今大会の予選終了後には、マルク・マルケスが、今週アメリカに渡り、2020年のスペインGPで骨折した右腕上腕の再手術を行うことが発表されました。その発表の翌日に行われた決勝レースで、マルク・マルケスは最後まで全力を尽くしました。

2020年のケガから3年、これまで思うような走りができなかったというマルク・マルケスの手術という決断。その経緯など、アルベルト・プーチ監督に語ってもらいました。

・・・マルクは、この週末、非常に難しい決断を下しました。それについて教えてください。

「そうですね。我々は彼の再手術の可能性について、長い間、考えていました。そして今週末、医者からのゴーサインが出たことで今回の決断に至りました。フリー走行が行われた金曜日に手術が可能になったという連絡がありました。マルクは今大会を終えてレース参戦を中断し、この問題を最終的に解決するために、アメリカへ行き手術をします」

・・・HRCは、これからどのようなアプローチをするのでしょうか?

「もちろん、とても複雑です。ここ3年は、とても困難なシーズンとなっています。でも、いつも言うように人生は思ったようにはいきません。この状況が今の私たちの生きている道です。前に進み続けなければなりませんし、マルクがいない時期にどのようにRC213Vを改善し続けていくのか…。この状況を理解し、考えていかなければなりません。彼の代わりにテストライダーのステファン・ブラドルを起用する予定です。それが私たちの唯一の可能性だからです。MotoGPマシンは複雑なマシンです。ほかのライダーには任せられません。経験のあるライダーが必要です」

・・・この状況は、テストチームのプランにどのような影響を与えますか?

「もちろん、新しいマシンの開発と進化に今回のことは影響すると思います。私たちの目標と義務は、得られるインフォメーションを基に、できる限りいい結果を残すことです。私たちには3人のライダーとテストライダーがいます。でも、もちろんマルクのようなライダーがいなくなり、彼が長い間マシンに乗ることがなくなれば、エンジニアのアプローチにも影響します。これは言い訳にはなりません。私たちはベストを尽くします」

・・・・マルケスの回復期間はいつ分かるのでしょうか?

「最優先すべきことはマルクの手術です。正しい方法で物事は進んでいます。チームは引き続き仕事を続けます。次のレースの後にはバルセロナでテストがあります。手術が終わったら、マルクの復帰のタイミングと時期がだいたいわかると思います」

・・・・マルクは今大会のFP1終了後にドクターの最終見解を受け取りました。それでも日曜日のレースに出場することを決断しました。彼のメンタリティーについて何か言うべきことはありますか?

「レースウイークの彼の仕事にはとても感動しました。彼にはレースをしないという簡単な選択がありました。手術は木曜日(6月2日)に行われますが、日曜日に何が起きるかわからないという怖さもあったと思います。リスクを冒しているし、最悪の事態が起こりかねません。自分自身にダメージがふりかかり、すべての予定が遅れることもあったからです。でもマルクはとても集中していました。真剣に取り組んでいました。彼はレースが大好きで、今回のGPを走りたかったのです。彼はそれを達成し、無事にイタリアGPで完走しました。彼の努力に感謝していること、あなたのことを待っているということを土曜日に伝えました。Hondaが理解してくれていることに彼は感謝していると思います」

・・・他のHondaライダーにとっても、楽な週末ではありませんでした。

「ポル・エスパルガロはレースウイークを通してかなり強さがあったので、残念です。彼のグリッドポジションはよかったのですが、スタートがよくありませんでした。そのあと彼は転倒してしまいました。これが今週末のネガティブな点です」

・・・Moto2クラスでは、小椋藍が今シーズン4度目の表彰台を獲得し、ランキングトップに同ポイントで並びました。

「小椋藍が首位と同ポイントになったことをうれしく思います。今彼はMoto2をリードしています。彼にこのポテンシャルがあることはわかっていました。彼がアジア・タレント・カップで走り始めたときから何年も私たちは彼をサポートしてきました。今彼はIDEMITSU Honda Team Asiaでポテンシャルとスキルを磨き上げています。彼はタイトル争いの有力候補であることは確かです」

第8戦イタリアGPを終えて、Hondaは連戦となる第9戦カタロニアGPに向けて移動を開始しました。カタロニアGPは、Repsol Honda Teamにとってヨーロッパ本拠地のレースとなります。マルク・マルケスは不在ですが、Honda勢は全力で挑みます。