラリアGPを終えたHondaチームは、休む暇もなく、次戦マレーシアGPに向けて移動を開始しました。シーズンは残り2戦。今季初優勝を目指し、Hondaは全力を尽くします。